インダストリアルな内装を店舗に導入する利点は?費用相場や注意点を徹底解説|テナント工房
店舗の付加価値を高め、顧客の記憶に残る空間を作りたいと考えているオーナー様にとって、インダストリアルな内装は非常に魅力的な選択肢です。このスタイルは単なる流行に留まらず、本物志向のブランドやこだわりの強い店舗において、確固たる地位を築いています。
しかし、実際に店舗へ導入するとなると、住宅とは異なる厳しい内装制限や、スタッフの作業効率、さらには長期的なメンテナンス性など、考慮すべき実務的な課題が多く存在します。
この記事では、インダストリアルな内装の基本定義から、店舗に導入する際の具体的なメリット、費用感、さらには失敗を防ぐための注意点までを詳しく解説します。
読み終わる頃には、自社の店舗にこのスタイルを採用すべきかどうかの判断基準が明確になっているはずです。
目次
インダストリアルな内装とは?店舗にインダストリアルスタイルを採用するメリット
店舗内装でインダストリアルを実現する際の注意点
インダストリアルな店舗内装にかかる費用相場
インダストリアルに内装を仕上げるポイント
インダストリアルな内装の施工事例
まとめ
インダストリアルな内装とは?
インダストリアルという言葉は、直訳すると「工業的な」という意味を持っています。
内装デザインにおいては、かつての工場や倉庫で使われていたような、剥き出しの機能美を活かしたスタイルのことを指します。
| 素材のカテゴリ | 代表的な使用箇所 | 演出できる印象 |
|---|---|---|
| コンクリート | 床・壁・カウンター | 無機質・清潔感・堅牢さ |
| 黒皮鉄(スチール) | 什器・手すり・サッシ | 重厚感・シャープ・男性的 |
| 古材・無垢材 | テーブル天板・棚板 | 温かみ・歴史・安心感 |
工業素材の無機質な質感を活かすデザイン
インダストリアルな内装の最大の特徴は、コンクリートや鉄、レンガといった無機質な素材をそのまま見せる点にあります。一般的な内装では隠してしまう天井裏の配管やダクトを敢えて露出させ、構造体の力強さを演出することが基本となります。
また、仕上げを施さないモルタルの床や、無塗装の鉄材(黒皮鉄)などを多用することで、洗練された都会的な印象と、どこか懐かしい武骨な雰囲気を同時に作り出せます。
ヴィンテージ感と機能性を両立させる空間
単に古びた素材を使うだけでなく、現代的な機能性とヴィンテージ感を融合させることが店舗設計における成功の鍵です。使い込まれた古材(足場板など)をカウンターに使用しながらも、照明器具には最新のLEDを採用して作業効率を確保するといったバランスが求められます。
歴史を感じさせる「素材の重み」と、店舗としての「利便性」を両立させることで、単なる真似事ではない本物のインダストリアル空間が完成します。
店舗にインダストリアルスタイルを採用するメリット
多くの店舗オーナーがインダストリアルスタイルを選ぶ背景には、単なる見た目の良さだけでなく、経営的なメリットが明確に存在するからです。
| メリット | 具体的な内容 | 経営上の利点 |
|---|---|---|
| 意匠の永続性 | 傷や汚れが「味」になる | 修繕費の抑制 |
| コストの最適化 | 仕上げ材を減らす工夫 | 初期投資の削減 |
| 空間の開放感 | 天井高の最大活用 | 集客力の向上 |
メリット1:経年変化を楽しみながら美観を長期間維持できる
綺麗な壁紙を貼った内装は、時間が経過するほど劣化が目立ってしまいます。
一方で、インダストリアルな内装は、素材の「経年変化」を美徳として捉えるスタイルです。床の細かな傷や、金属部分の多少の錆、木材の色の変化さえも、店舗が歩んできた歴史として魅力の一部になります。
頻繁な貼り替えや修繕を必要とせず、長期にわたって店舗のクオリティを維持できる点は、ランニングコストの観点からも大きな利点です。
メリット2:既存構造の活用により施工コストを削減できる
スケルトン物件(内装が解体された状態)から店舗を作る場合、天井をあえて作らず、配管を露出させることで、天井の下地材や仕上げ材にかかる費用を削減できる可能性があります。
もちろん、露出させる配管を美しく配置し、塗装を施す手間は発生しますが、材料費の削減と開放感の創出を同時に実現できるのは合理的です。
特に天井高を確保したい飲食店や物販店において、このコスト配分の工夫は非常に有効な手段となります。
店舗内装でインダストリアルを実現する際の注意点
魅力的なスタイルである一方で、設計上の配慮を欠くと、店舗としての快適性を損なうリスクも孕んでいます。
特に以下の二点は、実務において非常に重要なポイントです。
素材の選定を誤ると冷たく居心地の悪い空間になる
コンクリートや鉄といった無機質な素材ばかりを多用すると、空間全体が冷たく、冷淡な印象を与えてしまいがちです。
お客様がゆっくりと過ごすカフェや美容室などの場合、滞在時間を短くさせる要因になります。インダストリアルな骨組みの中に、レザー(革)や温かみのある木材、あるいは観葉植物といった「生命力を感じる要素」をバランスよく配置しましょう。
冷たさと温かさの対比をデザインすることで、初めて居心地の良い空間が生まれます。
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剥き出しの配管やダクトは清掃負担が多い
天井の配管を露出させたデザインは魅力的ですが、清掃の観点からは注意が必要です。配管の上部には埃が溜まりやすく、特に油を多用する飲食店では、埃が油を吸って固着してしまうことがあります。
放置すると、お客様の頭上に汚れが見えてしまい、店舗の衛生イメージを著しく損ないます。
設計段階から清掃のしやすさを考慮した配管ルートの設定や、定期的な業者によるクリーニングを予算に組み込んでおくことが、長期的な運営において重要なのです。
インダストリアルな店舗内装にかかる費用相場
インダストリアルな内装は「安上がり」だと思われがちですが、実際には「どこまでこだわるか」によって大きく費用が異なります。
| 業種 | 費用相場(平米あたり) | 費用のポイント |
|---|---|---|
| カフェ・飲食店 | 30万円〜60万円 | 厨房設備と空調露出の調整 |
| アパレル・物販 | 20万円〜40万円 | 特注什器のデザイン性 |
| 美容室・サロン | 25万円〜50万円 | 水回りと照明のこだわり |
1平米あたり15万円から30万円が一般的な目安になる
店舗の内装工事費は、一般的に1平米あたり9万円から15万円程度(坪単価30万円から50万円程度)が相場となります。インダストリアルスタイルの場合、天井や壁の仕上げを省略できる一方で、露出させる配管を綺麗に揃えるための「見せる電気・空調工事」にコストがかかる傾向があります。
また、什器にオーダーメイドの鉄骨を使用したり、高価な古材を採用したりすると、平米単価はさらに上昇します。
予算に限りがある場合は、お客様の視線が入る場所(ファサードやメインカウンター)に費用を集中させ、バックヤードなどはシンプルに仕上げるメリハリが大切です。
設備の見せ方や建具の加工度合いで総額が変動する
同じインダストリアルスタイルでも、既存の躯体(コンクリート)の状態によって費用は変わります。状態が悪い躯体の場合、補修や左官作業が必要になり、予想外の出費が発生することがあります。
さらに、建具(ドアや窓枠)を既製品ではなく、特注のスチールサッシにするだけで、工事費全体が数百万円単位で跳ね上がることも珍しくありません。
理想とする「インダストリアル度合い」と予算のバランスを施工会社と密に協議することが、プロジェクトを成功させる鍵となります。
インダストリアルに内装を仕上げるポイント
インダストリアルスタイルは多才なデザインですが、業種によって「加減」を変える必要があります。
ポイント1:飲食店は温かみのある照明で居心地の良さを演出する
飲食店においてインダストリアルな内装を採用する場合、照明計画が極めて重要になります。
例えば、無機質なコンクリート壁に、青白い光を当ててしまうと食欲を減退させてしまいます。電球色や暖色系のペンダントライトを採用し、敢えて光を絞り、素材の質感を浮かび上がらせつつ、隠れ家のような安心感を演出しましょう。
直接肌が触れる椅子やテーブルの天板には、無垢の木材を使用することで、素材の冷たさを中和させることが顧客満足度に繋がります。
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ポイント2:アパレル店は什器の素材感で商品の魅力を際立たせる
アパレルショップでは、壁面や床はあえてシンプルなインダストリアルに留め、商品を陳列する什器(ラックや棚)に黒皮鉄やエイジング加工された真鍮などの強い素材を使うのが効果的です。
背景が無機質であるほど、商品の色や生地の質感が際立ちます。試着室の内側だけは柔らかいカーテンやカーペットを使用するなど、インダストリアルな外観と対極にある「優しさ」を部分的に取り入れることで、お客様が安心して購入を検討できる環境を整えられます。
【関連記事】アパレルの店舗デザインのポイント!内装デザインのコツも解説
ポイント3:オフィスは開放感と集中できる環境のバランスを取る
近年のオフィスデザインでは、クリエイティビティを高めるためにインダストリアルスタイルが選ばれることが多いです。
スケルトン天井による高い開放感は、コミュニケーションを活性化させる効果があります。
ただし、コンクリートや鉄は音が反響しやすい素材であるため、会議室や集中スペースには吸音材を使用したパネルを設置したり、ラグを敷いたりする防音対策が欠かせません。
見た目の格好良さだけでなく、業務の生産性を損なわないための機能的な配慮が求められます。
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インダストリアルな内装の施工事例
具体的なイメージを固めるために、インダストリアルスタイルの可能性を最大限に引き出した実在の事例を確認してみましょう。
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コンクリート×木目で落ち着いた雰囲気を実現したビューティーサロン
滋賀県栗東市にあるJAP international S salon様では、コンクリート調の壁とアッシュウッドを組み合わせたインダストリアルな空間を演出しています。
既存の受付カウンターをチャコール色にリメイクすることで存在感を高め、ブロック石を積み重ねたようなデザインのロッカーでカウンターとの統一感を持たせました。
カットミラーも同じチャコール色に変更し、インパクトのあるカットエリアを実現しています。
お子様連れでも安心して通えるトータルビューティーサロンとして、落ち着きと洗練された雰囲気を両立させた事例です。
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本物素材にこだわった都会的な焼肉店の空間デザイン
滋賀県東近江市の囘-MAWARI- 八日市店様では、本物素材を使用した都会的なインダストリアル空間を実現しています。
印象的な梁が全体にインダストリアルな雰囲気を与え、個室にはエイジング加工を施してアンティーク感を演出しました。
コストを抑えるための「〇〇調クロス」は使用せず、タイル部分には本物のタイルを、木目部分には本物の木材を、金物には真鍮を採用するなど、素材の質感にこだわっています。
職人が腕を振るった高い技術力が求められる施工により、本物志向の内装を完成させた事例となっています。
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まとめ
この記事の要点をまとめます。
- インダストリアルな内装は、無機質な工業素材とヴィンテージ感を融合させた、店舗のブランド力を高めるスタイル。
- 経年変化を楽しめる耐久性と、既存の構造を活かしたコスト配分ができるのがメリット。
- 失敗を防ぐためには、異素材との組み合わせによる居心地の確保と、清掃性や音響への実務的な配慮が不可欠。
- 費用は1平米あたり15万円〜30万円が目安、業種に合わせた照明計画や什器選びが重要。
専門業者に相談すれば、予算や業種に最適なインダストリアルデザインを提案してもらえます。
素材選びから施工まで、プロのサポートを受けながら自社のブランドアイデンティティを体現するインダストリアルな空間を実現し、唯一無二の店舗空間を作り上げてください。





