焼鳥屋の内装デザインのポイントとは?費用についても解説|テナント工房

  • 2025.5.13

  • 最終更新日:


原価が比較的安く、調理法もシンプルな焼鳥屋は、数ある飲食店の中でも成功しやすいジャンルとされています。しかし、競争率は高いため、お店の内装などにこだわって他店舗との差別化を図ることが重要なポイントです。

本記事では、焼鳥屋の内装デザインが大切な理由や、デザインのポイント、おしゃれにするコツ、内装デザインにかかる費用の目安について解説します。また、焼鳥屋の内装デザインをプロに依頼すべき理由もまとめています。これから焼鳥屋を開店しようと考えている方はぜひ参考にしてください。



焼鳥屋の内装デザインが大切な理由

焼鳥屋の内装デザインが重要とされる理由は、集客力に大きな影響をもたらすためです。

インターネットが広く普及し、さまざまな情報を簡単にWebで調べられるようになった今、お客さまの多くは事前にお店の情報を下調べします。その際、内装を見て「居心地が悪そう」「安っぽそう」というネガティブなイメージを抱かれると、選択肢から早々に外れてしまいます。

飲食店の要となる味については実際に食べてみるまで分からないため、まずは魅力的な内装で集客し、それから味で勝負するのが成功への近道といえるでしょう。



焼鳥屋の内装デザインをするためのポイント

焼鳥屋の内装デザインをするに当たって押さえておきたいポイントは大きく分けて5つあります。


コンセプトを決める

内装デザインを考える際、まず決めておかなければならないのが内装コンセプトです。

どのようなお客さまをターゲットにしているのか、どういった雰囲気のお店にしたいのか、といったコンセプトを明確にしておかないと、デザインに統一性がなくなり、誰にも響かないお店になりかねません。

「ファミリーも気楽に利用できるお店にしたい」「従来の焼鳥屋のイメージを払拭するような高級感溢れる店を目指したい」など、土台となるコンセプトをあらかじめ明確にしておきましょう。


動線を考慮したレイアウトを考える

お店の動線には、お客さまから見た客動線と、スタッフ目線のサービス動線の2種類があります。

前者はお客さまが店内を歩くルートのことで、動線が悪いとストレスを感じ、リピート率を著しく低下させる原因となりかねません。一方のサービス動線はスタッフの動きに影響するため、動線が悪いと作業効率の低下を招きます。以上の理由から、内装デザインを考える際は客動線とサービス動線の良さをいかに両立するかが重要なポイントです。

サービス動線は一般的に短い方が良いとされていますが、客動線については内装のデザインコンセプトに左右されます。例えば、回転率の早い大衆店を目指すならなるべく短く、ゆとりのある高級店にしたいのなら動線が多少長くなってもゆったりとしたスペースを確保するのがおすすめです。


カウンターと座席の配置を決める

カウンターと座席をどこに、どのように配置するかは店の規模や面積によって異なります。

空間が狭い場合はカウンター席のみ設置するケースも多いですが、イスとイスの間隔が狭過ぎると窮屈になるため、適度な間隔で設置する必要があります。一方、店内の面積がある程度広い場合はカウンター席に加え、テーブル席の配置も考えなければなりません。

テーブルの数が多いほど、より多くの集客を見込めますが、テーブル同士の間隔が狭いと客動線が悪くなる恐れがあります。特に、席から出入口までの動線は十分なスペースを確保しておかないとストレスを感じやすいため、レイアウトには十分配慮しましょう。


使用する焼鳥機の種類を決める

焼鳥機は使用する熱源によって大きく4つの種類に分類されます。それぞれにメリット・デメリットがあるため、ニーズや予算に合わせて適切なものを選びましょう。

ガス式


バーナーから出る火で放熱板を熱し、焼鳥を焼くタイプです。簡単に点火できることと火力が常に安定しているところが利点ですが、場合によってはガス栓の増設やガス管延長などの工事が必要になることもあります。

遠赤外線式

バーナーから発生する熱源を遠赤外線放射熱に転換して焼鳥を焼くタイプです。遠赤外線効果により、素材をむらなく焼き上げられるところが特徴です。

電気式

電熱線に電流を流して発熱させ、焼鳥を焼くタイプです。安定した電圧を使用することで常に高温を維持できることと、煙が出にくい仕様になっていることから、手軽に使えるところが利点です。

一方で、本体の価格は比較的高めである上、200V以上の電源を必要とする機種が多いことから、電気工事が必要になる可能性もあります。

炭火焼


炭床に炭を並べて火をおこし、焼鳥を焼くタイプです。外はパリパリ、中はジューシーに焼き上がる上、炭火の香りを付けられるため、より本格的な焼鳥を提供できます。

ただし、火をおこすのに時間がかかる上、火力調整が難しいという問題があります。また、他のタイプに比べると煙が出やすいため、性能の良い排煙ダクトを設置する必要があるでしょう。


空調や換気設備は状態が良いものを使用する

焼鳥屋は煙や匂いが付きやすいため、空調や換気設備の導入は必須です。特に炭火焼の焼鳥機は煙が充満しやすいため、高性能な空調・排気設備を導入しないと居心地の悪い空間になってしまいます。

空調や排気設備のサイズ、性能、機能は製品によって大きく異なるため、予算を考慮しながら、なるべく状態の良いものを選択することが大切です。



焼鳥屋の内装デザインをワンランク上に!おしゃれにするコツ


集客率をアップするには、一目で人の興味・関心を引きつけるようなおしゃれな内装を目指すことが大切です。ここでは他店との差別化を図れるおしゃれな内装デザインのコツを4つご紹介します。


テイストを統一する

店のコンセプトやテーマを基に、デザインのテイストを統一化しましょう。天井や壁、床の素材と、テーブルやイスといった家具のデザインがちぐはぐになっていると、まとまりがなくて落ち着かない内装になってしまうため、要注意です。

以下では参考までに、焼鳥屋の内装デザインの主なテイストを4つまとめました。

和モダン

和モダンとは、日本の伝統と現代的なデザインを併せ持ったスタイルのことです。

例えば、畳や障子といった和のアイテムを採り入れつつ、間仕切りの少ないオープン空間に設計するなどです。また、配色も現代的なモノトーンを基調に、要所で茶や深緑を採り入れることで、シックで高級感のある空間を演出できます。

レトロ

レトロとは、大正や昭和時代に流行したものを採り入れ、ノスタルジックな雰囲気を演出するデザインです。

例えば、アンティーク感の強いブラウン系の木材を壁材として使用する、提灯や昭和のポスターなどの小物を上手に活用する、昔懐かしいデザインのテーブルやイスを設置するなどです。

レトロなデザインは年配の方には懐かしさを与える一方、若年層には新鮮な魅力を感じさせるため、幅広いターゲット層にアピールできます。

和風

純和風な内装は和モダンに比べると重厚感があり、より高級な雰囲気を演出できます。畳や障子、襖などの他、漆塗りの食器を使ったり、和紙の照明を採り入れたりと、細かな部分まで和にこだわることで、和モダンの店舗との差別化を図れます。

ただし、純和風のデザインは和モダンよりもコストがかかりやすい点に注意しましょう。

洋風

焼鳥屋というと和のイメージが強いですが、最近はモダンなカフェ風のデザインを採り入れた洋風の焼鳥屋も増えています。

スタイリッシュな内装はおしゃれ度が高く、デートや女子会で焼鳥を食べたいというターゲット層の心をつかみやすいでしょう。メニューにも洋風のオードブルやワインなどを採り入れやすいため、提供できる料理の幅も広がります。

間接照明をうまく活用することで、おしゃれで居心地の良い空間を演出できます。例えば、テーブルごとにペンダントライトを設置して落ち着いた雰囲気を演出するなど、明るさや位置に工夫を加えるだけで空間の印象は大きく変わります。


色彩の選び方にこだわる

内装の配色は、店内に一歩足を踏み入れたときの印象を大きく左右する重要な要素です。コンセプトやテーマに合わせた色彩を上手に採り入れ、居心地の良い空間を作り出す工夫を採り入れましょう。

例えば、高級感のある店にしたいのなら黒や茶など落ち着きのある配色をベースにする、ファミリーでも入りやすい空間にしたいのならオレンジや黄色、白などを採り入れて明るいイメージを出すなどです。

なお、一つの空間に多くの色を使用するとごちゃごちゃしてまとまりのない印象を与えてしまうため、使う色の数はなるべく絞った方が良いでしょう。


鉄×木など異なる素材を組み合わせる

一つの素材で統一するよりも、一部に他の素材を使用するとほど良いアクセントになります。

例えば、テーブルやイス、カウンターなどは木材で統一しつつ、壁や床はコンクリート打ちっ放しにする、天板は木材、脚は鉄製の和モダンなテーブルを配置するなどです。

特に木材はさまざまな素材と相性が良いため、いろいろな素材との組み合わせをシミュレーションしてみると良いでしょう。


照明の工夫で雰囲気を変える

照明の選び方、使い方を工夫すると、店内の雰囲気はがらりと変えることができます。例えば落ち着きのあるシックな内装にしたいのなら、電球色の照明を使うことでぬくもり感のある雰囲気を演出することが可能です。

一方、スタイリッシュな空間を作りたいのなら、昼白色や昼光色など明るめの照明を使用するとおしゃれ感がぐんと増します。また、メインの照明だけでなく、足元やオブジェの上に間接照明を設置すれば、空間にメリハリが生まれてインパクトのある内装に仕上がるでしょう。



焼鳥屋の内装デザインにかかる費用の目安


焼鳥屋の内装デザインにかかる費用は、店舗の規模によって異なる他、スケルトンにするか居抜きを利用するかによって変化します。ここでは一例として、内装工事にかかる諸経費の内訳やスケルトンと居抜きを利用する場合の費用の目安、コストを抑えるためのポイントをまとめました。


内装工事にかかる諸経費の内訳

焼鳥屋の内装にかかる費用の相場は、1坪につき20~60万円程度とされています。内装にこだわったデザインほど坪単価は高くなるため、予算との兼ね合いを考慮しながら内装を考える必要があります。なお、内装工事の主な内訳は以下の通りです。

● デザイン費
● 施工費
● 設備費
● 什器費


スケルトンの場合

スケルトンとは、建物の骨組みだけを残したタイプの物件です。天井や壁、床、間仕切り、設備などは一から全て構築しなければならないため、後述する居抜き物件に比べるとかなりの費用がかかります。そのぶん、間取りやデザイン、レイアウトの自由度が高く、イメージ通りの焼鳥屋に仕上げられるところが大きな特徴です。

スケルトン物件の内装費用は1坪あたり40万円~60万円が相場です。20坪なら800万円~1,200万円、30坪なら1,200万円~1,800万円の費用がかかると考えておきましょう。


居抜きを利用する場合

居抜きとは、前の店舗の内装や設備をそのまま利用する物件のことです。

天井から床、設備、什器に至るまで、全てを一から構築するスケルトンに比べると費用を安く抑えられるところが利点で、おおよその相場は20~45万円/坪といわれています。20坪なら400万円~1,000万円、30坪なら600万円~1,350万円程度が目安でしょう。また、前の店舗のレイアウトをそのまま利用する場合、工期も短くて済むため、施工費も抑えられるというメリットがあります。

一方で、スケルトンに比べると自由度が低い、新品よりも設備や什器の耐久性が低いなど、いくつかの注意点があります。特に設備に問題がある場合はメンテナンス費用がかさむ可能性があり、長い目で見るとコストが割高になる恐れがあるため、注意しましょう。


コストを抑えるためのポイント

焼鳥屋の内装コストを節約したい場合、以下3つのポイントを押さえておきましょう。

居抜き物件を選ぶ

前の店舗の設備や什器をそのまま利用できる居抜き物件を選べば、コストを大幅に節約できます。ただし、設備が古いと買い替えのコストなどがかかるため、設備や什器の状態は事前にチェックしておきましょう。

厨房設備はレンタルや中古を使用する

厨房機器を全て新品でそろえるとかなりのコストがかかるため、レンタルやリース、中古品も上手に活用しましょう。

ただし、レンタルやリースは長期間利用すると新品を購入するより割高になってしまう恐れがあるため、何年使うとどのくらいの費用がかかるのか、それぞれのコストをシミュレーションしてみましょう。また、中古品を購入する場合は状態をチェックし、比較的長持ちしそうなものを選ぶことが大切です。

複数の業者から相見積もりを取る

デザイン費や施工費の料金体系は業者によって異なるため、同じ内容で発注したとしても料金に差が生じることがあります。なるべくコストを節約したいのなら、複数の業者から相見積もりを取り、良い条件を提示してきた業者に依頼しましょう。



焼鳥屋の内装デザインをプロに依頼すべき理由


焼鳥屋の内装は、必要な材料や工具をそろえればDIYすることも可能です。しかし、スムーズな開業や集客率アップを目指すのなら、プロの業者に内装デザインを任せた方が安心感があるでしょう。その理由は大きく分けて4つあります。


法規制を考慮した内装計画ができる

焼鳥屋のような飲食店を営む場合、建築基準法と消防法の2つからなる内装制限に留意しなければなりません。具体的には、火災などが発生した場合に被害が拡大しないよう、天井や壁材は防火性・耐火性の高いものにする、火災警報器や消火設備を設置するなどです。

内装制限を守らないと各法律に違反したと見なされ、罰則の対象となります。内装のプロなら内装制限にも詳しく、法規制を遵守しながらデザイン・レイアウトしてくれます。


プロ目線で動線やレイアウトの提案が受けられる

限られたスペースを有効活用して客動線とサービス動線の両立を図るのは簡単なことではなく、設計やレイアウトでぶつかりやすい壁の一つです。

経験・実績豊富な業者に依頼すれば、プロ目線で動線やレイアウトに関するアドバイスやサポートを受けられるため、利便性やデザイン性の高い内装を実現できます。


メンテナンスを念頭に置いた素材選びをしてもらえる

メンテナンスのしやすさや、修繕にかかるコストは素材によって大きく異なります。プロの業者は素材ごとの特徴や性質をしっかり把握しているため、「メンテナンスしやすい素材にしてほしい」と伝えれば、要望にぴったり合う素材を提案してもらえます。


デザインと施工を一貫して任せられる

内装工事は、コンセプトに基づいてデザイン・設計した後、設計図に沿って施工するという流れになります。これらの作業を自分で行うとかなりの時間と労力がかかってしまうでしょう。

内装工事のプロに依頼すれば、デザイン・設計から施工まで一任できるため、手間や時間を大幅にカットできます。


アフターサービスの重要性

自分でDIYすると、後から内装に不具合や不備が見つかった場合、自分で修繕や修復を行わなければなりません。一方、アフターケアが充実しているプロに依頼すれば、施工後に不具合が見つかった際、保証期間内であれば無償で対応してもらえます。

ただし、アフターケアの有無や内容は業者によって異なるため、依頼する際はサービスの内容をよく確かめておきましょう。



まとめ:焼鳥屋は差別化を意識した内装デザインで理想の店に近づけよう

焼鳥屋は比較的ローコストで開業できることから、飲食店の中でも注目を集めている業種です。ただし、ライバル店が多いぶん、内装で差別化を図ることが重要なポイントになります。

店のテーマやコンセプトを基に、導線や設備、什器の選び方などに留意しながら、お客さまにとってもスタッフにとっても居心地の良い空間を演出することが大切です。また、テイストを統一させたり、色彩や素材選びにこだわったりすれば、ワンランク上のおしゃれな内装を実現できるでしょう。

なお、内装工事には遵守しなければならない法律や規制があるため、知識・経験豊富なプロに依頼するのがおすすめです。

テナント工房では、「何から始めたら良いか分からない」「おしゃれなお店にしたいけどセンスに自信がない」という方の開業サポートから内装工事、アフターサポートまで行っております。ぜひご相談ください。


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