初めてのトリミングサロン開業!店舗設計のコツや費用についても解説
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2025.1.21
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最終更新日:
コロナ禍をきっかけとして、室内でペットを飼う人の数が増加しました。ペットの毛を洗ったり、カットしたりするトリミングサロンのニーズも高まっています。
しかしペットブームの影響により、トリミングサロンだけでなく、ペットへのケア全般を提供するペットサロンなどのサービスも乱立しています。開業に当たっては、競合店との差別化や集客戦略の強化が欠かせません。
この記事では、トリミングサロンを開業するまでの流れや、代表的な事業形態、出店場所の決め方、店舗デザインや集客戦略のポイントについて解説します。
トリミングサロンを開業するための9つのステップ
トリミングサロンの開業なら、以下の9つのステップに沿って準備を進めましょう。
1. トリマーとしての実務経験を積む
2. 開業に必要な資格や許可を取得する
3. 市場調査を行い、地域の需要や競合店を分析する
4. トリミングサロンのコンセプトを決める
5. トリミングサロンの出店場所を決める
6. 資金計画を作成し、開業資金を調達する
7. 店舗の内外装工事や設備の手配を進める
8. 集客戦略を立て、効果的な集客方法を選ぶ
9. 開業届/法人設立届出書を提出する
トリマーとしての実務経験を積む
トリミングサロンを開業する前に、まずトリマーとしての実務経験を積む必要があります。トリミングサロンの開業には、獣医免許または愛玩動物看護師の資格を持つ方か、半年以上の実務経験(常勤職員)のある方が最低1名必要なためです(※)。
トリミングの技術やセンスを磨くことで、自分のお店のセールスポイントにもなります。毛のカットには、シザーやクリッパー、プラッキングナイフ(毛を抜く道具)などの道具を用いるため、使い方を習熟しておく必要があります。
またトリミングサロンでは、ペットの種類に合わせたサービスを提供することも大切です。特にプードルには、300種類のカットがあると言われています。トリマーとしての実務経験がなければ、顧客のニーズに応えることは難しいでしょう(※)。
※ 東京都動物愛護相談センター「動物取扱責任者について」
※ 厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「トリマー」
開業に必要な資格や許可を取得する
トリミングサロンの開業には、以下の資格や許可を取得する必要があります。
- 動物取扱責任者の資格
- 第一種動物取扱業の登録
動物取扱責任者とは、ペットに関する施設やサービスの管理責任者のことです。動物愛護管理法により、1店舗につき最低1名の動物取扱責任者を選任することが義務付けられています。
動物取扱責任者の選任要件は、2020年6月1日の法改正により厳しくなっており、以下のいずれかを満たす必要があります(※)。
1. 獣医師の免許を取得していること
2. 愛玩動物看護師の免許を取得していること
3. 半年以上の実務経験(または実務経験と同等の飼養経験が1年以上)に加えて、所定の教育機関を卒業
4. 半年以上の実務経験(または実務経験と同等の飼養経験が1年以上)に加えて、所定の資格(注)を取得
注:全日本動物専門教育協会が認定するトリマー(初級、中級、上級、教師)など(※)
またトリミングサロンの開業には、管轄地域の保健所に対し、第一種動物取扱業の登録を行う必要があります。第一種動物取扱業には、販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養などの区分がありますが、トリミングサロンは「保管」に該当します。
動物取扱責任者の選任も、第一種動物取扱業の登録を行うための要件の一つです。第一種動物取扱業として登録せずに営業を行った場合、100万円以下の罰金が科される可能性があります(※)。
※ 東京都動物愛護相談センター「動物取扱責任者について」
※環境省「第一種動物取扱業者の規制」
市場調査を行い、地域の需要や競合店を分析する
近年のペットブームにより、トリミングサロンやペットサロンは増加傾向にあります。そのため、開業に当たってしっかりと市場調査を行い、地域の需要や競合店を把握することが大切です。
地域の需要 | ・ペットを飼っている人が多いか ・高級志向の顧客が多いか ・ペット可の物件が密集しているか ・動物病院やペットショップがあるか |
競合店 | ・競合のトリミングサロンがどれくらいあるか ・どのような顧客層をターゲットとしているか ・どのようなコンセプトの店舗が人気か |
トリミングサロンのコンセプトを決める
市場調査に基づいて、トリミングサロンのコンセプトを決めましょう。開業予定の地域に、すでに他のトリミングサロンが出店している場合は、差別化戦略を検討する必要があります。
例えば、トリミングサロンの形態によって差別化を図るのも戦略の一つです。近年は、自宅でトリミングを受けられる訪問型のサービスの需要が高まっています。出店地域に訪問型サロンが少ない場合は、コンセプトの面で差別化につながるでしょう。
コンセプトが近い競合店が存在する場合は、トリミングを行うペットの種類で差別化するのもよいでしょう。例えば犬の場合、主なカット犬種は以下の通りです(※)。
● プードル
● コッカー・スパニエル
● スコティッシュ・テリア
● ミニチュア・シュナウザー
● ベドリントン・テリア
● ビション・フリーゼ
● ワイヤーヘアード・フォックス・テリア
犬種によってカットの仕方が定められており、プードルのように300種類のカット方法がある犬種も存在します。近隣の店舗が対応していない犬種やカット方法をアピールすることで、差別化を図ることも可能です。
トリミングサロンの出店場所を決める
トリミングサロンの出店場所は、お店のコンセプトや事業形態に基づいて決めることが大切です。出店場所の選定に難航している場合は、以下の基準に基づいて判断するとよいでしょう。
- ペット可の分譲マンションが多い場所(特にトイプードルなどのカット犬種を飼っている人が多い)
- 大型のショッピングモールやペット可の公園がある場所
- 付近に競合のトリミングサロンが少ない場所
- 通行中に目立ちやすい場所(信号のある交差点など)
資金計画を作成し、開業資金を調達する
事業内容がある程度具体的になったら、資金計画を作成しましょう。資金計画とは、“創業するのにいくら資金が必要で、その資金をどう調達するのかを検討する”ためのものです(※)。
※ 日本政策金融公庫「新たに事業を始めるみなさまへ 創業の手引」p18
開業に必要な資金は、大きく設備資金と運転資金の2つに分けて考えるとよいでしょう(※)。
設備資金 | 店舗(内外装費など)、機械、パソコン、備品、車両など |
運転資金 | 家賃、光熱費、人件費、広告宣伝費など |
開業資金は自己資金の他、金融機関からの借り入れによって調達することが一般的です。自治体によっては、開業時に利用できる補助金や、融資制度を設けている場合があります。また近年は、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを利用する方も増えています。
店舗の内外装工事や設備の手配を進める
店舗の内外装工事や、トリミングサロンの営業に必要な設備の手配も行いましょう。
特に店舗を一から新築する場合、工事が完了するまでの期間の目安は約1年 です。テナントを借りる場合も、営業が可能になるまで半年 ほどかかることが一般的です。
工事の規模や物件状況によっては、さらに工期が延びる可能性もあるため、できるだけ早く内装・デザイン会社に相談しましょう。また内外装工事の手配と並行して、備品や設備の導入も進める必要があります。
● ドライヤー
● トリミングテーブル
● ドッグバス
● ブロワー(送風機)
● ケージ(ホテル)
● 爪きり
● シザー
● クリッパー
● プラッキングナイフ
集客戦略を立て、効果的な集客方法を選ぶ
店舗の売上を増やすには、集客を行い多くの人にお店の存在を知ってもらう必要があります。集客には費用がかかるため、しっかりと集客戦略を立て、トリミングサロンのターゲットに合った広告宣伝を行いましょう。
集客につながる施策として、例えば以下のような例が挙げられます。
オンライン集客 | ホームページ、SNS、Web広告、Googleマップなど |
オフライン集客 | 新聞・雑誌広告、ポスティング、DM(ダイレクトメール)など |
開業届/法人設立届出書を提出する
個人事業主として開業する場合は、納税地の所轄税務署に対し、開業後1カ月以内に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を提出する必要があります(※)。 法人を設立する場合は、法人登記の完了後に法人設立届出書を提出しましょう。
トリミングサロンの開業形態は4種類ある
トリミングサロンの事業形態は多様化しており、以下のような種類があります。
独立型サロン | 独立した店舗でトリミングを提供する事業形態 |
併設型サロン | 動物病院やペットショップなどに併設する事業形態 |
移動型サロン | トリミングカーを用いて、商業施設の駐車場などで営業する事業形態 |
訪問型サロン | 飼い主の自宅に訪問し、サービスを提供する事業形態 |
独立型サロン
独立型サロンは、独立した店舗でトリミングを提供する事業形態です。家賃や内装費、土地の取得費などがかかるため、他の事業形態と比べ多くの資金が必要です。不動産を所有している場合は、自身の土地や建物の活用を検討するとよいでしょう。
また小規模なトリミングサロンであれば、自宅で開業することも可能です。ただし、トリミングサロンの開業には第一種動物取扱業への登録が必要なため、自宅の構造が保健所の基準を満たさない場合、大幅な改装が必要になる可能性もあります。
併設型サロン
併設型サロンは、動物病院やペットショップ、ペットホテル、老犬ホームなどの施設と契約を結び、トリミングサロンを併設する事業形態です。ペットに関連する施設が一箇所に集まっているため、集客上のメリットがあります。開業に先立って、動物病院などの施設が付近にないか調べておくとよいでしょう。
移動型サロン
移動型サロンは、ペットのトリミング専用の「トリミングカー」を用いて、商業施設の駐車場などで営業を行う事業形態です。
店舗を新築する場合と比べ、低予算で開業できるというメリットがあります。また人口が少ない地方都市など、交通が不便な地域での開業にも適しています。
訪問型サロン
訪問型サロンは、飼い主の自宅に訪問し、トリミングを行う事業形態です。一般的には、飼い主宅のシンクや風呂場を借りてサービスを提供するトリミングサロンを指します。
近年では、訪問型サロンの需要が高まっています。環境の変化がないため、ペットにとって負担やストレスが少なく、飼い主の都合にも合わせやすいのが訪問型サロンの強みです。
トリミングサロンの出店場所を選ぶときの注意点
トリミングサロンの立地は、事業の成否を左右する重要なポイントです。しかし、一般的に立地の良い場所は地価や家賃が高い傾向にあるため、予算と相談しなければなりません。
出店場所の選定に当たっては、日本政策金融公庫の「創業の手引」を参考にし、以下の4点をチェックしましょう(※)。
- 資金的に無理のない物件(場所)か
- 自身で所有する土地・建物の活用はできないか
- 立地条件にマッチした商品やサービスか
- 不利と思われる立地の場合はそれを補う工夫があるか
※ 日本政策金融公庫「新たに事業を始めるみなさまへ 創業の手引」p17
トリミングサロンの店舗設計で重要なポイント
トリミングサロンの店舗設計において、重要なポイントは5つあります。
- 顧客・ペット・スタッフの動線を考える
- ペットの臭いや騒音対策を徹底する
- 店内の清潔感を維持できる工夫をする
- ペットの安全性を確保する
- テナントの電気容量は必ず確認する
顧客・ペット・スタッフの動線を考える
トリミングサロンでは、顧客・ペット・スタッフの移動の流れをイメージし、動線設計を行うことが大切です。動線を確保できていないと、スムーズにサービスを提供できないだけでなく、ペットのストレスにもつながります。
ペットの臭いや騒音対策を徹底する
ペットの臭いや騒音対策も必要です。天井や壁、床に用いる内装材は、消臭効果や防音効果が高いものを選ぶとよいでしょう。
また動物取扱業(飼養または保管)における基準では、動物の健康に支障が生じないように、エアコン・換気扇などの空調設備の設置を義務付けています(※)。店内に臭いがこもらないようにする上でも、業務用の高機能換気設備を導入しましょう。
※ 環境省「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~」p30
店内の清潔感を維持できる工夫をする
トリミングサロンは、ペットの毛や排泄物などにより、汚れやすくなっています。こまめに店内を清掃し、清潔感を維持することが大切です。お手入れの手間を軽減するため、内装材には防汚加工がされたものや、拭き掃除がしやすいものを選ぶことをおすすめします。
ペットの安全性を確保する
近年では、トリミング中の事故が大きく報じられたこともあり、ペットの安全に敏感な顧客が増えています。
店内の床には、クッション性の高い内装材や、滑ったり転んだりしにくい内装材を採用しましょう。また怪我の予防のため、角が尖ったインテリアの設置は避けることをおすすめします。
また飼い主の方に安心してもらうため、トリミングスペースをガラス張りにし、ペットの様子が外から見えるようにするとよいでしょう。
テナントの電気容量は必ず確認する
トリミングサロンは、消費電力が多い業務用ドライヤーなどを使用するため、一般的な店舗よりも電気容量を必要とします。テナントを借りて開業する場合は、内装工事を始める前に必ず電気容量を確認してください。
トリミングサロンの開業費用の目安は?
トリミングサロンの開業費用の目安は、店舗型サロンで約280~500万円 、訪問型サロンで約15~35万円 です。店舗型サロンは、物件の取得費や内装工事費などがかかるため、訪問型サロンよりも多くの資金が必要になります。
出店場所(立地)や店舗の広さなどによって開業費用は変動するため、しっかりと資金計画を立てて資金を調達しましょう。
トリミングサロンの集客につながる4つの施策
トリミングサロンの集客につながる施策は4つあります。
- お店のホームページを作成する
- InstagramなどのSNSを活用する
- Googleビジネスプロフィールに登録する
- エリアを絞ってポスティングを行う
お店のホームページを作成する
近年はスマートフォンの普及に伴い、インターネットで情報収集を行う方が増えています。お店のホームページを作成し、サービス内容などを紹介すれば集客につながるでしょう。
トリミング中の風景や、サービスの提供に当たって心がけていることなどを発信すれば、顧客が来店前に抱える不安の解消にもつながります。
InstagramなどのSNSを活用する
SNSを活用した集客もおすすめです。特にInstagramなど、写真・動画の投稿をメインとしたSNSなら、視覚的なコンテンツを通じて店舗の魅力を発信できます。
Instagramのユーザーは若年層が多いため、10代や20代の顧客をメインターゲットとする店舗に適した集客戦略です。
Googleビジネスプロフィールに登録する
顧客の中には、Googleマップなどの地図検索サービスを利用し、トリミングサロンを探す方もいます。自分のお店をGoogleマップで検索できるようにすることで、集客効果を高められるでしょう。
Googleマップへの登録には、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)のアカウントが必要です。
エリアを絞ってポスティングを行う
ホームページやSNSなどを用いたオンライン集客だけでなく、オフライン集客も実施しましょう。オフライン集客の中でも、地域やエリアを絞ってお店を宣伝できるのが「ポスティング(チラシ配布)」です。
例えば、ペット可の分譲マンションが店舗周辺にある場合、ポスティングを行うとピンポイントに集客できます。ただし、ポスティングを禁止している集合住宅も多いため、事前にルールを確認してから行ってください。
まとめ:トリミングサロンの開業の流れや店舗設計のポイントを把握しよう
ペットブームの影響により、トリミングサロンやペットサロンを開業する方が増えています。これからトリミングサロンを始める場合は、事前に市場調査を行い、競合店との差別化戦略を打ち出しましょう。
近年はトリミング中の事故が問題となったことから、ペットの安全性を重視する飼い主の方が増えています。トリミングスペースをガラス張りにするなど、店舗設計を工夫し、顧客に寄り添ったサービスを展開することが大切です。
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