景観法をわかりやすく解説!基本ポイント紹介|テナント工房
新しくお店を開く際は、その地域の景観法をよく理解しておく必要があります。
景観法が適用される景観計画区域内では、建物の外観デザインや看板・広告の設置などに制限が設けられており、設計・デザインの自由度に影響をもたらす可能性があるからです。景観法に違反すると、懲役刑や罰金刑といった罰則の対象となるので十分注意しましょう。
本記事では景観法の基礎知識と、景観法によって制限されていること、違反した場合の罰則、景観法を遵守した店舗デザインにするためのポイントをわかりやすくまとめました。
景観法とは?
景観計画区域
準景観区域
景観地区
景観協定
景観法で制限されていること
壁や屋根などの外観
建物の高さ
看板や広告
景観法の罰則・罰金
景観法を遵守した店舗デザインにするために
規約を役所に確認する
デザイン会社に提案してもらう
届出など手続きをしっかりと行う
まとめ
景観法とは?
景観法とは、都市や農山漁村などの良好な景観の形成を図るために制定された法律のことです。
美しく風格のある国土の形成や、潤いのある豊かな生活環境の創造、個性的で活力のある地域社会の実現などを主な目的としており、良好な景観の形成の促進によって生活の向上や、経済と地域社会の健全な発展を目指すのがねらいです。
国や地方公共団体は、景観法に定めた基本理念にのっとり、良好な景観の形成を促進するための施策の策定および実施の責務を担っています。一方、住民についても、国や地方公共団体が策定・実施する施策についての協力が義務づけられていることから、新たな建物を建てる際は国や地方公共団体が定めたルールを遵守する責務があります。
なお、良好な景観の形成を図るための施策が都市計画に盛り込まれる区域は複数の種類に区分されています。以下では、景観法における景観計画区域、準景観区域、景観地区の基礎知識と、景観法で定められた景観協定について詳しく解説します。
景観計画区域
景観計画区域とは、景観行政団体(都道府県や市町村)が策定する景観計画で定められた区域のことです。
景観計画区域は、景観法によって以下のような条件を満たす区域である必要があります。[注1]
● 良好な景観を保全する必要があると認められる土地の区域
● 地域の自然、歴史、文化などからみて、地域の特性にふさわしい良好な景観を形成する必要があると認められる土地の区域
● 地域間の交流の拠点となる土地の区域で、かつ交流の促進に資する良好な景観を形成する必要があると認められるもの
● 住宅市街地の開発や、その他建築物や敷地の整備に関する事業が行われ、新たに良好な景観を創出する必要があると認められるもの
● 地域の土地利用の動向などから、不良な景観が形成される恐れがあると認められる土地の区域
景観計画区域では、以下の行為をするにあたって、30日前までに景観行政団体に届出を行う必要があります。[注1]
● 建築物または工作物の新築・増築・改築・移転、外観の変更を伴う修繕、模様替え、色彩の変更
● 開発行為など政令で定める行為
● 良好な景観の形成に支障を及ぼす恐れのある行為
準景観区域
準景観区域とは、都市計画区域および準都市計画区域外にある区域のうち、景観計画が定められたエリアのことです。
後述する景観区域は、都市計画区域または準都市計画区域の範囲内でしか定められないため、区域外のエリアは対象外とされてきました。一方、準景観地区は都市計画区域や準都市計画区域外のうち、既に良好な景観が形成されている区域についての指定が可能であるため、景観区域でカバーしきれない部分を補えます。準計画区域に指定された場合、その区域内における建築物の高さや意匠、敷地面積などに一定の制限を定めることが可能です。
以上のことから、新しい店舗を建設したり、既存の店舗を借りて外観を変えたりする際は、景観区域だけでなく、準景観区域に該当しないかどうかもチェックする必要があります。
景観地区
景観地区とは、市街地の良好な景観の形成を図ることを目的に、都市計画区域または準都市計画区域内の土地の区域において、都市計画の一環として定める区域のことです。
前述した景観計画区域よりもさらに強い強制力を持つところが特徴で、その区域内の建築物に対し、より厳しい形態意匠の制限の規定が設けられています。
また、自治体によっては建築物の高さ制限や、敷地面積の最低限度、壁面の位置の制限などを設けているところもあります。
なお、景観地区は前述した準景観地区とは異なり、都市計画区域および準都市計画区域内で定められます。
景観協定
景観協定とは、地域の魅力的な景観の形成に関して、一定区域内の土地所有者と借地権者が申し合わせて結ぶ協定のことです。土地所有者と借地権者の合意に基づいて締結される性質上、法的に定められない細かな事項についても良好な景観の形成に必要な事項として定められるところが特徴です。
例えば、建築物に付属しない駐車場や空き地に関する基準や照明に関する事項、ショーウィンドウやシャッターといった工作物の位置・規模・構造・用途・形態意匠に関する基準、屋外広告物の表示や掲出する物件の設置に関する基準などを定められます。
景観協定で定められた内容はより細部に至るため、協定が締結された区域に店舗を構える場合は、協定の内容をしっかり理解しておく必要があります。なお、景観協定は土地の所有権が移転した場合でも効力が持続します。
景観法で制限されていること
景観計画区域や景観地区などでは、景観法によって以下3つの項目が制限されます。
壁や屋根などの外観
景観法は良好な景観への保全を目的とした法律であるため、その土地の景観に影響をもたらす建物の外観(壁・屋根など)に一定の制限が設けられています。
制限の内容は区域によって異なりますが、例えば東京都が策定している景観色彩ガイドラインでは、原色に近い高彩度の色彩は避け、空や樹木の緑、土・石などの自然の色となじみやすい暖色系かつ低彩度の色彩を建物の色彩基準に掲げています。また、建物に対する色彩の面積比も定めており、外壁各面の4/5は基本色の基準に適合した色彩を用いる、強調色は外壁各面の1/5に収める、アクセント色は外壁各面の1/20に限って使える、などのルールが設けられています。
外観の制限はその区域の街並みなどを考慮して決定されるため、店舗を建設する際は当該エリアの制限の内容をしっかり把握しておきましょう。
建物の高さ
建物の高さについて、最高限度または最低限度の設定ができます。高さ制限の基準は区域ごとに異なりますが、一般的には地盤面からの絶対高さである地上高さを用いて「地上高さ10m以下」といったように表現されるケースが多いようです。区域によっては「2階以下」など階数で制限しているところや、「12m以下かつ3階建て以下」のように地上高さと階数の両方で制限しているところもあります。
建物の高さ制限をする主な理由は、眺望景観の確保、自然景観との調和、街並み景観の保全などです。突出して高い建物を建設すると、山や緑地が見えにくくなる、周辺環境となじまず、ちぐはぐな景観になる、圧迫感を与えるといった問題が起こることが想定されるためで、自然が多く残っている区域や、文化財がある区域、観光地などでは高さ制限が設けられているところが多数見受けられます。
看板や広告
都道府県の条例によっては、屋外広告物そのものの表示・設置を不可としているところもあります。店に看板や広告を掲げようと思っている場合は、看板・広告の掲示が可能かどうか、事前にきちんと確認しておきましょう。
また、看板・広告の掲示そのものは可能でも、表示内容や外観に制限が設けられていることもあります。特に色彩については、周囲の景観となじまない色を用いるのはNGとしているところが多いため、店のブランドカラーが原色に近い場合などは注意が必要です。なお、地域によっては看板・広告のデザインや高さ、サイズ、設置方法などに制限を設けているところもあるので、事前に役場などに問い合わせておきましょう。
景観法の罰則・罰金
景観法に違反するような建物の建設や改修などを行おうとした場合、景観行政団体の長(都道府県知事など)によって設計の変更などの措置を命じられることがあります。この命令に従わなかった場合は1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処されるのであらかじめ注意が必要です。
また、景観地区内において建築物の建築をする際に市町村長の認定を受けなかった場合や、虚偽の申請書を提出した場合は50万円以下の罰金に処されます。さらに景観計画区域内において、建築物の新築や増築、改築、移転、外観の変更を伴う修繕、模様替え、色彩の変更などを行う際に景観行政団体の長にその旨を届け出なかった場合なども、30万円以下の罰金に処されます。
景観法を遵守した店舗デザインにするために
景観法を遵守した店舗デザインにするために、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
規約を役所に確認する
前述したように、景観地区や景観計画区域内における建物の制限は区域によって異なります。同じ都道府県内でも、区域によって制限内容に差があるケースも少なくないので、事前に役所に問い合わせて制限に関する規約を確認しておきましょう。
デザイン会社に提案してもらう
その区域の景観法を熟知しているデザイン会社に相談し、設計やデザインの案を出してもらうのも一つの方法です。プロであればその区域の景観法を遵守しながら、依頼主のニーズに適した店舗の外観や看板・広告について適切なアドバイスやアイデアを提供してくれます。なお、デザイン会社を選ぶ際は、なるべくその地域に根ざしたサービスを提供しているところを選ぶのがおすすめです。
届出など手続きをしっかりと行う
景観地区や景観計画区域内で新たな建物を建設したり、既存の建物を改修したりする場合、景観行政団体の長や市町村長などへの届出が必要です。届出を怠ると罰則や罰金の対象となるため、いつまでにどのような届出が必要なのか、役所に問い合わせてチェックしておきましょう。
まとめ:店舗の外観を決めるときは景観法のチェックが必要
新たに店舗をオープンさせる際は、景観法に基づいた区域ごとのルールを熟知しておく必要があります。景観法に違反するような外観の建物を建築・改修したり、看板を掲げたりすると罰則の対象となるので、事前のリサーチを念入りに行うことが大切です。
なお、景観に関するルールは区域によって異なるため、その地域の景観法に精通したプロのアドバイスを受けながら設計・デザインした方が良いでしょう。
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