店舗内装に必須!パース図とは何かを徹底解説|テナント工房

  • 2025.6.18

  • 最終更新日:


店舗内装を考えるときは、パース図の作成が欠かせません。パース図を活用すれば、より理想的な店舗内装を実現しやすくなりますが、初めて店舗内装を手がける方は「そもそもパース図って何?」「どんなメリットがあるの?」と疑問に思うかもしれません。

そこで今回は、店舗内装に必須とされるパース図とは何か、基礎知識を解説するとともに、店舗内装でパース図を使うメリットと費用相場、業者への依頼方法を紹介します。テナント工房が手がけたパース図の事例も紹介しているため、これから店舗内装を検討するという方はぜひ参考にしてください。



パース図とは何か?

パース図とは、物体の立体感や奥行きを図で表現したものです。店舗内装においては、建物の内観や外観の完成予想を立体で表現した図を意味します。通常、デザイン図や設計図は平面で描かれますが、立体的なパース図を用いることで、よりリアリティのある完成イメージを実現します。


店舗内装におけるパース図の役割

店舗内装におけるパース図の役割は、内装設計や内装デザインのイメージをビジュアル化することです。一般的に設計図と呼ばれる内装の平面図は、建物の内観を真上から見下ろしたときの様子を図で表したもので、室内全体のレイアウトが一目で分かるところが特徴です。

ただし、真上から見た図は立体感に乏しいため、どのくらいの奥行きがあるのか、室内の雰囲気はどのようになるのか、といったリアルな感覚はなかなかつかめません。

立体的なパース図を使用すれば、立体感やサイズ感をよりリアルに感じられるため、平面図だけでは分からなかった要素を把握しやすくなります。


異なるタイプのパース図

店舗内装に用いられるパース図は、大きく分けてCGパースと手描きパースの2つに分類されます。

CGパースとは、パソコンのソフトを利用して作成するパース図のことです。2Dと3D両方のパース図を作成することが可能で、かつリアルな図を生成できるところが特徴です。

一方の手描きパースは、その名の通り、手描きで作成します。専用のパソコンソフトがなくても、紙と筆記用具があれば作成できる手軽さが利点です。

どちらにもメリット・デメリットがあるため、目的やニーズに合わせて使い分ける人も多いようです。


2Dと3Dパースの違い

2Dパースとは、建物の内観を水平方向と垂直方向から捉え、二次元の平面上に描き出す図のことです。主に手描きパースに代表される手法で、かつては2Dパースが主流でした。

一方の3Dパースは、三次元の空間を二次元の平面上に表現した図のことです。2Dパースよりもさらに立体的に表現できるため、奥行きや遠近感まで体感できるようになります。そのぶん、実際の雰囲気やサイズ感も把握しやすく、デザイン・設計した内装を具体化したらどうなるか、はっきりイメージできるところが大きな特徴です。

ただし、3Dパースの作成には技術がノウハウが必要です。そのため、専門の業者に作成を依頼するケースも多いでしょう。



店舗内装でパース図を使うメリット


パース図の作成には手間や費用がかかりますが、そのぶん多くのメリットがあります。ここでは、店舗内装でパース図を使った場合に期待できるメリットを4つご紹介します。


視覚的にイメージしやすい

平面図の場合、どこに何があるかを一目で確認できる一方、物体のサイズ感や空間の奥行きなどをイメージしにくいという難点があります。

その点、パース図は壁・天井・床のデザインから、什器の配置、光の当たり方などを忠実に再現できるため、内装デザインをより視覚的にイメージしやすくなります。特にCGを使った3Dパースなら、まるで自分が店内にいるかのようなリアルな図を実現できるため、店内の雰囲気も体感することが可能です。


デザインの修正が容易

CGパースはパソコンで作製するため、アナログな手法で作製した図よりも修正や変更を容易に行えるというメリットがあります。

パース図でイメージを具体化した結果、「思っていた雰囲気と違う」「もっと開放感のあるレイアウトにしたい」といった不満や要望が出た場合でもすぐに修正できるため、満足のいく仕上がりに近づきやすいです。

また、修正が容易なぶん、スケジュールの大幅な調整が起こりにくいというのも利点の一つです。


コミュニケーションの円滑化

理想の内装を実現するには、施主と内装業者間で円滑なコミュニケーションを取る必要があります。

パース図を使用すれば、設計・デザインのコンセプトやテーマを分かりやすく伝えることができるため、より理想に近い店舗内装を目指せます。また、3Dパースはデジタルデータとして送受信できるため、郵送でやり取りする手間を省けるところもメリットです。


間違い防止と精度向上

施主と内装業者のやり取りに不備や食い違いが生じると、デザイン・設計に要望が反映されず、不満の残る仕上がりになってしまう恐れがあります。

パース図を使用してイメージを視覚化すれば、万が一、デザインや設計にミスがあっても間違いを指摘しやすくなり、設計の精度を高めることができます。特に複雑な設計意図がある場合、イメージを把握しやすいパース図が使用することによって、現場にも正確かつスムーズに施主の意図・要望を伝えられるでしょう。



パース図の費用について


パース図の作成を業者に依頼する場合、別途パース図の制作費用が必要になります。パース図の制作費用は業者によって異なります。その他、内装デザインへの要望やニーズ、店舗の規模などに応じても変動するため、あらかじめ大まかな費用相場をチェックしておきましょう。

ここではパース図の費用相場や価格に影響を及ぼす要因、コストを抑える方法、価格に含まれるサービス内容についてまとめました。


パース図作成の費用相場

パース図作成の一般的な費用相場は以下の通りです。

  • シンプルなパース図:4万円~
  • 複雑なパース図:10万円~20万円程度
  • 大型商業施設のパース図:12万円~15万円以上

上記のように、デザイン・設計がシンプルか複雑か、店舗が小規模か大規模かなどの条件によって費用相場に大きな差が出ます。

一般的に、デザインが複雑で、かつ店舗の規模が大きいほどパース図の作成にかかる費用も高くなると考えておけば良いでしょう。


価格が変動する要因

パース図の作成費用が変動する主な要因には以下のようなものがあります。

  • 店舗の種類
  • 店舗の規模
  • デザイン・設計の複雑さ
  • アングル
  • カット数

内装デザインは店舗の種類によって空間の演出やレイアウトなどに違いがあるため、価格にも少なからず影響します。また、店舗内装のパース図は基本的に人の目線を基にして作成されますが、「真上から見下ろした俯瞰図も欲しい」など異なるアングルのパース図を依頼する場合は別途追加費用が発生します。

さらに、カット数も価格に影響を与える要因の一つです。例えば、同じアングルのカットでも「朝晩両方のカットが欲しい」という場合は、光の当て方や照明の演出などを新たに考慮してパース図を作成しなければならないため、追加料金の対象となります。


コストを抑える方法

パース図作成の費用をなるべく抑えたいときは、以下の方法を実践してみましょう。

  • 相見積もりを取る
  • 納期に余裕を持たせる
  • サイズを抑える
  • まとめて発注する

パース図の料金体系は業者によって異なるため、なるべく複数の業者から見積もりを取り、より条件の良いところを選択すれば費用を節約できます。

また、納期に余裕を持たせて依頼するのもコスト削減のコツです。納期を短く設定すると、業者側も人手を費やして対応しなければならないぶん、通常よりも料金が割高になるケースが多いため、注意しましょう。

他にも、パース図のサイズを抑える、複数のパース図をまとめて発注するなどの工夫を取り入れると、費用を安く抑えられます。


価格に含まれるサービス

パース図費用にあらかじめ含まれているサービス内容は業者によって異なりますが、一般的な内訳は以下のようになっています。

  • パース制作費用
  • 図面データ渡し
  • 軽微な修正

軽微な修正とは、色調の補正やマテリアル調整などを指します。業者によってはある程度のアングル変更も基本サービス内容に含まれる場合もあるようです。

一方で、デザインや仕上げの方向性が大きく変わるような修正・変更は追加料金の対象となるため、あらかじめ注意しましょう。

ただし、前述した通りサービスの内容は業者によって異なるため、見積もり依頼時か、あるいは事前の問い合わせで業者に基本料金の内訳をきちんと尋ねておくことをおすすめします。



パース図の依頼方法

パース図は自分で作成することも可能ですが、作業に慣れていないとかなりの時間と手間がかかります。また、自作すれば依頼費用は削減できますが、専用のパソコンソフトなどをそろえると相応の初期費用が発生します。

さらに、パース図作成の知識やノウハウがないと満足のいく仕上がりは期待できないため、初めて店舗内装を手がける場合はプロの業者にパース図の作成を依頼した方が良いでしょう。

ここではパース図を業者に依頼する場合のポイントや流れを紹介します。


専門業者の選び方

パース図作成を依頼する専門業者を選ぶときは、以下のポイントを基準にしましょう。

  • 実績の豊富さ
  • 対応の丁寧さ
  • 価格の適性さ
  • アフターフォローの有無

実績が豊富な業者ほど、施主のニーズを正確に把握し、要望を反映したパース図を作成してくれます。実績は業者のWebサイトに掲載されている制作事例などで確認できるため、事前にチェックしておきましょう。

また、問い合わせの際のスタッフの対応も重視したいポイントの一つです。具体的には、問い合わせや見積もりに対するレスポンスが早いか、こちらの質問に対して適切な回答をしてくれたか、ヒアリングの姿勢が丁寧か、などです。スタッフの対応が悪いと、コミュニケーションに食い違いが生じる原因となるため、できれば対面や電話で対応の良し悪しを確認しておきましょう。

他にも、見積もりで提示してきた価格が妥当かどうか、アフターフォローの体制は整っているか、などを調べておくと、予算オーバーや施工後のトラブルなどを予防できます。


依頼時の注意点

パース作成を依頼するときの注意点は大きく分けて2つあります。

まず1つ目は、必要な資料データをそろえることです。パース図を作成するときには、平面図や展開図、床伏図、配灯図など、さまざまな図面が必要になります。

これらの書類を準備できないと、細かな要望やニーズが伝わりにくく、作成するときにもかなりの時間を要する原因となります。業者によっては手描きのスケッチだけで対応してくれるところもありますが、その場合、作成にかかる費用が割高になってしまうため、要注意です。

2つ目は修正の対応とタイミングです。業者から納品されたパース図に変更や修正を加える場合、基本料金の範囲内で収まるケースと、別途追加料金が必要になるケースの2パターンに分かれます。

追加料金が発生すると予算をオーバーしてしまう恐れがあるため、事前の打ち合わせで詳細を詰めておくのはもちろん、基本料金でどこまで修正・変更に対応してもらえるか確認しておくことが大切です。

なお、修正・変更が可能なのは校了前までです。それ以降は基本的に修正・変更は不可になるため、確認用のデータが送付されてきた段階で違和感を覚えたら、すぐに修正・変更を相談しましょう。


仕上がりまでの流れ

パース図を業者に発注してから仕上がりまでの基本的な流れは以下の通りです。

  • 業者から見積もりを取り寄せる
  • 業者にパース図作成を依頼する
  • 必要な資料を準備する
  • アングルを確認・決定する
  • 確認用データの仕上がりをチェックする
  • 納品データを受領する

上記のプロセスの中で、不明点が出てきた場合は業者に都度連絡を取りましょう。

業者任せにしていると、仕上がりに不満を感じたり、追加料金が発生する事態に陥ったりする可能性があるため、密なコミュニケーションを取ることが大切です。



まとめ:パース図を活用して、理想の店舗内装を実現しよう

パース図を使用すれば、店舗内装のイメージを詳細に表現できるようになります。店舗の雰囲気や店内のサイズ感、立体感などを体感しやすくなるぶん、より理想的な内装に近づけることができます。

なお、パース図の費用や仕上がりの質は業者によって異なるため、相見積もりや制作事例のチェックをしっかり行い、信頼できる業者に依頼しましょう。




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