失敗しない店舗の内装業者の探し方と選び方のコツを解説
店舗を開業するにあたって、内装工事は非常に大切な工程の一つです。テナントを借りる場合も、一から新築を建てる場合も、パートナーとして内装業者を選定し、店舗の設計やデザインを依頼することになります。内装業者選びに失敗すると、自分のイメージに合った店舗づくりができないばかりか、悪質な業者とのトラブルに巻き込まれかねません。
この記事では、失敗しない店舗の内装業者の探し方や、業者選びの際に注意したいポイントを紹介します。
店舗の内装工事で業者選びが重要である3つの理由
店舗の内装工事において、業者選びが重要である理由は3つあります。
- 内装業者によって対応できるサービスが異なるから
- 内装業者によって得意分野が異なるから
- 内装業者の中には悪徳業者も存在するから
内装業者によって対応できるサービスが異なるから
内装業者といっても、デザイン専門の会社から、施工がメインの会社まで、さまざまな種類があります。
例えば、設計事務所はデザインおよび設計のみを行うことが一般的です。デザイン性の高い店舗内装を実現できますが、施工に関しては別の会社(工務店など)に依頼しなければなりません。
内装業者ごとに対応できる範囲が異なるため、前もってサービス内容を確認しておく必要があります。
内装業者によって得意分野が異なるから
また内装業者によって、強みや得意分野が異なることも知っておきましょう。
店舗内装といっても、飲食店や美容室、オフィス、アパレル、病院・クリニックなど、業種によって求められる要素が異なります。例えば、病院・クリニックは特殊建築物(無床のクリニックをのぞく)に当たるため、通常の建築物とは異なる基準を満たして内装を設計しなければなりません。
飲食店の開業なら飲食店の内装、病院・クリニックの開業なら病院・クリニックの内装を得意としている内装業者を選びましょう。
内装業者の中には悪徳業者も存在するから
内装工事やリフォームを手掛ける業者の中には、悪徳業者も存在しています。例えば、全国の消費生活センターには、以下のようなトラブル事例が報告されています。(※)
- 工事契約書の提示がなく口頭のみで強引に工事され、高額な工事費用を請求された。
- 工事中に不具合を見つけたと言って不要な工事をされ、追加費用を請求された。
- 工事費用を支払ったが工事予定日になっても工事が始まらず、リフォーム事業者と連絡が取れなくなった。
- 当初の予定と異なる住宅設備に勝手に変更され、請求額が増えていた。
こうした悪徳業者とのトラブルに巻き込まれないためにも、信頼できる内装業者を選ぶことが大切です。
※消費者庁「悪質なリフォーム事業者にご注意ください!!」p1
イメージに合う店舗の内装業者を探す5つのポイント
自分のイメージに合う内装業者を探すためのポイントは5つあります。
- 店舗内装の経験・ノウハウが豊富な業者を選ぶ
- 内装工事の施工実績を確認する
- デザインのテイストやセンスの感覚が合う会社を選ぶ
- 利用者からの口コミや評判をチェックする
- デザインから施工まで一貫して依頼できる業者を探す
店舗内装の経験・ノウハウが豊富な業者を選ぶ
内装業者の中でも、店舗内装の経験・ノウハウが豊富な業者を選びましょう。例えば、オフィスデザインをメインとしている内装業者は、店舗内装をあまり得意としていないケースがあります。飲食店や美容室、病院・クリニックなど、開業したい店舗の内装に強い業者を選ぶことが大切です。
内装工事の施工実績を確認する
店舗内装の経験・ノウハウが豊富かどうかは、施工実績を確認することで判断できます。内装業者のホームページなどで、過去にどのような内装デザインを行っているか、どのような店舗の内装を手掛けているか、といった点を確認しましょう。
施工実績が少ない内装業者に相談すると、知識やノウハウが乏しい中で手探りで工事を進めることになり、失敗してしまうリスクが高くなります。開業するのが飲食店なら飲食店、病院・クリニックなら病院・クリニックの施工実績が豊富な内装業者を選びましょう。
デザインのテイストやセンスの価値観が合う会社を選ぶ
内装業者のホームページでは、過去の施工事例が写真付きで紹介されている場合があります。内装業者によって、内装のテイストやセンスが異なるため、自分のイメージ・価値観に合う会社を選びましょう。施工事例のページには、デザインへのこだわりポイントが説明されていることもあるため、依頼する前にチェックしておくとよいでしょう。
利用者からの口コミや評判をチェックする
利用者からの口コミや評判も、内装業者を選ぶ基準の一つです。口コミの内容は、必ずしも真実とは限りませんが、悪評があまりにも多い業者は悪徳業者の可能性が高くなります。
以下の2つの方法で口コミや評判をチェックし、信頼できる内装業者かどうか見極めるとよいでしょう。
- 口コミサイトを見る
- 実際に利用された方に話を聞く
口コミサイトを見る
1つ目は、Googleマップ(Googleマイビジネス)などの口コミサイトを利用する方法です。例えば、内装業者がGoogleマイビジネスに登録している場合、インターネットで店舗名を検索すると、Googleマップのページにユーザーからの口コミ(クチコミ)が表示されます。
口コミを通じて、担当者の対応やレスポンスの早さなど、内装業者のホームページからは見えにくい部分を知れます。また施工後の写真を載せるユーザーもいるため、ホームページに掲載されていない施工事例もチェックできるかもしれません。
実際に利用された方に話を聞く
2つ目は、実際に利用された方に話を聞くという方法です。Googleマップなどの口コミサイトは、第三者なら誰でも書き込めるようになっていることが一般的です。本当の利用者ではない、いわゆる「サクラ」が口コミを投稿している場合もあります。
知人に店舗経営者がいる場合は、どのような会社に内装を依頼したか、依頼した会社の対応や技術力はどうだったか、といった点を質問してみるのもよいでしょう。
デザインから施工まで一貫して依頼できる業者を探す
内装業者を選ぶときは、デザインから施工までをワンストップで依頼できる業者をおすすめします。デザインや設計、施工をそれぞれ別の会社が担当する場合、以下のようなデメリットが生じるからです。
- 後で変更があった場合、手戻りなどの手間がかかる
- 業者間の連携がスムーズでないと工期が伸びるリスクがある
デザインから施工までトータルでサポートしてくれる内装業者なら、デザインの変更や追加の要望にも柔軟に対応できます。
店舗の内装業者選びで注意すべき5つの点
内装工事やリフォームをめぐって、全国の消費生活センターにさまざまなトラブルが報告されています。「高額な工事費用を請求される」「工事予定日になっても、内装業者と連絡が取れない」といったトラブルに巻き込まれないため、以下の注意点を知っておきましょう。
- 料金設定が曖昧な業者は選ばない
- 施工実績の掲載や紹介がない業者は選ばない
- 契約内容や納期が不明確な業者は選ばない
- 施工後の保証やアフターサービスの有無を確認する
- ポータルサイトや紹介サイトの利用は非推奨
料金設定が曖昧な業者は選ばない
ホームページなどで料金体系を明確に表示していない内装業者は、悪徳業者の可能性が高いと言われています。高額な工事費用を請求されたり、身に覚えのない追加料金を請求されたりするリスクがあるため、料金設定が曖昧な業者は選ばないようにしましょう。
施工実績の掲載や紹介がない業者は選ばない
ホームページに施工実績を掲載していない内装業者も要注意です。施工後にイメージに合わないと感じたり、設備に問題が生じたりするリスクがあります。また施工事例を確認できないため、どのような内装デザインを得意としているかも分かりません。
ただし、ホームページがなくても、InstagramなどのSNSで施工事例を紹介しているケースもあります。後述するようにインターネットでの検索を活用し、内装業者を探してみましょう。
契約内容や納期が不明確な業者は選ばない
内装工事の契約を結ぶ前に、工事契約書の内容をしっかりとチェックしましょう。契約内容に不明確な部分があったり、納期(工期)がはっきりと記載されていなかったりする業者は、悪徳業者の可能性が高くなります。
「工事費用を支払ったのに、予定日になっても内装工事が始まらない」というトラブル事例も報告されているため、契約内容や納期が不明確な業者は選ばないようにしましょう。
施工後の保証やアフターサービスの有無を確認する
施工後の保証や、アフターサービス(アフターメンテナンス)にも目を向けることが大切です。アフターサービスが充実した内装業者なら、万が一、施工後に問題が起きてもすぐに対応してくれます。店舗の完成後もサポートを続けてくれる内装業者を選びましょう。
ポータルサイトや紹介サイトの利用は非推奨
内装業者を探すため、ポータルサイトや紹介サイトを利用しようと考える方もいるでしょう。しかし、そういったサイトは広告出稿費に基づいて業者を紹介する仕組みになっているため、利用者にとっての優良業者が紹介されるとは限りません。またポータルサイトへの広告出稿費が、発注費用に上乗せされる事例も多く、予算の面でも割高になる可能性があります。
失敗しない、店舗の内装業者を探す5つの方法
自分のイメージに合った内装業者を探す方法は、大きく5つに分けられます。
- インターネットでの検索を活用しよう
- 知人や業界関係者に相談してみよう
- 展示会や内覧会を見学してみよう
- 複数の見積もりを取って比較しよう
- 相手の対応から親身になってくれるか見極めよう
インターネットでの検索を活用しよう
1つ目は、インターネットでの検索を活用する方法です。
例えば、地名や開業したい業種に「店舗内装」などのキーワードを加えると、お近くの内装業者のホームページを探せます。Google検索など、位置情報に基づいて現在地近くの店舗を見つけられる検索エンジンもあります。内装業者のホームページを見つけたら、サービス内容や施工実績を確認しましょう。
知人や業界関係者に相談してみよう
知人に店舗経営者がいる場合は、一度相談してみるとよいでしょう。店舗内装に関するアドバイスだけでなく、内装業者の紹介を受けられるかもしれません。 ただし、知人からの紹介に頼ると、イメージと合わないと思っても断りにくいという欠点もあります。
展示会や内覧会を見学してみよう
内装業者によっては、店舗内装の展示会・内覧会を開催している場合があります。展示会・内覧会に足を運べば、ホームページの写真だけでは分からない実物を見て、イメージに合う内装デザインかどうかを判断することが可能です。
複数の見積もりを取って比較しよう
店舗内装の見積もりは、できるだけ複数の内装業者から見積もりを取りましょう。見積額の相場を調べたり、予算面でより有利な業者を探したりすることが可能です。ただし、すでに依頼したい会社が決まっている場合は、相見積もりをする必要はありません。
相手の対応から親身になってくれるか見極めよう
店舗内装を依頼する際は、まず打ち合わせや調査(現地調査・土地調査)を行った上で、見積もりプランを提示する流れです。その際の担当者の人柄・対応力も、内装業者を選ぶ上で重要なポイントです。
担当者の対応に誠実さを感じなかったり、コミュニケーションを取りづらいと感じたりしたら、その内装業者を選ぶのはおすすめできません。店舗が完成するまでの期間は、テナントを借りる場合は約半年、新築する場合は約1年~1年半かかると言われています。その間、内装業者の担当者とは、長い時間をかけて打ち合わせやコミュニケーションを重ねていくことになります。担当者の対応から、パートナーとなって伴走してくれる相手かどうかを見極めましょう。
まとめ:店舗の内装工事で失敗しないため、内装業者の正しい探し方を知ろう
店舗の内装工事で失敗しないためには、信頼できる内装業者を選ぶことが大切です。
内装業者によって強みが異なるため、どのような店舗の内装を得意としているか、施工実績は豊富か、といった点を確認するのが良いでしょう。
また店舗内装では、内装業者との直契約が基本です。
ポータルサイトや紹介サイトの利用は避け、自分でホームページなどを確認し、イメージに合う業者を見つけましょう。