軽飲食と重飲食の違い!開業前に知っておくべき基礎知識|テナント工房
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2025.9.3
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最終更新日:
飲食業で提供するメニューは、店内に設置している設備などに応じて軽飲食と重飲食の2つに分類されます。特に重飲食は物件選びに制限が設けられている他、厳しい防火対策や安全基準などをクリアする必要があるため、開業する際は注意が必要です。
今回は飲食店の開業を目指している方向けに、軽飲食と重飲食の違いや、重飲食の飲食店の開業が難しい理由、重飲食店に求められる内装デザインの設計ポイント、軽飲食と重飲食の内装コストの違いについてまとめました。
軽飲食と重飲食の違い
飲食店を開業する前に知っておきたい軽飲食と重飲食の定義や、具体的な例を解説します。
軽飲食の定義
軽飲食とは、調理の際に臭いや煙などが出にくい飲食業の業態を指す言葉です。後述する重飲食に比べると、臭いや煙への対策がさほど必要ないため、特別な厨房設備を必要としません。
一般家庭でも見られるような調理器具や設備のみで営業できるため、内装工事の手間と時間、コストを省けるところが特徴です。もちろん、飲食業の開業に必要な条件は満たす必要がありますが、間取りや設備が整っていれば自宅でも開業できます。
軽飲食の例
軽飲食に該当する飲食店の例には以下のようなものがあります。
● カフェ・喫茶店
● スナック・バー
● サンドイッチ専門店
● スイーツ店
これらの店はアルコールやドリンクの提供率が高いことや、料理に火をあまり使わないという共通点があります。
重飲食の定義
重飲食とは、火を使用する本格的な調理を行う飲食店の業態を指す言葉です。特に油や臭い、煙などを多く排出する調理を行うところが特徴で、飲食店の大半は重飲食に該当します。
油や臭い、煙は店内やその建物だけでなく、周辺の環境にも影響を及ぼすことから、一般的な設備ではなく、より本格的な厨房設備や排気・排煙設備などを整えなければなりません。
設備や機器が不十分だと営業許可が下りない可能性がある他、営業後に建物のオーナーや近隣の住民からクレームが寄せられるリスクもあるため、内装工事には十分注意する必要があります。
重飲食の例
重飲食に該当する例には以下のようなものがあります。
● レストラン・定食屋
● 居酒屋・ダイニングバー
● 焼肉店・焼き鳥店
● 中華料理屋
● カレー専門店
● ラーメン屋
● お好み焼き屋
なお、上記に該当する飲食店であっても、その店舗で行われる調理の工程によっては軽飲食に分類されるケースもあります。
例えば、中央調理施設で食品の調理や仕込みを行い、出来上がった料理を各拠点で提供するようなセントラルキッチン制を導入しているケースでは、中央処理施設は重飲食に該当しますが、各拠点は軽飲食に分類されます。
重飲食の飲食店の開業が難しい理由

比較的手軽にオープンできるとされる軽飲食に対し、重飲食に該当する飲食店は開業までのハードルが高いといわれています。その理由は大きく分けて3つあります。
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重飲食不可の物件がある
前述したように、重飲食は油や臭い、煙が多く出る業態であるため、建物や周辺環境に大きな影響をもたらしやすい傾向にあります。煙や臭いは同じ建物や近隣住民からクレームが寄せられる原因になる他、建材に臭いや油染みが付くなど建物自体へのダメージも大きくなるからです。
また、重飲食には本格的な給排水設備や排気設備、容量の大きい電気・ガス機器などが必要になりますが、全ての物件がこれらのインフラ設備を備えているわけではありません。
以上のような事情から、貸店舗の中には重飲食不可としている物件も多く、選択肢が狭まるため、開業が難しいといわれています。
設備容量が不足しやすい
設備容量とは、使用する設備がどれだけの電力やガスを消費するかを示すものです。火や油を多く使用する重飲食は、軽飲食よりも電気やガスの設備容量が大きくなるため、より大容量のアンペア数を契約したり、ガスメーターの号数をアップさせたりする必要があります。
アンペア数や号数は、数字が大きければ大きいほど初期費や維持費が高くなるため、コストの問題から重飲食の開業は難しいといわれることも多いようです。
貸主・オーナーからの許可が得れない
近隣からのクレームや、建物へのダメージを懸念した貸主やオーナーが重飲食の許可を出してくれないケースもあります。
重飲食不可の物件であるにもかかわらず、無断で重飲食を開業した場合、損害賠償を請求されたり、訴訟に発展したりするリスクがあるため、貸主・オーナーからの許可を得るのは必須です。
設備面の条件を満たしていても、オーナーがNGを出している物件は珍しくないため、最初から重飲食可の物件を探さなければならないでしょう。どうしてもその物件で重飲食を営業したい場合は、敷金や保証金、家賃などの増額を提示したり、臭いや煙対策に必要な設備工事の負担を申し出たりして交渉する必要があります。
重飲食を安全・快適に営業するためには、内装デザインにて防火対策や安全性への配慮、十分な調理スペースの確保、高性能な排気設備の導入を行う必要があります。
ここでは重飲食店に求められる内装デザイン・設計のポイントを3つご紹介します。
防火対策と安全基準
床面積が10m²を超える飲食店は特殊建築物に該当し、建築基準法にて火災被害の拡大を防ぐための内装制限が設けられています。具体的には、店内の壁や天井は難燃以上の素材を用いる必要がある他、調理室等の壁・天井は準不燃以上の素材を採用することが義務づけられています。[注1]
これらの安全基準を満たせていない場合、建築確認申請を行っても許可が下りないため、素材選びには十分に注意しましょう。また、最低限の安全基準をクリアするだけでなく、コンロ周りに防火壁紙を貼る、適切な場所に必要な数の消化器を設置する、スプリンクラーを取り付けるなどの防火対策を徹底することを心掛けましょう。
広めの調理スペースの確保
重飲食は軽飲食よりも本格的な設備を導入する必要があるため、広めの調理スペースが必要です。また、重飲食では油を多く使用するため、厨房が狭いと調理中に油が跳ねたときに従業員がヤケドを負うリスクが高まります。
以上の点から、重飲食の調理スペースはできるだけ広く取るのが理想です。ただし、延べ床面積が広くなると月々の賃料も割高になる傾向にあるため、予算との兼ね合いも考慮しながら物件を選ぶようにしましょう。
また、調理スペースに必要な面積はお客さんの回転率や席数などによって左右されるため、ピーク時に見込まれる客数を基準に、必要な調理スペースの面積を算出することが大切です。一般的に、厨房の広さは客席のスペースの1/3程度が目安とされていますが、提供するメニューや必要な厨房機器、従業員の人数が多い場合はより広いスペースが必要となるケースもあります。
どのくらいのスペースを確保すれば良いか分からない場合は、内装のプロに相談してアドバイスを仰ぎましょう。
排気設備の重要性
重飲食店では煙や臭いが大量に発生するため、高性能な排気設備を導入することが大切です。
一般的な換気扇などでは十分な排気は望めないため、厨房に設置した排気フードから取り込んだ煙や湯気を送り込む排気ダクトを設置するのが一般的です。排気ダクトの設置には煙や湯気を屋外に排出させるための穴が必要になるため、物件の壁に穴があるかどうかを確認しておきましょう。
穴がない場合は新規で開ける必要がありますが、既存の穴があったとしても、店の規模やメニューによっては、より大きなダクトが必要になる場合があるため、拡張工事が必要になることもあります。
軽飲食と重飲食の内装工事費用の違い
軽飲食と重飲食では、必要となる設備に違いがあるぶん、内装工事費用にも差が出ます。また、飲食店を開業する物件が、構造体だけのスケルトン物件か、内装設備がそのまま残っている居抜き物件かによっても内装工事費に大きな差が生じます。
以下では参考までに、軽飲食と重飲食の内装工事費用(坪単価)の相場を物件の種類別にまとめました。
| 軽飲食 | 重飲食 | |
|---|---|---|
| スケルトン物件 | 35万円~/坪 | 80万円~/坪 |
| 居抜き物件 | 25万円~/坪 | 約35万円~/坪 |
もちろん上記はあくまで目安であり、内装デザインにこだわった場合や、より多くの設備を導入した場合はさらに坪単価が高くなる可能性があります。より詳しい内装工事費を知りたい場合は、内装業者に見積もりを作成してもらいましょう。
なお、見積もりを取る際はなるべく複数の業者に依頼し、内容を比較することが大切です。相見積もりを取れば自分が希望している内装工事のおおよその相場を知れますし、より良い条件を提示した工事業者に施工を依頼すればコストの節約になるでしょう。
まとめ:軽飲食と重飲食の違いを正しく理解し、それぞれに適した内装設計をしよう
軽飲食と重飲食では、油や火の使い方、厨房機器や設備の違いなどに大きな違いがあります。
軽飲食は要件のハードルが低いため物件の選択肢も豊富ですが、本格的な厨房設備や高性能な排気設備などが必要になる重飲食は選択肢が少ない上、求められる環境要件も厳しくなりがちです。そのため、重飲食を開業する際は飲食店の内装工事に詳しいプロの力を借りながら、ポイントを押さえたデザイン・設計を心掛けましょう。
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