Episode.35 餃子屋はまだ 様(前編)

――開業のきっかけ
お客様:開業したきっかけは、元々中華料理がずっと好きやって。いつか、中華料理屋さん、コックになりたいという夢が高校生ぐらいのときにあって。中華料理屋のアルバイトをずっとしてて。で、卒業してから結局入社したのは餃子が有名な某大手中華料理屋さんだったんですけど、ただ唯一そこの餃子が嫌いやって(笑)
営業O(以下O)ええ!?
お客様:入社式の日も、社長が「餃子、好きか!?」みたいな…。それに対して「おお…!(小声)」。
O:声小っちゃいな(笑)
お客様:ガッツポーズも小っちゃ目に(笑) だから「自分の好きな餃子をいつか作りたいな」はあったんですよ。入社して働いていくうちに、やっぱり自分で包んで焼いて、やっていったら、ちょっとずつ好きになって。今は元職場の餃子も好きなんですが、それでもむっちゃくちゃ好みってわけではなくて。なので、自分の好きな餃子作ろうと思って、研究し始めて。それがきっかけですね。
O:それは、仕事しながら研究して?
お客様:仕事しながらです。はい。だから、最後の辞めるまでの2年間は、まったく休みないというか。休みの日は、インスタしながら、餃子作って。全国のインスタ見てくれている人に、無料で発送し続けて。
O:すごいわ…!
お客様:それで、もう200件ぐらいかな。無料で配って。配る代わりに「感想聞かせてください」っていう条件で、無料でお渡ししてっていう感じでしたね。
O:もう、そのときから経営者やね。その発想がすごい。
お客様:広告費ですね。ほんでこの店のオープンのキッカケか。
O:そうですね。で、初めて開業されて。
お客様:そのときはコロナ禍やったんですよ。だからスモールスタートしたかったのと、初めから、ドーンって店建ててってやるよりは、小っちゃくスタートしようと思って。おうちの庭つぶして、そこに6畳の小屋建てて。ちょうど、親父が建築士やっとるんで。で、建ててもらって、そこに厨房作って、そこからネット販売中心で、最初はやってて。ネット販売が9割5分ぐらい。近くの方だけインターホン鳴らして来てもらうみたいな感じにしてました。で、コロナ終わって、お店も割と知名も上がってきたところで…。
O:店舗構える前からだいぶ上がっとったでしょう、それ!
お客様:上がってきたところで、ちゃんとしたお店として構えようかなと思って。南草津で探したって感じですかね。
O:なるほど~。そう思うとだいぶ前から好きやったんですね、中華が。
お客様:中華、好きでしたね。小っちゃいときに、家族で連れていってもらうんが王将とかやったんで。
(左から弊社生産支援A、お客様、弊社営業O、設計M)
――テナント工房に問い合わせきっかけ・決めた理由
O:弊社に問い合わせいただいたキッカケは何かあったんですか?
お客様:ネットで「滋賀 店舗 建てる」みたいなワードかなんかで調べた。調べたら「めっちゃやってるやん」ってなって。草津近辺にある店舗ほとんどやってるのがテナント工房さんっていうのを知って。で、調べた2、3分後には電話してて。「今から行けますか?」って言ったら、「行けます」って言うんで。「30分後には行きます」って言って、30分後に行って対応してもらったって感じですね。
O:そうなんですね。行動力が半端ないなって思ってて。
お客様:それがきっかけ。検索で一番に出てきた、ってのがまずでした。すみません。建てたものを見に行ったとかじゃなくて(笑)
O:大丈夫です。弊社もGoogle広告を出しているので、その甲斐がありました。最初、うちのスタッフが電話に出たんかな。で、「30分後に行く」言うてはるんですけど、大丈夫ですか?ぐらい。
お客様:電話したら「ちょっと待ってくださいね~!」みたいな感じで。
O:ですよね。僕もたまたまその時に事務所おったんで。とりあえず話を、と思って。
お客様:「いつでもいけるって言うてはります」「じゃあ今からいいですか?」そんな感じで。
O:懐かしいですね。
お客様:すみません、もっといい、回答が…。「この店、どこやろ、テナント工房さんかいな!」みたいな。
O:いや、大丈夫です。嬉しい言葉もらったんで!!
―― 開業まで不安だったこと
お客様:なるほど、できるまで、不安だったことか。えーっと…テナント工房さん、というかOさんの、レスポンスが遅い、むちゃくちゃ。
O:ありましたね…すみません…。
お客様:めちゃくちゃ遅い(笑)僕、ずっと前職で店長やってて、すぐ返信しいひんとか、電話出えへんとかいうやつ、めちゃくちゃ怒るタイプやったんで。でも、一応取引先さんには「どうですか?いけます?」みたいな。っていうスタンスの感じやったんですけど。それが続いて、「これ大丈夫か」みたいになったんは…。え、この話ししていいんすか?
O:全然大丈夫です(笑)
お客様:もちろんOさんが優れているのはよくわかっているんですけど。僕はそういうので不安になるタイプなんで。しかもオープン日も決めちゃって。そんな中で連絡取りづらいのはきつかったかな、っていうのはありましたね。
O:不安にさせてしまって…。初回の不動産屋さんに一緒に行ったとき、覚えてます? 初めて設計のMが一緒に来たとき。
お客様:覚えてます、あの重たい空気(笑)
設計M(以下M):私も「有名な餃子屋さんで」っていう風にお聞きしてて。緊張した面持ちで打ち合わせに入っていったんですけど、いきなり「最初に言わしてもらいたいことがあるんですけど」っていうお話しで、さきほどおっしゃられたレスポンスのことを言われてて。だから私は1秒でも早く返そうと(笑)
お客様:むちゃくちゃ早かったですよね(笑)関わりだしてからMさんが一番レスポンス早い。「すぐにOから返信が来ると思います」「私からも言っておきます」って(笑)
M:もちろん私もOが仕事ができるっていうのはよく知っているんですけれど、忙しくバタバタしているっていうのもあって、お客様への返信が返っていないなっていうのが気になる点ではあるので…。で、今回打ち合わせで出たじゃないですか。もうこれは「ここからどう挽回するか」って。もう見て、何をするにも「見てすぐ返す」みたいな。僕が返せることではなかったら「Oから後で」みたいな。
お客様:グループで返してきてくれたあとに、個人で、「私が返信する内容ではないかもしれませんけど、とりあえずOも見てますんで…!」みたいな。
O:これは、なんですか?僕の会ですか?(笑)でも、お客様の想いも熱いし、結構なお店の構え方やったから。そこは不安にさせてしまったなと、すごい思いましたね。
お客様:大丈夫です、もう(笑)予定通りいっているので、大丈夫です。
O:あと、でもあれ違うんですか?オープンのときに…。
お客様:ああ、はい、やばかったですね…。
O:あんときね、大変な顔してはりましたよね。
お客様:そう。オープンにだいたいこれぐらいお客さん来るやろなって予想して、その分の餃子を用意しななっていうので。今は自分で作る分と、発注かけて委託している分、おんなじ餃子を2拠点で作ってて。オープン前はこっちは開業準備で忙しいから、餃子を包むのを全部任せてて。1回に300袋って単位でだいたい作るんですけど。その餃子がトラブルがあって出荷できないと。それが3回続いて。900袋、全部捨てなあかんことになって。
O:900!?
お客様:はい。900。やばいっすよ。ほんまに。
お客様:えぐいっす。金額にすると200万ぐらい捨てたんです、開業1週間前に。で、もちろんお金もそうやし、餃子もダメなんで。初日、2日目にはもう2種類しか残ってへん状態になってて。3日目には店閉めて。そこから2週間閉めたかな。なので、とりあえず開業前は餃子が足りなくなって、ピンチだったという感じですね。
O:いやあ、それはでかいなあ…。
M:一番に思ったのは、我々のお店のほうに何か不備があったのかなあ。それで、ご迷惑かけたのかなあって。
お客様:あーそうか、すみません、全然!当時は詳細言えなかったんですよ…。
――担当の印象
M:これもう帰っていいですか?(笑)このあとズコーンってくるやつ…。
お客様:全然。めちゃくちゃMさん大好きなんで大丈夫です!
O:愛を込めて(笑)
お客様:担当の印象…まずOさんの印象は、超フランク。あと友だちにめっちゃ似てる(笑)
O:言うてましたね。
お客様:前職で僕が店長になったときは21ぐらいやって。ほかに周りに同い年の店長がいない状態。唯一27、28ぐらいになったときに、店長に上がってきてくれた一人が、すごいOさんに似ている人で。身長も一緒、顔もほぼ一緒、ノリも一緒。ちょっと適当なところがあって。超距離近いみたいな。最初むっちゃ喋りやすくて。 とりあえず電話して30分後に行ったときに、Oさんってすごい良くて。喋りやすって思ったっていう印象。「まあ、この人たぶん、いろいろ取っていく人なんやろうなあ、できる人やなあ」の印象ですね。
O:いやいや、とんでもない。
お客様:で、Mさんは…超丁寧でセンス良い。
O:おお。
M:そこからの…っていう印象ですね。
お客様:相談すればすぐ返してくれるし、休みの日とか全然関係なしに、写真添付してくれたりとか。勝手にこうデザインバーッてやって、「こんな感じ」。たとえば、椅子の相談とかしたときに、「この椅子と、この椅子、どっちがいいですか?」みたいな。2パターン写真送ってきてくれて。ここにちょうど並べた写真を送ってくれるとか。いろいろ、めっちゃわかりやすいように説明してくれて、「うわ、ありがたー」っていう感じでした。…で、これは、今になったら、そりゃもちろん僕が悪いんですが…。
僕がインスタグラムで宣伝しながらオープンに向けてお客さん増やしていきたかったんで、工事の過程、毎週来て、こう変わりました、みたいな投稿をやっているなかで。ある日、この作業台が届くときに、僕のウエストぐらいやった作業台が、ちょっと大げさに言いますけど胸下にあって。「作業できやへんやん、何これ」みたいな。で、「これ、サイズ間違ってますわ」みたいなことを言ったら、「いや、合ってるはずです」と。「ちゃんと説明はさせてもらいました」みたいな。「そうか、説明したんか。いや、でもここにこう書いてあるし」「いや、最新のやつはちゃんと書いてあります」「おお、そうか、なるほど」。で、「どうなんですか?」みたいな、そんなことがありまして。 で、最終的に高さの調整はしてくれるっていう話やったもんで、「ああ、じゃあOKですよ」。で、調整して、ちょっと険悪なムードのなか、Mさんと二人の打ち合わせ。「このライトどうしますか?」みたいな打ち合わせがあって。普通に打ち合わせがスタートしようとしてたから、「ちょっと待ってください、納得してないでしょ?」みたいな。いや、「してませんよ」って(笑)
とりあえず、「打ち合わせする前に、まずしゃべりましょう」と。外で工事してたから、「中でしゃべりましょう、どう思ってんですか?」というところからちょっとケンカになって(笑)最終的にOさんに電話して。「来てくださいよ!」みたいな。そんなケンカがちょっとあって。「じゃあ、もう担当外れてください」って言ったんですMさんに。「このままじゃできひんし外れてください」って言ったら、「じゃあ、この(入口の)階段なくしますよ」って言われたんですよ(笑)「なくせばええやないか!」って(笑)
O:いやあ…(苦笑)
お客様:なくせばええやないか、って言ったときに、多分Mさんの心の中では「やばい。言っちゃったしな」。先輩のね、造形職人に言ってしまってるし、手配してるし、「どうしよう、やばいな」みたいな。合ってます?
M:いや、ニュアンスはちょっと違うんです…。
お客様:あ、違いました?
M:あの、それは何かっていうのは、ちょっとこれ、初めて言うことなんですけど。もちろんお客様には途中の過程、裏事情っていうのを見えないようにするのですが、あの造形職人さんを連れてきて、作業させるって、結構大変なんですよ。
お客様:はい。
M:技術的なこともそうだし、全員にかなりのモチベーションがないと、僕もディレクションできないんですよね。で、お客様はさっき「自分が」って言ってくれたんですけれども、それはほんとに僕が悪かったと思っているんです。私も真剣に対応してたから、それがそんな風になってるわけないっていう気持ちがあったんで。やっぱり譲れなかったって。そこは、わかっていただいているのかなと祈っている部分ではあるんですけど…。
お客様:はい、伝わってます。
M:担当を変えてくださいっていう話のときに、一つはもうオーナーを怒らせちゃっているんだから、「もう無理だろうな」っていうのがひとつ。で、階段のことっていうのは造形職人さんに声はかけてたんですけれども。このモチベーションで、完成までできないなって気持ちがあったんです、私自身は。だけどあの造形職人さんをほかの人がディレクションするっていうのも無理だし。だから僕としては、ほんとにひどい言い方なんですけど、「私を残さないんだったら、階段は違う形になるよ」っていうお伝えの仕方で…。結果的には乱暴なことをオーナーに言っているっていうのは変わらないんですけど。このめんどくさい奴が残っているけど、階段はできる。めんどくさい奴はいない、でもあの造形職人さんが作るものではないよ、というものになるのかっていうこと。
お客様:その駆け引きをしたうえで、僕が即答で、ほんならなくしてくださいって言ったとき、どう思ったんすか?
M:「あ、なくなったな」って。
お客様:でもそれを言った瞬間からちょっと態度変わって、「僕も、ほんとはね、やりたいんですよ」って感じ。これ、相当なくしたくないなって(笑)
M:それはやっぱり、造形職人さんもやる気になってきてくれている中で、それを自分の一存でなくしちゃっていいんかなっていうのと。お客様がこの階段を作るのに、我々の提案も金額面も飲んで進めてくださってたのに…って。Oは知っているんですけど、私は結構そういう「じゃあ」ってなることっていうのはこれまでにもあって…。
お客様:沸騰してしまうの?(笑)
M:そう。それに対して自分自身が責任を取ることができればっていうのはあったんですけど…。やっぱり、こういうふうにチームでやってきているっていうなかで、それはダメだっていうのはありますね。
O:お互い真剣にやってて、ぶつかってしまったんでね。
お客様:たしかに、そうですね。
O:Mもすごい熱量やったんですよ、思い入れというか。
M:ほんとに原因ということに対しては、お客様がおっしゃる通りだし、その自分の対応っていうのも社会人にあるまじきことだと思って。
お客様:いい思い出ですね。
M:いやいやいや…。
Hお客様:だってあれが?なかったら、ここまでくだけてないですよ(笑)
O:その日、僕は会議あったから遅れていって。連絡もらってさすがにこれ行かなあかん思って行ったら、来た瞬間…「もう帰れ」って言われた、二人に(笑)仲直りしたし、大丈夫ですよ、もうええでみたいな。うそやん、みたいな(笑)
お客様:そうでしたね。
M:ご迷惑をおかけしたっていうことしか…。
O:生産管理A(以下A)の印象は?ケンカのときにもおったんですよ。
お客様:あれでしょう。撮影というか、測定とかをしてくれてた。Aさんの印象は、関わらなさすぎて、あんまり。石山で会ったぐらい。
A:そう、この前たまたま石山でお会いして。
M:お客様とは直接関わり少なかったかもしれないですけど、われわれの足りない分をフォローしてくれてて。
お客様:さすが、見えないところの。
A:とんでもないです。
M:Aみたいなスタッフがいないと、最初にお客様が仰ってたみたいに、「担当どうなってんの?」っていう話しになるので。そういうのをチーム力で補ってます。
O:いや~振り返ると懐かしい。ほんとに。
※後編は3月上旬に配信予定です。