猫カフェ開業ガイド:内装デザインのポイントも解説!

  • 2025.4.17

  • 最終更新日:


猫カフェは数あるアニマルカフェの中でも特に人気の高いカフェで、市場規模は年々拡大しています。

ただし、経営を軌道に乗せるには、猫カフェならではの安全性や快適性を重視する必要があります。一般的なカフェとは内装デザインや開業手順にも違いがあるため、猫カフェの経営を考えている方は必要な準備を徹底しておきましょう。

本記事では、猫カフェ経営を考えている方向けに、内装デザインで気をつけたいポイントや開業手順と注意点について解説します。



猫カフェの市場規模とニーズ

日本で猫カフェが誕生したのは2000年初頭といわれており、国内での歴史はそれほど長いものではありません。しかし、2005年にはわずか3店舗だった猫カフェは、その後、急速に市場が拡大。2015年末の時点で全国に約300店舗が展開されるようになりました(※)

猫カフェの市場が急拡大した理由として考えられるものは、さまざまです。実際に猫カフェを利用した人の口コミをチェックすると、「仕事や学業の疲れを癒したいから」「自宅で猫を飼えないから」といった声が散見されます。特に、経済的な理由や住居の関係などで自宅で猫を飼育できない方にとって、大好きな猫と触れ合える猫カフェは、唯一無二の場所として重宝されているようです。

上記のデータでも示した通り、猫カフェの店舗はかなりの勢いで増加していますが、一般的なカフェよりも開業のハードルが高めです。そのため、今から新規参入しても一定の集客を見込める可能性は高いでしょう。

※環境省「猫カフェ業界の現況と猫カフェ協会による取組について」



猫カフェの内装デザインで気をつけたいポイント3選


猫カフェでは、店内で猫を飼育することになるため、一般的なカフェとは異なる視点で内装デザインを考える必要があります。

ここでは、猫カフェの内装デザインを検討する際に気をつけたいポイントを3つに分けて解説します。


ポイント1. 猫の特性に考慮したレイアウトを考える

店内にいる猫がけがをしたり、ストレスを感じたりしないよう、以下のポイントに留意したレイアウトを考えましょう。

安全性を考慮した内装材を選ぶ

猫は店内を自由に移動したり、あちこちを舐めたりするため、安全性に配慮した内装材を選ぶことが大切です。

具体的には、抗菌効果の高い素材を選ぶ。床材は滑りにくく、クッション性の高いものを選択するなどの工夫を採り入れるようにしましょう。また、下から猫の様子を眺められるアクリル板のキャットタワーなどを常設する場合は、割れにくい素材を選ぶなどの配慮も必要です。

入口は二重扉にする

店内にいる猫が店の外に飛び出さないよう、入口は二重扉にしましょう。また、扉付近には貼り紙などを掲示し、最初のドアを閉めてから次のドアを開けるよう、注意を促すことも大切です。

キャットウォークを設置する

猫は高いところが大好きです。天井付近にキャットウォークを設ければ、猫のくつろぎスペースを確保できます。

前述したキャットタワー同様、キャットウォークにも透明なアクリル板を採用すれば下から猫の様子を眺められるため、お客さまにも喜ばれるでしょう。

猫が隠れられるスペースをつくる

猫の中には、人にじっと見られることにストレスを感じる子もいます。猫ボックスを設置するなどして、猫が好きなときに隠れられるスペースを確保しましょう。

猫がくつろげる配色にする

猫は、青・緑・黄の3色が比較的はっきりと見えるといわれています。これら3色を店内のベースカラーやアクセントカラーに採り入れれば、猫にとってくつろげる空間になるでしょう。

なお、光沢の強い黒色は猫によってはストレスを感じる可能性があるようです。黒色は素材を工夫して使うか、避けたほうが良いかもしれません。

温度調整ができるようにする

猫を飼育するときは、温度調整が必要不可欠です。猫にとって高温・低温の環境にならないよう、店内やバックヤードにはエアコンを設置し、適切な状態をキープしましょう。また、壁材や床材に断熱材を入れたり、窓をペアガラスにしたりするのも工夫の一つです。


ポイント2. 猫にとってもお客さまにとっても快適な空間になるように工夫する

お客さまは猫カフェに癒やしを求めてやってくるため、快適な空間づくりは必須です。特に猫カフェは一般的なカフェよりもにおいや音、温度・湿度への対策が重視されるため、以下3つのポイントに留意しましょう。

消臭性のある素材を使用する

猫を多数飼育していると、店内に独特のにおいが充満します。いくら猫が好きなお客さまでも、飲食する場で動物のにおいがすると不快に感じる可能性があるため、消臭性の高い内装材を使用するのがおすすめです。

性能の高い空調・換気設備を導入する

店内を常に適切な温度・湿度に保てるよう、なるべく性能の高い空調や換気設備を取りつけましょう

高性能な機種を選べば、広い店内の隅々までむらなく温度・湿度管理できる他、空気清浄機能つきで店内の空気をきれいな状態にキープしやすいです。また、中にはペットに適した温度を設定できるような、ペット向けの機能が搭載されている機種もあります。必要に応じて検討すると良いでしょう。

防音対策を行う

猫は犬のように吠えるわけではありませんが、複数の猫が一度に鳴いたり、高いところから飛び降りたりすると、割と大きな音が出ます。また、道路に面したカフェの場合、外から大型トラックの走行音や救急車のサイレンが鳴り響くことがあり、店内にいる猫がストレスを感じる可能性があります。

そのため、壁に吸音材を使う、二重窓にする、防音ドアを設置するなどの防音対策をしっかり行いましょう。


ポイント3. 手入れやメンテナンスがしやすい内装にする

猫カフェは、猫の毛がついたり、爪研ぎで傷がついたりしやすい傾向にあります。常に清潔な状態を保ちやすいよう、以下のポイントを押さえてメンテナンスしやすい内装を心掛けましょう。

掃除や消毒がしやすい素材を使用する

猫カフェでは小まめな清掃や消毒が必要になるため、床材や壁材には水拭きできる素材や、消毒剤の使用が可能な素材を選びましょう。また、ソファなどを設置する場合は、クッションを取り外してお手入れできるかどうかをチェックするのも大切です。

傷がつきにくい素材を選ぶ

猫は床や壁で爪研ぎする習性があるため、傷がつきにくい素材を選ぶのがポイントです。具体的には、強度の高いビニル壁紙を使用したり、表面層の厚い床材を採用したりするのがおすすめです。また、猫が爪を立てそうな場所にメラミン化粧板を使ってカバーする方法もあります。



猫カフェの開業手順と注意点


猫カフェの開業手順は、一般的なカフェと異なる部分が多くあります。不備があると開業の許可が下りないこともあるため、入念な準備を行いましょう。ここでは、猫カフェの開業手順と注意点を解説します。


開業に必要な資格や知識を取得する

猫カフェを開業する際は、以下の資格を取得するとともに、必要な知識を学んでおきましょう。

第一種動物取扱業

猫カフェは、動物を見せたり、動物との触れ合いを提供したりすることを生業とした第一種動物取扱業に該当するため、都道府県知事に登録の申請を行う必要があります(※1)。

なお、第一種動物取扱業者は、事業所ごとに1名以上の常勤かつ専属の動物取扱責任者を選任しなければなりません(※2)。オーナー自身が動物取扱責任者の資格を持っていない場合は、新たに取得するか、資格保有者を雇用する必要があります。

※1環境省「第一種動物取扱業者の規制」
※2東京都保健医療局「第一種動物取扱業の登録手続」

食品衛生責任者

カフェに限らず、食品の製造や加工を行う営業者は、食品衛生法第51条の規定の下、施設の衛生的な管理や公衆衛生上、必要な措置を実施する必要があります(※)。施設ごとに専任の食品衛生責任者を置くことも、必要な措置の一つです。

食品衛生責任者になるには、栄養士や調理師など特定の資格を取得するか、都道府県知事が行う食品衛生責任者になるための講習会を受講する、あるいは養成講習会を受講する必要があります。

※e-Gov法令検索「食品衛生法」

動物愛護法に基づく運営方法

第一種動物取扱業者は、動物愛護法の規定の下、取り扱う動物の管理方法等について、環境省令で定める基準の遵守が義務づけられています。

動物愛護法に基づく運営が行われていないと見なされた場合、登録および更新の拒否や登録の取消といった処分の対象になる恐れがあるため、開業する前に動物愛護法に基づく運営方法について基礎的な知識を学んでおきましょう。

例えば、動物愛護法では営業時間を原則として午後8時(生後1年以上の成猫は午後10時)までと定めているため、営業時間には注意が必要です。


ターゲット層の選定とコンセプト設計を行う

猫カフェの集客やリピーター獲得のために、年齢層や性別、ライフスタイルなどを踏まえたターゲット選定を行います。また、店のコンセプトを明確にすることで、レイアウトやデザイン、運営の方針が定まります。


資金調達と予算計画

猫カフェを開業するために必要な資金の調達方法は大きく分けて4つあります。

自己資金

自己資金は多いに越したことはありません。開業後の運転資金も考えるとかなりの金額が必要になるため、他の資金調達方法との併用も検討しましょう。

金融機関からの融資

自己資金で足りないぶんは、金融機関から融資を受けてカバーします。なお、融資を受けるには事業計画書の提出が必要です。

助成金

自治体の中には、独立開業する方向けに助成金や補助金を交付する制度を設けているところもあります。上手に活用すれば低金利、あるいは返済不要の資金を調達できます。

クラウドファンディング

クラウドファンディングとは、インターネットで出資者を募り、資金を調達する方法です。融資や助成金を利用できない場合に有用な手段ですが、目標金額に達成した場合はプロジェクトを達成する義務が生じます。


物件探し

猫カフェの物件探しで押さえておきたいポイントは3つあります。

ターゲット層やコンセプトに合った物件を選ぶ

物件を選ぶ際は、店のターゲット層が周辺にいるかどうかをチェックします。例えば、猫を飼えない人をターゲットにするのなら、ペット可マンションなどが少ない立地を選ぶのがおすすめです。

また、店のコンセプトに応じて隠れ家的な場所を選ぶ、緑の多い場所を選択するなどの工夫も意識しましょう。

近隣の環境も考慮する

猫カフェは動物のにおいなどが出る場所であるため、周囲のにおいを気にするような店舗(一般的な飲食店など)がある立地は避けたほうが良いでしょう。同じく、鳴き声などの音が外に漏れる可能性を配慮し、あまり物件が密集していない場所を選ぶことも大切です。

賃貸借契約条件の確認は念入りに行う

猫カフェを営業するには、動物の入居可能な物件を探す必要があります。また、地域によっては第一種動物取扱業を営めないところもあるため、あらかじめ自治体に問い合わせておくと良いでしょう。

なお、駅チカなど立地条件の良い場所のほうが集客を見込めるものの、家賃は割高になります。さらに、十分な広さを確保できるか、安全面や衛生面に配慮したレイアウトが可能か、などを基準に物件を選びましょう。


内装業者を選定する

猫カフェの内装業者を選定するときのポイントを3つご紹介します。

相見積もりを取る

同じ依頼内容でも、業者によって見積もりの金額に差が出る場合があります。複数の業者から相見積もりを取り、条件の良いところを選びましょう。

動物関連の内装工事の実績のある会社を選ぶ

猫カフェは、一般的なカフェとは異なる視点でレイアウトやデザインを考慮する必要があります。動物関連の内装工事に関する経験や実績が豊富な会社を選ぶと、有益なアドバイスを受けながら内装を検討できるでしょう。

アフターサポートの有無を確認する

アフターサポートの有無や内容は業者によって異なります。充実したサポートや保証を設けている会社を選べば、施工後に問題やトラブルが発生したときも迅速に対応してもらいやすいでしょう。


開業にあたり必要な届出・許可の申請を行う

猫カフェ開業の際は、第一種動物取扱業の届出や飲食店営業許可の申請、開業届の提出などの手続きが必要です。不備があるとスムーズに開業できなくなるため、早めに必要な届出、許可の申請を行いましょう。


集客対策を実施する

Webサイトを開設したり、SNSを活用したりして店のPRを行います。近隣にはチラシやDMを配布するなど、アナログの手法も採り入れると良いでしょう。



まとめ:猫とお客さまの両方が快適に過ごせる猫カフェを目指そう

猫カフェのレイアウトを考える際は、猫の特性に配慮するのはもちろん、人も快適に過ごせる空間づくりを考えることが大切です。

テナント工房では、お客さまのニーズや要望を丁寧にヒアリングした上で、物件探しからデザイン設計、施工、アフターフォローまで一貫してサポートします。また、融資相談や事業計画書作成サポートなども行っています。「猫カフェ開業をしっかり支援してもらいたい」と考えている方は、ぜひテナント工房までお気軽にご相談ください。


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