美容室カフェ併設のメリットと魅力的な内装デザインのつくり方

  • 2024.10.16

  • 最終更新日:

美容室にカフェを併設すれば、集客力や顧客満足度の向上、多面的なサービス提供による差別化など、さまざまなメリットがあります。
ただし、通常の店舗とは異なる内装デザインが求められるため、設計事務所や内装会社に相談しながら店づくりを進めていくことが大切です。

この記事では、美容室にカフェを併設するメリット・デメリットや、魅力的な内装デザインのつくり方を紹介します。


美容室にカフェを併設する店舗が増えている理由とは?


近年、異業種とコラボレーションし、多角的なサービス提供を行う美容室が増えています。その中でも一定の集客効果が期待でき、利用者からの人気も高いのが、カフェスペースの併設です。

美容室としての魅力とカフェとしての魅力の相乗効果により、近隣の競合店にはない強みを獲得できます。カフェや喫茶店の経営ノウハウがない方も、フランチャイズへの加盟など、手軽に営業を始められる環境が整っています。


美容室にカフェを併設する4つのメリット

美容室にカフェを併設するメリットは4つあります。

  • 集客力アップにつながる
  • 顧客満足度の向上が期待できる
  • 多面的なサービス提供が可能になる
  • 余剰スペースを有効活用できる

集客力アップにつながる

1つ目のメリットは、集客力アップにつながるという点です。
美容室を目当てとする顧客だけでなく、カフェを目当てとする顧客にも、お店の存在を知ってもらえるからです。美容室の顧客層とカフェ・喫茶店の顧客層はよく似ているため、集客における相乗効果も期待できます。


顧客満足度の向上が期待できる

2つ目のメリットは、顧客満足度の向上が期待できるという点です。
美容室にカフェを併設すれば、予約時間の前や施術の合間にカフェを利用し、ほっとひと息ついてもらえます。これまで手持ちぶさたになっていた待ち時間を有効活用し、快適な顧客体験を提供できます。


多面的なサービス提供が可能になる

3つ目のメリットは、多面的なサービス提供が可能になるという点です。
近年は多様な顧客層を取り込むため、異業種とのコラボレーションを行う美容室が増えています。カフェスペースの併設は、美容室との相性もよく、スイーツやドリンクを楽しみたい顧客層へのアピールが可能です。
施術後にスイーツをテイクアウトしてもらうなど、新たな収入源の獲得にもつながるでしょう。


余剰スペースを有効活用できる

4つ目のメリットは、余剰スペースを有効活用できるという点です。
構造上デッドスペースとなっている場所や、使用していない個室がある店舗も多いでしょう。こうした余剰スペースをカフェ・喫茶店に改装すれば、近隣の競合店にない新たな付加価値を獲得できます。


美容室にカフェを併設する2つのデメリット

一方、美容室にカフェを併設する場合、以下のようなデメリットもあります。

  • 運営コストが増加する
  • サービスの質を保つための工夫が必要になる

運営コストが増加する

1つ目のデメリットは、カフェスペースの併設により、運営コストが増加するという点です。
美容室の運営に必要なコストに加えて、以下のような経費が発生することを知っておきましょう。


●原材料費
●人件費(専門のスタッフを雇う場合)
●水道光熱費(カフェスペースの部分)
●消耗品費(顧客に提供するおしぼりやナプキンなど)
●衛生費(カフェスペースで発生するゴミの処理費用など)


サービスの質を保つための工夫が必要になる

2つ目のメリットは、サービスの質を保つための工夫が必要になるという点です。
カフェ・喫茶店としても人気を集めるには、飲食店経営のノウハウが求められます。しかし、中にはスイーツやドリンクをつくった経験のない方もいるでしょう。
その場合、有名ブランドのフランチャイズに加盟し、サポートやノウハウの提供を受けるという方法があります。加盟料やロイヤリティの支払いが必要なものの、未経験の方でもカフェ・喫茶店の営業が可能です。


魅力的な美容室カフェの内装デザインをつくる4つのポイント


美容室にカフェを併設した店舗において、魅力的な内装デザインを実現するポイントは4つあります。

  • 統一感のあるデザインを意識する
  • 照明の使い方や空間づくりを工夫する
  • カフェとしての機能性も備えた素材を選ぶ
  • スムーズに飲食を提供できる動線を考える

ポイント1. 統一感のあるデザインを意識する

美容室とカフェスペースの内装デザインは、統一感のあるコンセプトを意識しましょう。
カフェスペースの内装も、美容室の顧客層に合わせてデザインすることをおすすめします。例えば、若い女性が主要なターゲットであり、ポップ系の内装デザインを採用している場合は、カフェスペースにもよく似たコンセプトを取り入れるとよいでしょう。


ポイント2. 照明の使い方や空間づくりを工夫する

また照明の使い方や空間づくりを工夫することで、こだわりの内装デザインを実現できます。
例えば、温かみのある色の照明を採用すれば、リラックスできる空間を演出できます。サロンの部分とカフェスペースでは、照明によるライティングや雰囲気づくりの考え方に違いがあるため、設計事務所などの専門家に相談してみましょう。


ポイント3. カフェとしての機能性を備えた素材を選ぶ

天井や壁に使用する素材は、カフェとしての機能性を備えたものを選びましょう。とくに注意したいのが、スイーツやドリンクの匂いがサロンに流れないように配慮することです。
例えば、アンティーク系の内装デザインでよく使われる漆喰や珪藻土などの素材は、消臭・調湿効果に優れています。こうした素材を活かすことを前提として、内装デザインのコンセプトを考えるとよいでしょう。


ポイント4. スムーズに飲食を提供できる動線を考える

サロンとカフェスペースをスムーズに行き来できるよう、動線(スタッフや利用客の動き)を考えて内装デザインを決めることも大切です。
とくに余剰スペースを活用してカフェに改装する場合は、店内が狭くなるため、しっかりと動線計画を立てる必要があります。例えば、通りに面した部分をコーヒースタンドにすれば、美容室と動線がかぶらず、外から直接テイクアウトできて便利です。


美容室にカフェを併設するときの注意点3つ

美容室にカフェを併設する際は、以下の3つの点に注意しましょう。

  • サロンとカフェスペースのコンセプトを揃える
  • 営業する地域の保健所の規定を確認する
  • 美容室・カフェそれぞれの営業許可や資格が必要

注意点1. サロンとカフェスペースのコンセプトを揃える

サロンとカフェスペースのコンセプトは、できるだけ揃えるようにしましょう。コンセプトがバラバラだと、利用客に別々の店舗だと認識されてしまう可能性があるからです。一つにフロアに美容室とカフェが同居するような、互いに相乗効果が生まれる内装デザインを追求しましょう。


注意点2. 営業する地域の保健所の規定を確認する

また保健所の規定を確認することも大切です。営業する地域の保健所によっては、店舗にカフェを併設する際の独自のルールを設けている場合があります。内装工事が完了した後で保健所から指摘を受けると、それまでの工事費用が無駄になりかねません。
事前に保健所の担当者と連絡を取り合い、必要な設備や施設基準などを確認した上で、内装デザインを決めることが大切です。


注意点3. 美容室・カフェそれぞれの営業許可や資格が必要

美容室にカフェを併設する場合、美容室だけでなく、カフェの営業許可も必要になります。また飲食店の開業には、以下のような資格取得が必要です。

  • 食品衛生責任者(すべての飲食店で必要)(※1)
  • 防火管理者(カフェスペースも含め、防火対象物全体の収容人員が30人以上 になる場合)(※2)

食品衛生責任者の資格取得には、所管の保健所において、計6時間程度 の食品衛生実務講習会を受ける必要があります(※1)。ただし、調理師や製菓衛生師などの資格をすでにお持ちの方は、講習会を受けなくても食品衛生責任者になることが可能です。

※1 東京都保健医療局「食品衛生責任者」 
※2 東京消防庁「防火管理者が必要な防火対象物と資格」 


美容室カフェの内装デザインの例

 実際に美容室とカフェが併設された店舗の内装デザインの事例をご紹介します。

滋賀県米原市:cafe and salon 三本葦


既存建具を再利用しながら、間仕切り壁は左官でR壁を作って柔らかい印象を演出するなど、古さを活かしながら新しさも感じる空間に仕上げています。

より詳しく見たい方はこちら


まとめ:美容室にカフェを併設し、競合店にはない強みを生み出そう

美容室にカフェを併設すれば、近隣の競合店にはない付加価値を生み出せます。美容室を利用しにきた顧客が、ついでにスイーツやドリンクを購入してくれる機会も増え、売上アップにつながるでしょう。

カフェスペースを併設する際に大切なのが、内装デザインの設計です。「サロンとカフェスペースのコンセプトを統一する」「スムーズに飲食を提供できる動線を考える」といった工夫を取り入れるとよいでしょう。

設計事務所や内装会社に相談しつつ、美容室としてもカフェとしても魅力的な店づくりに取り組みましょう。