Episode.36 餃子屋はまだ 様(後編)


滋賀県草津市にオープンした「餃子屋はまだ」様。Instagramはフォロワー数1万超え、一時期は最長2年待ちにもなった人気の餃子屋専門店が、この度店舗での営業をスタートされました。今回は前編・後編2回に分けてお客様の声をお届けいたします。後編では、内装についてや今後の展望などを詳しく伺いました。
前編はこちらからご覧ください▶▶Episode35. 餃子屋はまだ様(前編)


――良かった提案

お客様:これでいうと、Mさんの提案はむちゃくちゃ好きやって。


営業O(以下O):おお!


お客様:イメージの写真を送るだけで、「こんなんどうでしょう」みたいな。めっちゃ提案、何パターンかしてくれて。こっちは選ぶだけで最終的によかったとか。こっちが「こうしたいです」、たとえば、この壁は「揃えたいんです」みたいなの言ったときに、あんまり嫌な顔しいひんというか。「絶対こっちのほうがいいです」みたいな押し切らへん感じが僕は好きやって。


設計M(以下M):良かった…!


お客様:じゃあ、こうしましょう、みたいな。その提案もしてくれたりとか。こういうのも(厨房への窓)作ってくれて、すごい良かったし。全体的にすごく納得がいってた。 厨房も、厨房金かけへんって言ったのに、「いや、お金かけましょう」みたいな。「インスタグラムで発信するんだから、厨房は壁とかも光照らしてとか、やったほうがいいですよ」みたいな。こっちの、最初はあまり気づいてなかった提案をしてくれる、のせてくれるっていうのはすごい良かったですね。お金かかるけど(笑)最初の予算より大きくオーバーしてしまったから、今必死こいて、餃子売ってますけど、結果的にこだわってちゃんとやってよかったな、っていうのと、やっぱ、入口の階段ですよね。この提案はOさんがしてくれて。


O:いやいや。


お客様:なにがきっかけでしたっけ。僕は、なんも言ってへんかったんやったっけ。


M:私もはっきりとは覚えてないんですけど、ここの建物の構造上、ぜったいステップが要るということにはなってたんですね。お客様が、たぶん言葉に出さないんですけど、デザインで何かあと一押し足りないなって。


お客様:はいはい。なんか言うてましたね。


M:シンプルにまとまってきているんだけど、あと何かないなっていうのが、何度か打ち合わせの中でスライドしてったんだと思うんですよね。その中でOが「それだったら階段のステップ、餃子にしたらどうですか?」みたいな。


O:ありましたね。


M:一瞬、お客様と僕の二人で、頭が「…」ってなったと思うんですけれども。次の瞬間、お客様が「それいいですね」って言われたっていうのが、僕の覚えていることで。そのときに、すごい商売っていうのをいつも頭に置いて、これをやったらどういうふうにお客さんに伝わるんだろうっていうことを考えているんだなあっていうのが、すごい印象的でしたね。


お客様:僕も、その「…」ってなった瞬間、何考えてたかっていうと、「餃子踏むんか」がまず…。餃子踏むってどうなんって。


M:なるほど。わからないじゃなくてですね、なるほど。


お客様:どっちや。餃子踏む…でも…そんなとこないやん。…いいじゃないですか!みたいな(笑)


M:その数秒間だったんですね。


お客様:磨きゃいいか、みたいな。今では週1磨いています。


M:造形職人さん、インスタとか全然しない人なので、「餃子屋はまださんのインスタ見たら毎回餃子のステップ上がってますよ」ってお伝えすると「ああ、うれしい」って言われてて。何か不具合あったらすぐ行くってお伝えしておいて、って言われているんです。


M:でもこれを実現できたっていうのは、ほんとにすごく、我々にとっても大きかったなってことですし。お客様も「良かったな」と思ってくれてたら、すごく嬉しいなあと。


O:ですね。別の仕事で美容室行ったりとかすると。「何してはるんですか」みたいになるじゃないですか。どんなお店作ってます?って。で、「このへんやったら餃子屋さんとかやってますよ」みたいに言うたら、まあまあ知ってはるんですよ。「階段、餃子ですよね」と結構言われるんです。


お客様:もうその印象!


O:それ聞くと、めっちゃ嬉しい。一番、たぶんわかりやすいと思う。


お客様:みんな写真撮って帰りますもん。


M:ほんとに「ここに餃子を」っていう発想は、私の中にはなかったんで。ロゴは入れたいって思ってたんですけど、だからすごくよかったなって感じがしますね。


O:みんなで作った感じありますよね。

取材は餃子屋はまだ様におじゃましました!
(左から弊社生産支援A、お客様、弊社営業O、設計M)


――うまくいかなかったこと

お客様:自分ではあんまりないんですよね。いや、ないかな…?まぁそれこそさっきも言った、めちゃチャンスロスあったっていう話ですよね。餃子がなかったことが一番で。あの一番売れるオープンしてから2週間の期間を閉めてしまったことがものすごいロスになった。その分「売り切れる」みたいなイメージがついたんかはわかんないんですけど。そのイメージ戦略が多少あったにしても、それは損のほうが大きかったかな。


O:そりゃそうですよ。200万なくなってるんですから。


お客様:その分元々ギリギリでやってたんで。「あかん助けて」言うたら信用金庫さんが助けてくれたんでね。短い期間やったら貸せます、「OKです、じゃあそれで」って追加融資受けて。早かったです。1、2週間で貸してくれましたものね。バンと。


O:早いですね!追加融資はすごいわ。


お客様:信用金庫の担当さん、めっちゃいいっすね。いろいろ提案してくれるし、事業つなげたりとか。いろいろしてくれたり、イベントに出店させてくれたり。結構いい担当さんついたな、って感じです。



―― 印象に残っているエピソード

お客様:もう喋りきってる(笑)印象に残ってるエピソードあるかな、さっきまでのやつ以外で。


O:長いプロジェクトではあったですよね。お出会いしてから工事にかかるまでというか。


M:最初にお問い合わせいただいてから、どれぐらいですかね。1年…半?


お客様:そこまではかかってないですね。秋か冬ぐらいに問い合わせて、10月~11月着工だったんじゃないかな。


O:そんな感じやったと思います。


お客様:「物件ありますか?」みたいなん言って。「ちょうど出たばっかりのとこあります」みたいな感じで何件か。


O:物件も何件か行きましたよね。事務所の跡地のようなでっかい角地のね。


お客様:だいぶでかい。立地的に暑くなるんですよね。


O:そうそう。


お客様:あとちょっと余るなみたいな。使い切れへんなこのテナントってなりましたよね。


M:そういうことでいうと、今は営業されてみて、広さ的にベストだったかなってことですか?


お客様:そうですねぇ…いや、ちょっと狭かった、結果。


M:なるほど。


お客様:実際やってみて、狭かったから、絶対Mさんが怒ること厨房でやってるし(笑)厨房のここは写せへんな、っていうゾーンを増やしてしまった(笑)これは言えへんと思いながら、冷凍庫を増設したんで。


M:いえいえ(笑)


お客様:僕でも「うっ」ってなってるから。でも冷凍庫ないとできひんし。ほんでこれなんの話やったっけ(笑)


O:印象に残ってるエピソードですね(笑)打ち合わせする日はいっぱいあったんで、僕は楽しかったです、ものすごく。


M:緊張の打ち合わせの中、お客様は打ち合わせも超真剣なんですけど、気になっていることがあって、打ち合わせがきっちり終わったら、それを聞かれるみたいな。


O:最後にね。


お客様:メモってますから。聞くことリストに。


M:きっちりされてる。


O:僕もそのイメージ、すごいありますわ。



――オープン後のお客様の反応

お客様:これは、結構嬉しい反応が多くて。まずは餃子のこと言うていいですか?


O:どうぞ!


お客様:食べてくれたお客さんは、リピートしてくれる人多くて。あそこの看板に書いているみたいに、「今まで食べたことないこんな餃子」って言って、月1来てくれる人結構います。なので、餃子の感想はすごい嬉しいものばかりもらってるっていうのと。たまにやっぱり「高いなあ」とか言うてくる人いるんですけど。


M:面と向かって、ですか?


お客様:そうです。ここのショーケース見て「高っ」みたいな。「その分うまいんで大丈夫です」みたいな。


O:さすが。


お客様:でも「高っ」って言われた人はあまり来ないですね、次。イベントのときに来たかなぐらい。もしくは「高っ」っていっても若い人はおばあちゃん連れてきたりとか。おばあちゃんに買ってもらったりとかっていう感じのことは見かけます(笑)


M:逆に嬉しいですよね。


お客様:はい。「高かったけど美味しかったんや」って。


O:うれしいですね。


お客様:そうですね。まず餃子の感想は、わりと嬉しい言葉をすごいもらってます。 で、この階段なんですけど、もちろん、これを知って来てくれる人がいて。その人達は入る前に写真撮りはる。で、知らん人は普通に入って、階段に気づかず。意外と見いひんくて。普通にドア開けて、こっちの商品棚とか見て、このへん写真撮って。「わ、かわいいー、おしゃれ」みたいな感じで写真撮って。で、出るときに、「何これ!」「餃子?」みたいな。っていう感じが多くて。ちょっとびっくりしてる感じです。 気づく人は気づくけど、意外とそういう人が多い。気づかん人が多くて。へえ、気づかんもんかって思う。階段のぼるとき、「おかしな形やな」って思わへんのかなって(笑) あと、やってみてわかったんですけど、意外と若い世代の人が結構いるんですが、同じくおじいちゃんおばあちゃんが多くて。


O:そうなんですか。


お客様:多いんですよ。来る層はわりとおじいちゃんおばあちゃん多くて。二世代、三世代でみたいな感じが多いんで。そうなると足悪い人とかがいて。そのときに「スロープたしかに要るな」ってちょっと思いながら今はやってて。なので、次、なんかやるときに、奥から見たらお箸の形やけど、スロープになってて、餃子掴んでるみたいな。


M:ある視点から見ると、お箸に…?


お客様:スロープがこのへんからガーっと作れたら。ベビーカーの方も多いんで。ベビーカーとおじいちゃんおばあちゃん用に、なんかスロープ作れたらなって。


O:それおもろいな。


M:お題をいただきました。


お客様:言われてますから。おじいちゃんおばあちゃんに「ここはあれやな、老人に優しくない店やな」って。ちょうどそこにデイサービスの店舗があるんですよ。買い物デーって言って、施設の方が「お買い物ついてくよ」みたいな日があって、ここにも買い物来てくれるんですけど、手持ってもらいながら、こう入って来てっていう感じやから。
っていうのと、お父さんお母さんが来て、ベビーカーだから、一人やともう入れへんし、あとはお母さんだけ来て、お父さん寒い中外で待ってるみたいな。もちろん、持ち上げるの手伝ったりするんですけど、「ここでいいですよ」って言われるんで。みんなで商品選んで、誰でも入れる店っていうふうに考えたら、スロープ必要やったかってちょっと思ってる。


O:お箸…、なんかできたらおもしろいですね!


お客様:餃子の階段はなくしたくないんで!



――お店の㏚と今後の展望

お客様:今年力を入れていくのは、卸売をちょっと始めようかなと。価格帯的にあまり合わないんですけど、いったん、もう来月からスタートするのは、そこの草津の丸富精肉店さんというところに、置いてもらえることになって。今、お肉、そこで仕入れているんですよ。
なので、置かしてもらえないかという話をしたときに、「あ、OKです」みたいな。今ポップ作って、どういう感じで並べて、どの商品を並べようかっていう話をちょうどしているところで。「店増やす」もいつかやりたいけど、いったん、店はここだけで構えて、滋賀県のスーパーとかに置かしてもらいたいなと。


O:いいですね。


お客様:2回失敗しているんですよ、他府県で。まったく認知度ない状態で。 お取り寄せ餃子ばっかりを集めたゾーンをスーパーに作ってもらったりしたことがあるんです。これはうち主導ではなくて、「やりませんか?」みたいな感じでお声がけいただいて。「じゃあやります」みたいな感じで、やったんですけど、やっぱり他のところより高いから、ぱっと初見で見た人からしたら買うわけがないというか、味も知らんし。っていうので売れ残って、結局1、2か月で終わりみたいなんがあったんですけど、滋賀県やったらいけるんちゃうかなって思って。知っとる人も多いし。

で、この店に入るのハードル高いっていう人もいるんですよ。入りづらいって言われることも多くて。なんでなんでしょうね、ちょっと敷居高いみたいに思ってはる人が多くて。知ってるけど行ったことないっていう層が結構いるんですよ。でもスーパーやったら行くから、「これ『餃子屋はまだ』のや」みたいな感じで「1回買ってみよか」っていったん味知ってもらって。で、好きになったら、スーパーで売ってへん商品がここには売ってるんで。スーパーには少量パックだけしか売らへん。で、こっちに来たらギフトもいけるんや、期間限定餃子も買えんのや、みたいな。っていうふうにしていったら、いけるんじゃないかなと思って。滋賀県のスーパーに広げたいなという作戦を立ててるところですね。


O:なるほど。さすが経営者ですね。


お客様:今年はそれかな、とりあえず。いつか、スタッフ育成して、多店舗展開ができたらなと思っております!


O:すぐ広がりそうですけどね。


M:もう映画にも取り上げられてますし、これからどんどん広がる未来ですね!
(映画『ファーストキス 1ST KISS』に、3年待ちの餃子として餃子屋はまだ様の商品が登場しています!)

みんなで餃子のポーズ
※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2025年2月)