猫カフェの開業方法を解説!必要な資格から資金調達、成功の秘訣まで解説!|テナント工房
猫と触れ合える癒しの空間として人気の「猫カフェ」。その魅力に惹かれ、「いつか自分でも猫カフェを開業したい」という夢を抱いている方も多いのではないでしょうか。しかし、夢を実現するためには、何から始めれば良いのか、どのような準備が必要なのか、分からないことも多いはずです。
この記事では、猫カフェの開業を目指すあなたのために、必要な資格や資金、開業までの具体的なステップ、そして成功の秘訣までを網羅的に解説します。
猫カフェ開業に必須の資格と許可
猫カフェは、お客様に飲食を提供する「飲食店」であると同時に、猫という動物の展示を行う「動物取扱業」でもあります。そのため、開業にあたっては複数の資格取得や許可申請が法律で義務付けられています。ここでは、必ず取得・申請しなければならないものを中心に解説します。
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「第一種動物取扱業」の登録
営利目的で動物の展示や販売などを行う事業者は、「第一種動物取扱業」として都道府県または政令市の動物愛護管理行政担当部局に登録しなければなりません。猫カフェの営業はこの「展示」に該当するため、登録は必須です。登録申請には、後述する「動物取扱責任者」の選任などが要件となっており、手数料は15,000円程度が目安です。
参考:環境省_第一種動物取扱業者の規制 [動物の愛護と適切な管理]
参考:第一種動物取扱業の登録手続|第一種動物取扱業|東京都動物愛護相談センター
「動物取扱責任者」の選任
第一種動物取扱業の登録を受けるためには、事業所ごとに1名以上、常勤の「動物取扱責任者」を選任し、配置することが義務付けられています。動物取扱責任者になるには、以下のいずれかの要件を満たす必要があります。
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要件の種類 |
具体的な内容 |
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実務経験 |
営利性の動物取扱業(ペットショップ、猫カフェ等)で半年以上の実務経験があること。 |
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学歴 |
動物関連の教育機関(大学、専門学校等)を卒業していること。 |
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資格 |
獣医師、愛玩動物看護師、家庭動物管理士など、特定の資格を保有していること。 |
これらの要件を満たした上で、自治体が開催する動物取扱責任者研修を受講する必要があります。
参考:動物取扱責任者について|第一種動物取扱業|東京都動物愛護相談センター
「食品衛生責任者」の資格
店内で調理したフードやドリンクを提供する場合は、「食品衛生責任者」の資格が必須です。各都道府県の食品衛生協会が開催する養成講習会を受講することで取得できます。
ただし、栄養士や調理師などの資格を持っている場合は、講習を受けずに食品衛生責任者になることが可能です。ペットボトル飲料や市販の包装菓子のみを販売する場合でも、営業許可の対象となる場合は食品衛生責任者の設置が必要です。
参考:Microsoft PowerPoint – 資料3-1 食品衛生責任者(厚労省)
「飲食店営業許可」の申請
食品衛生責任者の資格を取得した上で、保健所に「飲食店営業許可」を申請します。許可を得るためには、店舗の施設が衛生基準を満たしているかどうかの検査に合格しなければなりません。例えば、「従業員専用の手洗い場とお客様用の手洗い場が別々に設置されているか」「猫のスペースと厨房が完全に区画されているか」といった点がチェックされます。申請は、店舗が完成する10日~2週間前までに行うのが一般的です。
参考:営業許可・届出の概要|「食品衛生の窓」東京都保健医療局
その他必要な届け出について
個人事業主として開業する場合は、管轄の税務署に「開業届」を提出する必要があります。また、収容人数が30人以上の店舗の場合は、「防火管理者」を選任し、消防署への届け出が義務付けられています。
猫カフェはオープンスペースが多くなる傾向があるため、座席数が30未満でも、防火管理者の資格を取得しておくことが推奨されます。
猫カフェ開業にかかる費用と資金調達
猫カフェの開業には、通常のカフェに加えて猫に関わる費用が必要となるため、入念な資金計画が不可欠です。どれくらいの費用がかかるのか、そしてそれをどうやって準備するのかを見ていきましょう。
開業に必要な初期費用の内訳
店舗の規模や立地、内装のこだわり具合によって大きく変動しますが、一般的に猫カフェの開業には400万円から1,000万円程度の初期費用が必要とされています。自宅を改装する場合でも、最低400万円程度は見ておくと良いでしょう。
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費用の種類 |
内容 |
目安金額 |
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物件取得費 |
保証金 |
100万円~200万円 |
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内装工事費 |
猫と人の空間を分ける工事 |
200万円~500万円 |
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備品購入費 |
テーブル |
50万円~150万円 |
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猫の迎え入れ費用 |
保護猫の譲渡費用 |
10万円~50万円 |
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その他諸経費 |
広告宣伝費 |
50万円~100万円 |
【関連記事】飲食店の開業資金はいくら?内訳から資金調達、自己資金の目安まで徹底解説!
運転資金の目安と項目
開業後、すぐに経営が軌道に乗るとは限りません。赤字が続いても事業を継続できるよう、少なくとも3ヶ月から6ヶ月分の運転資金を準備しておきましょう。主な運転資金には以下のようなものがあります。
- 店舗家賃
- 人件費
- 水道光熱費
- 通信費
- 猫の餌代、トイレ砂代などの消耗品費
- 猫の医療費(ワクチン、定期健診、急な病気や怪我への備え)
- 広告宣伝費
自己資金以外での資金調達方法
自己資金だけで開業資金のすべてを賄うのは難しい場合がほとんどです。その際は、外部からの資金調達を検討しましょう。主な方法としては、日本政策金融公庫からの融資、地方自治体や金融機関が連携して行う制度融資、国や地方自治体が提供する補助金・助成金などがあります。
融資を受ける際には、コンセプトや収支計画を詳細に記した事業計画書の提出が必須となります。
参考:日本政策金融公庫
猫カフェ開業までの9ステップ
夢の猫カフェオープンに向けて、具体的にどのような手順で準備を進めていけば良いのでしょうか。ここでは、開業までの道のりを9つのステップに分けて解説します。
ステップ1:コンセプトと事業計画の策定
まずは「どのような猫カフェにしたいのか」というコンセプトを明確にします。例えば、「保護猫の譲渡を目的とする」「特定の猫種に特化する」「静かな空間で読書を楽しめる」など、他店との差別化を図れるような独自の強みを考えましょう。
コンセプトが決まったら、店舗のターゲット層、収支予測、資金計画などを盛り込んだ事業計画書を作成します。
ステップ2:資金調達の実行
事業計画書が完成したら、自己資金で不足する分を調達するために金融機関へ融資の申し込みを行います。日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、これから事業を始める人が利用しやすい融資制度の一つです。審査には時間がかかるため、早めに準備を進めましょう。
ステップ3:物件探しと契約
猫カフェの開業において、物件探しは最も重要なハードルの一つです。動物を飼育するため、「ペット可」の物件であることはもちろん、衛生面や臭いの問題から、大家さんや近隣住民の理解を得る必要があります。
以前に猫カフェやペットショップだった居抜き物件を探すのも良い方法です。契約前には、必ず自治体の担当部署にその物件で猫カフェが開業可能かを確認しましょう。
ステップ4:資格取得と各種申請
物件の目処が立ったら、開業に必要な資格の取得や許可申請の準備を進めます。「動物取扱責任者」「食品衛生責任者」などの資格取得には、講習の受講が必要なため、スケジュールを確認して早めに申し込みましょう。各種申請は、内装工事と並行して進めていきます。
ステップ5:内装工事と備品の準備
物件の契約が完了したら、事業計画に基づいて内装工事に着手します。猫とお客様の両方が快適に過ごせる空間設計はもちろん、脱走防止対策や衛生管理のしやすさも考慮しなければなりません。工事と並行して、テーブルや椅子、厨房機器、猫用の備品などを発注・購入します。
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ステップ6:猫スタッフの迎え入れ
お店の主役である猫たちを迎え入れます。迎え入れの方法は、保護猫団体から譲渡を受ける、ペットショップやブリーダーから購入する、自身の飼い猫をスタッフにする、といった選択肢があります。
新しい環境に慣れてもらうため、オープン前に十分な時間を確保することが大切です。
ステップ7:スタッフの採用と教育
一人で運営する「ワンオペ」でない限り、スタッフの採用活動を行います。猫が好きであることはもちろん、接客スキルや衛生管理に対する意識が高い人材が求められます。採用後は、お店のコンセプトや業務内容、猫との接し方について、オープン前に十分な研修を行いましょう。
ステップ8:オープンに向けた集客活動
開業日が近づいてきたら、SNSアカウントの開設、ウェブサイトの作成、チラシの配布など、積極的な広報活動を行います。お店のコンセプトや猫たちの魅力を発信し、オープン前からファンを獲得することが、順調なスタートを切るための鍵となります。
ステップ9:いよいよ開業
保健所や消防署の最終検査をクリアし、すべての準備が整ったら、ついに夢の猫カフェをオープンします。オープン後も、お客様や猫たちの反応を見ながら、常にサービスの改善を続けていくことが重要です。
猫カフェ経営を成功させるためのポイント
猫カフェを開業することはゴールではありません。多くのお客様に愛され、事業として継続していくためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ポイント1:猫の健康と安全を最優先する
猫カフェの主役は、あくまで猫たちです。猫がストレスなく、健康で安全に暮らせる環境を何よりも優先しなければなりません。隠れたり休んだりできるスペースを十分に確保し、過度な触れ合いを強要しないルール作りが重要です。
また、定期的な健康診断やワクチン接種を徹底し、万が一の事態に備えて近隣の動物病院と連携しておくことも不可欠です。
ポイント2:他店との差別化を図る
猫カフェの数は年々増加しており、競争も激しくなっています。その中で生き残るためには、他店にはない独自の魅力、つまり明確なコンセプトが必要です。保護猫活動への貢献、特定の猫種との触れ合い、珍しいドリンクメニューの提供など、お客様が「このお店に行きたい」と思う理由を明確に打ち出しましょう。
ポイント3:衛生管理と臭い対策を徹底する
動物を扱う上で、衛生管理と臭い対策は避けて通れない課題です。猫のトイレはこまめに清掃し、高性能な空気清浄機を導入するなど、常に清潔で快適な空間を維持する努力が求められます。お客様が快適に過ごせるだけでなく、近隣への配慮という点でも非常に重要です。
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対策項目 |
具体的な方法 |
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トイレ |
1日に何度も清掃する。消臭効果の高いトイレ砂を使用する。 |
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換気 |
定期的に窓を開ける。換気扇や空気清浄機を常時稼働させる。 |
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清掃 |
床や壁、備品を動物にも安全な消毒液で定期的に拭き掃除する。 |
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猫のケア |
定期的なブラッシングやシャンプーで、猫自身の清潔を保つ。 |
ポイント4:効果的な集客戦略を立てる
お店の存在を知ってもらわなければ、お客様は訪れません。InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを活用し、可愛い猫たちの日常やお店の魅力を継続的に発信することが効果的です。また、地元の情報誌への掲載や、ポイントカード、イベントの開催などもリピーター獲得に繋がります。
猫カフェ開業前に知っておきたい注意点
夢の実現に向けて進む中で、思わぬ落とし穴にはまらないよう、事前に知っておくべき注意点があります。
動物愛護管理法に基づいた規制内容
猫カフェの営業は、動物愛護管理法によって細かく規制されています。特に注意すべきは営業時間で、原則として午後8時までと定められています。
ただし、一定の要件(生後1年以上の猫であること、猫が自由に休憩できるスペースがあることなど)を満たせば、午後10時までの営業が認められる場合もあります。法令を遵守し、猫に過度な負担をかけない運営を心がけましょう。
近隣トラブルを回避する
猫カフェ特有の問題として、臭いや鳴き声、お客様の行列などが原因で近隣トラブルに発展するケースがあります。物件を選ぶ段階から、周辺環境を十分に調査しましょう。開業前には近隣住民へ挨拶に伺い、良好な関係を築いておくことも大切です。
猫の病気や怪我への備え
生き物を扱う以上、猫の突然の病気や怪我は避けられません。高額な治療費が必要になる可能性も考慮し、資金計画に余裕を持たせておく必要があります。
また、お客様が猫に噛まれたり、ひっかかれたりする事故も起こり得ます。お客様は、民法第718条の「動物の占有者等の責任」により、お店側に治療費を請求することができます。
まとめ
猫カフェの開業は、ただ猫が好きという気持ちだけでは成し遂げられない、険しい道のりです。多くの法的な手続き、多額の資金、そして何よりも動物の命を預かるという重い責任が伴います。
しかし、周到な準備と計画、そして猫への深い愛情を持って臨めば、猫と人が共に幸せになれる最高の空間を創り出すことができるでしょう。
この記事が、あなたの夢を実現するための一歩を踏み出す助けとなることを願っています。
参考:猫カフェを開業する流れ!資金の目安・物件の選び方・失敗しないコツをご紹介 – 開業・就職 カフェ・パン・パティシエの専門スクール・学校 リライブフードアカデミー
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