花屋の内装デザインのポイントと費用は?|テナント工房
-
2025.6.18
-
最終更新日:
花屋の集客力は、内装デザインにかかっているといっても過言ではありません。目の前を通りかかった人がつい足を運びたくなるような、おしゃれで魅力的な内装デザインを取り入れることが、花屋経営の成功のキーポイントになります。
そこで今回は、花屋の内装デザインの重要性や、押さえておきたい基本のポイント、失敗しない内装デザインの作り方、内装工事の費用相場について解説します。さらに、花屋開業に必要な設備や、内装業者の選び方もまとめました。
花屋の内装デザインの重要性
花屋を開業するに当たって、内装デザインにこだわるべき理由は大きく分けて3つあります。
店舗の第一印象となるため
花屋に限った話ではありませんが、壁・床・天井を中心とする内装デザインは初めて店舗を訪れた人が抱く第一印象に大きな影響をもたらす要素です。
一目見たときに「雰囲気の良いお店だな」「居心地がよさそう」と思ってもらえれば、付近を通りかかったときにふらっと来店するきっかけになります。
逆に、第一印象で「薄暗そう」「入りにくい」というイメージを持たれると、客足が遠のき、売上や業績の低下を招く要因になるため注意が必要です。
内装デザインやレイアウトによる集客効果が大きいため
お店に多くの顧客を呼び込むためには、商品である花の魅力を存分にアピールしなければなりません。
花の美しさは、ディスプレイの仕方や壁材・床材との相性、照明の当て方などによって大きく左右されるため、いかに花の魅力を引き出すデザインやレイアウトを採用するかが重要なポイントになります。
ブランドイメージと統一感を持たせるため
同じエリア内にある競合店との差別化を図るためには、ブランドイメージを確立することが重要なポイントになります。
自分の店にしかない雰囲気や演出を顧客にしっかり印象付けることができれば、他にはない魅力的なお店として固定客が付きやすくなり、リピーター率アップを期待できます。
ブランドイメージは内装デザインとの結び付きが強いため、両者に統一感を持たせれば、この店にしかない魅力やセールスポイントをしっかりアピールできるでしょう。
花屋の内装デザインにおける基本的なポイント

花屋の内装デザインを決める際に押さえておきたい基本的なポイントは大きく分けて5つあります。
ポイント1. 色彩選び
店内の色彩は、お店のイメージを大きく左右する要素の一つです。
特に花屋の場合、商品である花自体がカラフルであるため、壁・床・天井の色選びに失敗すると、まとまりのないごちゃごちゃとしたデザインになる恐れがあります。
花の魅力を引き出すためにも、壁・床・天井の色はなるべく控えめで、落ち着いた色合いを選ぶことが大切です。例えば、白やベージュ、ライトグレーなどのカラーはどの色とも相性が良いため、色とりどりの花を陳列している花屋におすすめです。
なお、壁や天井に貼るクロスは無地のものを選びましょう。柄のあるクロスを背景にすると、花のインパクトが薄れ、逆効果になってしまう可能性があるため、要注意です。
ポイント2. 照明の演出
花の色は照明の光を当てると鮮やかさが増し、より魅力的な外観になります。ただし、むやみに光を当てれば良いというわけではありません。明る過ぎる光を当てると淡い色が見えにくくなりますし、逆に光量が不足していると沈んだ色合いになりがちです。
花の色味や濃淡は種類によって異なるため、店内にある全ての花と相性の良い照明を探すのは困難ですが、既存の花屋の照明などを参考にしながら、バランスの取れるものを探すようにしましょう。
なお、照明にはオレンジ系の色が付いた電球色というタイプがあります。しかし、赤系やオレンジ系の花の色味と同化し、インパクトが薄れてしまうため、避けた方が無難です。
ポイント3. 什器選び
花屋では、レジ台の他に水切りやラッピングなどを行う作業台、花を生ける花瓶や陳列棚など、さまざまな什器を使用します。これらの什器を選ぶときは、商品である花との相性はもちろん、店のイメージやコンセプトとマッチしているかどうかも重要なポイントになります。
例えば、ナチュラルテイストのお店にしたいのなら陳列棚や作業台を木製にする、スタイリッシュな雰囲気を醸し出したいのなら、アイアンやアクリル系の素材を採用するなどです。色も、前者なら白やベージュ系、後者なら黒やシルバー系を取り入れると、店の雰囲気に溶け込んだディスプレイになるでしょう。
ポイント4. 顧客動線とスタッフ動線
店の動線には、お客さんが歩く顧客動線と、店の人間が使用するスタッフ動線の2種類があります。
顧客動線が悪いと、商品を見て回りにくい、会計しにくいなどの問題が発生し、早期退店のリスクが高くなる恐れがあります。一方のスタッフ動線も動きやすさを重視した設計にしないと、作業効率が低下してお花の世話や陳列などの業務に支障を来すかもしれません。
また、顧客動線とスタッフ動線が交差すると双方にとってストレスがたまる原因になるため、顧客とスタッフそれぞれの動きを踏まえながらレイアウトを決めましょう。
ポイント5. 花や店内を見せるファサードにする
ファサードとは建物を正面から見たときの外観のことで、いわば店の顔ともいうべき要素です。
花屋は商品である花のラインナップや、店内の雰囲気をアピールする必要があります。そのため、ファサードは花や店内を外からのぞけるデザインにするのがポイントです。例えば、扉を含めた店の正面全体をガラス張りにして内部の視認性を高めるなどして工夫すると良いでしょう。
また、店のコンセプトやテーマに合った装飾を取り入れれば、道行く人にブランドイメージを印象付けるきっかけにもなります。
失敗しない花屋の内装デザインの作り方
内装デザインは、一度施工すると簡単にやり直せません。「こんなはずじゃなかった」と後悔しないよう、内装デザインの作り方やコツをしっかり理解しておきましょう。
ここでは失敗しない花屋の内装デザインの作り方を4つのポイントに分けて説明します。
コンセプトを明確にする
内装デザインは店のコンセプトを基に細かい部分を決めていくため、まずはコンセプトを明確にするところから始めましょう。
例えば、「子どもから大人まで利用しやすい店にしたい」「ワンランク上のエレガントな店を目指したい」などです。前者なら全体的に明るくポップな内装にまとめる、後者ならシックな色合いやアンティークな什器を取り入れるなど、デザインやレイアウトの方向性が見えやすくなるでしょう。
はっきりしたコンセプトが思い浮かばない場合は、好きなテイストや色、雰囲気などをノートに箇条書きにしていくのがおすすめです。文字にして羅列すれば、曖昧だったイメージが徐々に形になっていくでしょう。
花の見せ方と収納と安全面を並行して考える
花屋のレイアウトで特に重視したいのが、商品である花の見せ方です。より美しく、魅力的な花であることをアピールするためには、店先にどの花を設置するか、陳列棚をどこに配置し、どの向きに花を並べるかなどをじっくり検討する必要があります。
例えば、人気のある花や季節の花は店先に並べる、顧客動線に合わせて花の向きを調整するなどの工夫がおすすめです。また、ポップアップや小物をアクセントとして使い、オリジナリティを出すという方法もあります。
このようにデザイン性にこだわる一方、収納や安全面にも十分配慮する必要があります。
花屋では水切りや剪定などを行いますが、これらの作業に使用するはさみ、ゴム手袋、バケツなどの道具をどこにしまうかも考慮しなければなりません。特にはさみなどの刃物を手の届くところに放置していると、お客さんがうっかり触ってけがをする可能性があります。
また、花屋では多くの水を使うため、床が滑りやすい傾向にあります。お客さんやスタッフが滑って転ばないよう、滑りにくい床材を使用するか、滑り止めのマットを敷くなど、安全面への工夫も取り入れたいところです。
見た目だけにこだわると収納や安全面がおろそかになる可能性があるため、3つの要素を並行して考えるよう心掛けましょう。
スタッフ動線を意識したレイアウトにする
花屋のスタッフは、レジと作業台、陳列棚を往き来しながら一日の業務をこなします。中でも滞在時間が長いのは作業台になるため、作業台とレジ、陳列棚の距離をなるべく短く設計するのがポイントです。
それと同時に、顧客動線とはなるべく重ならないようなレイアウトにすることも意識しましょう。店内が狭い場合、完全に交差しないよう配慮するのは難しいかもしれませんが、お客さんとスタッフの接触が少ないほどストレスが軽減されます。
内装業者との打ち合わせをしっかりと行う
自分の思い描いた理想の花屋を実現するには、内装業者と綿密な打ち合わせを行い、要望やニーズをきちんと伝える必要があります。
施主と業者の認識に食い違いがあると、デザインやレイアウトに不備が生じたり、ニーズがうまく反映されなかったりと、さまざまな問題が起こる原因となります。そのため、業者とは細部まで話し合い、互いの認識に食い違いや誤解が生じていないか、しっかり擦り合わせることが大切です。
なお、業者との打ち合わせでは設計の方向性だけでなく、経営方針やコンセプト、取り扱う商品の魅力、予算や使用する什器なども伝えるのがポイントです。正確な情報を伝えれば、内装業者も顧客のニーズを把握しやすくなり、適切な提案やアドバイスを提供してくれるでしょう。
花屋に必要になる設備
花屋を運営するには、さまざまな設備が必要になります。ここでは主な設備を3つに分けて説明します。
冷蔵庫
花屋には、フラワーキーパーとストッカーという2つの役割を担う冷蔵庫が必要です。
フラワーキーパーとは花の品質を保持するための冷蔵庫で、花の天敵である高温多湿を防ぎ、鮮度を保つことを目的としています。ただ花を保管するだけでなく、ディスプレイとしての活用も前提としているため、ガラス張りでデザインもおしゃれなものが多く見られます。
一方のストッカーは花の在庫を管理するための冷蔵庫です。バックヤードに設置することが多いため、機能性重視のプレハブ仕様になっているものも見られます。同じ冷蔵庫でも、それぞれ役割や仕様が異なるため、両方ともそろえるのが一般的です。
陳列棚
売り物の花を陳列しておく棚は、製品によって高さや幅、奥行きなどに違いがあります。幅や高さのある棚を選べばより多くの花を陳列できますが、一方で圧迫感が強くなる、お客さんやスタッフの目や手が届きにくくなるといった問題もあります。
必要十分な花を並べつつ、圧迫感や威圧感のないレイアウトにするためには、棚のサイズや設置する数に気を付けることが大切です。このような問題を解決するために、階段状になった陳列棚や、デザイン性と収納性を併せ持った互い違い棚の設置を検討してみましょう。
また、花は季節によって場所を入れ替える場合もあるため、可動式のバスケットやワゴンなどの導入を検討してみても良いかもしれません。
作業台、ラッピング台
花屋では、水切りや剪定、アレンジメント、ラッピングなどを行う作業台が必要になります。安全かつスピーディに作業ができるよう、なるべく面積が大きく、丈夫な台を選びましょう。
中には、レジ台と作業台が兼用になるタイプもあります。省スペースで設置したい場合は検討してみると良いでしょう。また作業台では、はさみやリボンなどさまざまな道具を使用するため、台の下の収納もチェックしておくのがおすすめです。
花屋の内装工事の費用の目安
花屋の内装工事にかかる費用は、デザインやレイアウト、導入した設備、店の規模などによって大きく異なります。そのため、一概にいくらと断言はできませんが、おおよその相場を知っておけば、どのくらいの費用を準備すれば良いのか考える目安にもなります。
ここでは花屋の内装工事の費用相場と、コストを抑えるためのポイントをまとめました。
費用の相場と内訳
花屋の内装工事の主な内訳は以下の通りです。
● デザイン費
● 内装工事費
● 設備工事費
内装工事費とは、天井、壁、床の施工費や什器代などです。一方の設備工事費は、空調や電気、ガス、水道などの工事費を指します。
上記の内訳を全て合算すると、1坪当たりの単価は30~50万円程度とされています。例えば20坪の店なら、「30万円~50万円(単価)×20(坪)=600万円~1,000万円」がおおよその相場と考えられるでしょう。
工事費用を抑える方法
花屋の内装工事費をできるだけ安く抑える方法には以下のようなものがあります。
● 相見積もりを取る
● 居抜き物件を探す
● 中古品を活用する
内装工事費は、施工内容が同じでも依頼する業者によって費用に差が出る場合があります。なるべく複数の業者から見積もりを取り、より良い条件を提示してきた業者に施工を依頼すると良いでしょう。
また、以前の店舗の内装をそのまま活用する居抜き物件を探すというのも一つの方法です。躯体のみのスケルトン物件と比べると自由度はやや劣りますが、前の店舗の設備や什器をそのまま活用すれば、内装工事費の大幅な節約が可能です。
不足しているものや、古くて使えないものは別途調達する必要がありますが、新品にこだわらず、状態の良い中古を購入すればトータルでの費用を安く抑えられるでしょう。
内装業者の選び方のポイント
内装工事を請け負う業者は複数ありますが、業者によって実績や料金体系、サービス内容などに違いがあります。満足できる内装デザインを実現するために、業者選びは慎重に行いましょう。
ここでは内装業者を選ぶ際のポイントを3つご紹介します。
店舗内装の経験・ノウハウが豊富な業者を選ぶ
店舗内装の経験やノウハウが豊富な業者ほど、施主のニーズを正確に把握し、デザインや設計、施工に反映させるのが得意です。漠然としたイメージを伝えるだけでも、過去の実績や経験を基に適切なアドバイスをしてくれるため、理想の内装を実現しやすくなるでしょう。
店舗内装の経験やノウハウの有無については、業者のWebサイトに掲載されている実績や事例をチェックするのがおすすめです。
デザインのテイストやセンスの感覚が合う会社を選ぶ
内装デザインのセンスには個人差があるため、同じ条件で依頼を出したとしても、業者によってテイストやレイアウトは変化します。
価値観やセンスの合わない業者に選ぶと、イメージと異なる内装デザインになるかもしれません。あらかじめWebサイトの施工事例をチェックし、自分の好みや価値観に合うかどうか確認しておきましょう。
併せて、業者の経営理念やコンセプトなどもチェックしておくと、何を重視してデザイン・設計しているのか判断する材料になります。
デザインから施工まで一貫して依頼できる業者を探す
店舗内装のデザインや設計は、設計事務所やデザイン事務所に依頼することも可能です。ただし、これらの事務所で請け負うのはデザイン・設計のみです。施工は、他の業者に別途依頼する必要があります。
2つの業者をまたぐとデザイン・設計と施工の間にタイムラグが生じる可能性がある他、業者間で伝達ミスなどが生じると、内装に対する要望やニーズが施工に反映されない恐れがあります。
短期間かつ正確な内装工事を目指すのなら、デザインから施工まで一貫して請け負う業者に依頼した方が良いでしょう。
まとめ:花屋の内装デザインはプロに相談しながら決定しよう
花屋の内装デザインは、商品である花の魅力を引き立てる色彩選びや照明の演出、什器選びを行うとともに、顧客動線やスタッフ動線にも配慮しなければなりません。初めて花屋を開業する方にとって、花屋ならではの特性を踏まえながら、コンセプトやテーマに適したデザイン・レイアウトを考えるのは難しい部分もあるでしょう。
内装工事は一度施工すると簡単にやり直しが利かないため、後悔しないためにも、信頼できる内装業者に相談しながら内装デザイン・設計を考えることをおすすめします。店舗内装の経験・ノウハウが豊富で、かつ自分とデザインの価値観やセンスが合っている業者を選べば、理想の花屋を実現しやすくなるでしょう。
~関連記事でこちらの記事も読まれています!~
店舗設計の依頼方法から費用・流れ・業者の選び方までまとめて解説
店舗の外装デザインが大切な理由と外装デザインのポイント