飲食店の開業資金はいくら?内訳から資金調達、自己資金の目安まで徹底解説!|テナント工房

  • 2023.8.7

  • 最終更新日:

飲食店の開業を検討する際に、資金について不安を感じる人は多いでしょう。目安となる資金を調達するだけではなく、開業費用を必要最低限に抑えることも重要です。

この記事では、開業に必要な資金とその調達方法や、費用を抑える方法、補助金・助成金について解説します。飲食店の開業資金について悩んでいる人だけでなく、開業を検討している人にもおすすめです。

ぜひこの記事を参考に、無理なく飲食店の開業に臨んでみてください。



飲食店の開業に必要な資金の目安

ここでは、飲食店の開業に必要な資金の目安について解説します。必要な資金を把握したうえで、飲食店の開業を行いましょう。


開業資金の内訳

飲食店の開業に必要な資金の目安は、平均で1,000万円前後といわれています。店舗の立地や広さなどによって必要資金は変わるため、目安として考えるのがよいでしょう。

また、開業資金は以下の2つに分けられます。
・初期費用
・月ごとに発生する運転資金

初期費用の内訳は以下のとおりです。
・物件取得費(保証金や礼金、仲介手数料など)
・内装工事費
・厨房機器費
・空調設備費
・備品(食器、調理器具など)
・広告費

物件取得費の保証金は、10か月分の家賃が相場といわれています。そのほかに必要な礼金や仲介手数料などを含めると、物件取得費は家賃の10倍を目安にするのがよいでしょう。

店舗を実際に作るために必要な資金が、内装工事費や厨房機器費、空調設備費、備品です。これらの費用の目安は、1坪当たり50〜80万円程度といわれています。

たとえば、20坪の店舗であれば1,000万〜1,600万円程度が必要でしょう。開業資金の半分以上を占める場合もあるため、全体のコストを考えながら店舗を作る必要があります。

運転資金の内訳は、以下のとおりです。
・家賃
・光熱費
・人件費
・食材費
・広告費

運転資金は、店舗の広さやスタッフの人数によっても変わります。ひと月あたりの目安として、家賃の10倍を想定するとよいでしょう。

開業直後は売り上げが伸びない場合が少なくないため、毎月の運転資金を売り上げから回すような資金繰りは避ける必要があります。あらかじめ、6か月分程度の運転資金を用意しておくと安心です。


資金0円でも開業可能?

資金0円での飲食店の開業は、ほとんど不可能といえます。なぜならば、自己資金0円で開業するには、必要なお金を借りてくる必要があるからです。

しかし、自己資金0円では金融機関の融資が降りる可能性は低く、融資が降りたとしても実行するまでに物件取得費の支払いが終わっていなければなりません。

たとえば、家賃20万円の物件の場合、200万円前後の保証金に加えて、礼金や仲介手数料などの支払いが必要です。そのため、資金0円での開業は非常に難しいといえるでしょう。

飲食店の開業を行う場合は、最低でも300万円程度の自己資金の確保が必要です。自己資金を抑えて開業ができたとしても、すぐに売り上げが伸びるわけではありません。

事業が軌道に乗るまでは、苦しい時間を過ごさなければならないため、安全に飲食店を開業するためには最低300万円、目安として1,000万程度は確保できるようにしましょう。



飲食店の開業資金を調達する方法

ここでは、飲食店の開業資金の調達方法について解説をします。それぞれの特徴を理解して、自分の状況に合った調達方法を選択しましょう。

開業資金を調達する方法は、以下のとおりです。
・融資を受ける
・出資を受ける
・家族や親戚から借りる


融資を受ける

開業資金の調達で最初に検討するのが、融資を受ける方法です。融資を受けるには、以下の2つの制度が挙げられます。

・日本政策金融公庫の新創業融資制度
・銀行・信用金庫の融資制度

新創業融資制度は無担保、無保証で融資が受けられる制度です。融資の限度額は、運転資金1,500万円までを含めた3,000万円で、開業を予定している多くの事業者が利用しています。

融資を行う際には、融資総額の10分の1以上の自己資金が必要になるため、あらかじめ必要最低限の自己資金を用意しておきましょう。

銀行・信用金庫の融資制度を利用する際には、信用保証付き融資の利用がおすすめです。信用保証協会が間に入るため、金融機関の審査も通りやすく、最大3,500万円の融資を受けられます。

ただし融資の際には、利息に加えて、実績の少ない事業者の融資を担保するための信用保証料が加算されます。


融資審査を通すポイント

融資審査を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。

まず、事業計画書の質が最も重要な要素となります。売上予測や収支計画は根拠を明確にし、現実的な数値を設定しましょう。過度に楽観的な計画は審査官に疑問を持たれる可能性があります。

自己資金の準備状況も厳しくチェックされます。ギャンブルや借入による見せ金は通用しません。コツコツと積み上げた預金通帳の流れを示すことで、計画性と責任感をアピールできます。

飲食業界での経験やスキルも重要な評価項目です。未経験者の場合は、料理学校での学習歴や関連する資格取得などでカバーしましょう。また、面談では熱意と具体性を両立させた説明を心がけることが大切です。


出資を受ける

クラウドファンディングや投資家から出資を受ける方法もあります。クラウドファンディングは、不特定多数の出資者が少しずつ出資を行ってくれる仕組みです。

投資家と何らかの縁がある場合は、出資の依頼もできるでしょう。場合によっては、返済不要で資金調達ができる可能性もあります。

ただし、どちらの方法で出資を受ける場合でもリターンを求められることがほとんどです。資金が調達できた際や利益がでた際に、出資者に対して何らかの見返りを提供する必要があります。

とくに、投資家に出資してもらう場合は、事前にリターンについての相談を行い、トラブルを未然に防げるようにしましょう。


家族や親戚から借りる

家族や親戚から借りた資金は、自己資金として金融機関に認められる場合があります。融資を検討する際に自己資金が足りない場合は、家族や親戚からの借り入れを相談してみましょう。

家族や親戚から借りる場合、返済に関するトラブルが発生しやすい傾向にあります。そのため、事前に返済期間や利息などについて相談し、書面に残しておくのがよいでしょう。



飲食店の開業資金を抑える方法

ここでは、開業資金を抑える方法について解説をします。資金には限りがあるため、優先順位を考えながら開業準備を行いましょう。

開業資金を抑える方法は、以下のとおりです。
・資金の使い道に優先順位をつける
・リサイクル品・中古品を導入する
・居抜き物件を活用する
・小規模物件を活用する
・リース契約する


資金の使い道に優先順位をつける

必要最小限の費用に抑えるためには、開業資金の用途に優先順位をつけるのが重要です。開業する際の費用として挙げたもののなかには、すぐに必要としないものや、なくても問題ないものもあります。

宣伝費や店舗の改装費などの必要な項目を絞りこむことで、開業資金を抑えることが可能です。


リサイクル品・中古品を導入する

初期費用を抑えるためには、リサイクル品や中古品を導入するのも重要です。

厨房機器は、新品で購入する場合、数百万円を超えるものもあります。中古で購入ができれば大幅な費用の削減ができるため、飲食店向けの中古厨房機器を取り扱う店などで、新品と比較してみるとよいでしょう。

また、店内で使用するテーブルやイスなどもリサイクル品や中古品を活用できます。インテリアショップのアウトレット品なら、デザインを揃えることもできるでしょう。


居抜き物件を活用する

大幅に開業資金を減らす方法として、居抜き物件の活用が挙げられます。居抜き物件は、以前に入居していた店舗の内装や設備などが残っているため、同じ業態の飲食店であれば大幅な費用の削減が期待できるでしょう。

しかし、居酒屋やカフェの居抜き物件は人気があるため、入居者がすぐに決まってしまう場合がほとんどです。そのため、複数の不動産会社に問い合わせを行って、希望の物件が見つかった場合は、すぐに内覧に行けるようにしましょう。

【関連記事】居抜き物件で飲食店の開業!~メリットと注意すべき点も解説~|テナント工房


小規模物件を活用する

保証金や礼金、仲介手数料などは家賃をもとに設定されるため、小規模物件を活用すれば初期投資を抑えることが可能です。小規模物件は、一般的な広さの物件と比較して家賃が安い傾向にあるため、固定費や初期投資の削減につながります。

とくに、家賃は開業後も毎月発生するため、家賃を下げることで資金繰りに余裕を持ちやすくなるでしょう。坪数が小さい場合でも、席数を多めに取れる構造もあります。

【関連記事】小さい店舗におけるレイアウトの重要性!決める際のコツ


リース契約する

リース契約を行えば機材を購入する必要がないため、初期費用の大幅な削減が可能です。リース会社が代理で購入した機材を店舗で利用するため、毎月のリース代金以外の費用はかかりません。

また、機材の納入やアフターサービスに関しては、販売したメーカーが行ってくれます。そのため、トラブルの心配もなく初期費用を削減できるでしょう。しかし、以下のようなデメリットもあります。

・廃業しても借入金が残る
・購入するよりも割高になる
・リース会社の所有になる

初期投資を抑えられる反面、デメリットもあるため、高額な機材だけをリース契約で対応するのもおすすめです。



業態・立地別の開業資金シミュレーション

開業資金は立地や業態によって大きく変動します。

ここでは具体的なシミュレーションを通じて、資金計画の参考となる情報をご紹介します。


都心部での開業ケース(家賃20万円想定)

京都心部で15坪程度の飲食店を開業する場合のシミュレーションです。

項目 金額 詳細
物件取得費 240万円 保証金200万円、礼金・仲介手数料40万円
内装工事費 900万円 坪単価60万円×15坪
厨房機器・備品費 350万円 冷蔵庫150万円、その他200万円
運転資金 150万円 月25万円×6か月分
諸経費 60万円 各種申請費等
合計 1,700万円

都心部では保証金が家賃の10か月分必要で、工事費も高額になります。

人件費も時給1,200円以上が相場となるため、総額1,700万円程度の資金が必要です。


郊外での開業ケース(家賃8万円想定)

地方都市の郊外で同規模の飲食店を開業する場合のシミュレーションです。

項目 金額 詳細
物件取得費 96万円 保証金80万円、礼金・仲介手数料16万円
厨房機器・備品費 300万円 中古機器活用で費用削減
運転資金 90万円 月15万円×6か月分
諸経費 40万円 各種申請費等
合計 1,126万円

郊外では物件費と人件費を大幅に抑えられます。ただし駐車場の確保が必要で、月3〜5万円程度の追加費用が発生する場合があります。


業態別の資金目安(居酒屋・カフェ・ラーメン店等)

業態によって必要な設備や内装が異なるため、開業資金にも違いが生じます。

業態 総開業資金 内装工事費(坪単価) 厨房機器費 特徴
居酒屋 1,500〜2,000万円 70〜90万円 400〜600万円 和風内装、多様な調理設備が必要
カフェ 800〜1,200万円 40〜60万円 200〜350万円 エスプレッソマシンが高額
ラーメン店 1,000〜1,500万円 50〜70万円 300〜500万円 寸胴鍋、製麺機等の専用設備

居酒屋は内装と設備にコストがかかり、カフェは比較的抑えられます。ラーメン店は専用設備が必要ですが、座席への投資は抑制できます。

業態選択により開業資金に500万円以上の差が生じることもあるため、資金計画と併せて検討することが重要です。



開業後に活用できる補助金・助成金

ここでは、開業後に活用できる補助金と助成金について解説を行います。補助金や助成金を活用して、負担なく飲食店の運営を行いましょう。


補助金

ここでは、飲食店の開業後に活用できる補助金について解説を行います。補助金は、制度の要件を満たし、審査に通過した場合のみに受け取りができる制度です。応募期間が限られているため、こまめに情報収集を行いましょう。

開業後に活用できる補助金は、以下のとおりです。
・小規模事業者持続化補助金
・IT導入補助金
・事業再構築補助金


小規模事業者持続化補助金

中小企業や個人事業主を対象に、販路の開拓や生産性向上などにかかる経費の一部を支援する制度です。ただし、飲食業の場合、従業員が5人以下でないと対象になりません。

補助金の上限は50万円で、補助率は経費の3分の2です。なお、複数の事業者と共同で申請を行う場合は、最大500万円の補助金の受け取りができます。

事業所の所在地により、商工会議所地区では商工会議所、商工会地区では商工会で申請を行う事業計画書を作成することで、指導やアドバイスを受けることも可能です。

【参考】一般型_公募要領_第3版.pdf


IT導入補助金

ITツールを導入する際の経費を一部補助してくれる制度です。セルフ注文やセルフレジの導入だけでなく、デリバリーサービスやテイクアウトにも活用ができます。申請の種類によって要件や補助対象が異なるため、しっかりと確認をしましょう。

主な申請の種類は、以下の4つです。
・A類型(最大150万円)
・B類型(最大450万円)
・デジタル化基盤導入枠(最大350万円)
・セキュリティ対策推進枠(最大150万円)

IT導入補助金は、IT導入支援事業者と一緒に手続きを進める必要があるため、事業者を選定してから申請を行いましょう。

【参考】IT導入補助金制度概要 | IT導入補助金2025


事業再構築補助金

新しい分野への事業展開や、新業態への転換などの取り組みを支援する制度です。応募枠によって、要件や上限が異なります。

飲食店の開業に利用できる応募枠は、以下の2つです。
・物価高騰対策・回復再生応援枠
・最低賃金枠

物価高騰対策・回復再生応援枠は、売上高減少要件か再生事業者のどちらかを満たせば補助が受けられます。補助金の上限は、従業員5人以下の1,000万円〜従業員51人以上の3,000万円です。

一方で、最低賃金枠は、売上高減少要件と最低賃金要件の両方を満たした場合に、補助が受けられます。補助金の上限は、従業員5人以下の500万円〜従業員21人以上の1,500万円です。


助成金

ここでは、飲食店の開業後に活用できる助成金について解説を行います。助成金は、要件を満たせばどんな事業者でも交付を受けられる制度です。補助金と比べて通年募集を行っている場合もあるため、しっかりと下調べをしておきましょう。

開業後に活用できる助成金は以下のとおりです。
・雇用調整助成金
・キャリアアップ助成金
・創業助成金


雇用調整助成金

従業員に支払う休業手当等の一部を支援する制度です。経済上の理由で、事業を縮小せざるを得なくなった事業主が利用できます。支給上限額は、1人1日当たり8,355円です。

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置は令和5年3月31日で終了しており、現在は通常の要件での運用となっています。

【参考】キャリアアップ助成金|厚生労働省


キャリアアップ助成金

非正規雇用の労働者を正社員化した場合や、処遇改善に取り組んだ事業者に対して支給される助成金です。6つのコースに分けられており、それぞれ要件は異なるため確認が必要です。

助成金の上限はコースによって異なりますが、正社員化コースで有期雇用の労働者を正社員登用した場合は、最大で80万円の支給が受けられます。

【参考】キャリアアップ助成金とは?2025年・令和7年度【全コース支給額比較表付き】|使いたい補助金・助成金・給付金があるなら補助金ポータル


創業助成金

東京都内での開業を計画している個人または、創業5年未満の中小企業者などを対象とする助成金です。備品の購入費や従業員の人件費など、幅広い経費を対象としています。

支給限度額は100万円から400万円で、交付が決定した日から最長で2年間の助成が可能です。

【参考】創業助成事業 – サービス紹介 | TOKYO創業ステーション



まとめ

ここまで、飲食店の開業資金の目安と調達方法について解説を行いました。飲食店の開業資金の目安は、平均で1,000万円といわれています。開業資金を調達する際は、自己資金だけでなく、金融機関の融資も利用するとよいでしょう。

開業準備を行う際は、限られた資金を効率よく使うためにも、使い道に優先順位をつける必要があります。小規模物件やリサイクル品・中古品などを活用して、費用を削減しましょう。

また、費用を抑えて開業をするなら、店舗設計や施工に強い専門業者への依頼もおすすめです。テナント工房なら物件探しから設計、内装工事、アフターフォローまで対応が可能なため、飲食店の開業を検討している人は一度相談をしてみるとよいでしょう。

ぜひこの記事を参考に、テナント工房で飲食店の開業に臨んでみてください。