古民家カフェの内装デザインのポイントは?注意点や工事費用も解説

  • 2024.8.1

  • 最終更新日:


古民家をリノベーションした古民家カフェは、自然素材を活かした温かみのある雰囲気が魅力です。レトロな外観や内装にこだわることで、ほかにはない非日常を体現できます。 古民家カフェの開業に興味があっても、内装はどんなポイントに注意すればよいのかがわからない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、古民家カフェの内装デザインの注意点やポイントについて紹介します。工事費用についても解説しているため、古民家カフェのオープンを考えている方はぜひ参考にしてください。

古民家カフェとは

昔 ながらの民家をリノベーションしたカフェのことを「古民家カフェ」と呼びます。古民家には正式な定義はありませんが、一般的に50年以上の築年数が経過している日本家屋のことを指します。 古民家カフェは、レトロな雰囲気と古民家ならではの風合いを活かした空間で、コーヒーや紅茶、スイーツなどを楽しむことがコンセプトとなります。

昭和へタイムスリップしたようなどこか懐かしさを感じさせるカフェは、非日常を求める人が何度も通いたくなる癒やしの場所といえるでしょう。

古民家カフェの内装の特徴は?

古民家を改装したカフェには、一般的な洋風のカフェにはない独特の雰囲気があります。古民家カフェの内装にはどんな特徴があるのか、以下の3点について解説します。

一般的なカフェと差別化しやすい

古民家カフェの内装の特徴は、通常のカフェと差別化しやすいことです。古民家には天然の木材が使われており、長い年月を経て、醸し出す独特の経年変化を楽しめます。 新築したカフェでもレトロモダンなカフェは作れますが、古民家が持つ独特の風情を演出することは難しいでしょう。

また、古民家が持つ昔ながらの雰囲気はそのまま残し、新たなデザインを融合しながらリノベーションすることで、さらにオリジナリティの高いカフェを作れます。レトロな味わいのある内装を施すことで、訪れる人に古き良き日本の歴史や癒やしの空間を楽しんでもらえるでしょう。

高い耐久性がある

古民家カフェは耐久性が高いところも特徴です。古民家には木材が多く使われており、自然が作り出す木は優れた耐久性を持っています。

たとえば、ヒノキは日本の木材のなかでも高い耐久性を持つのが特徴です。ヒノキで建てられた法隆寺は、1,300年経った現在でも当時の姿を見せてくれています。 コンクリートや鉄の耐久性は約100年と言われているため、ヒノキの耐久性の高さがよくわかるのではないでしょうか。

木材は、伐採してから200年ほどは強度が増していく性質があります。ヒノキは伐採後、200年経過するとおよそ30%強度が増すことがわかっています。そのため、メンテナンスを適切にすることで古民家の変わらぬ姿を維持することが可能です。 また、自然の木は伐採しても細胞は生き続けるため、表面を削るとヒノキのよい香りを感じられるでしょう。

環境に優しい

環境に優しいことも古民家カフェの特徴のひとつです。古民家は、伝統構法と呼ばれる西洋建築学の影響を受ける前の建築構法を採用しています。伝統構法は釘などの金物を使用せず、木組みのみで住居を建てる構法のことをいいます。 木材や土、ワラなどの天然素材を使って建てられた古民家は、環境に優しい建築物といえます。また、天然素材には化学物質が含まれていない点も環境に優しいといえるでしょう。

さらに、古民家をリノベーションするときには、漆喰などの自然素材を利用することで化学物質が発生しづらくなるという特徴があります。化学物質による健康被害の影響もなく、顧客の身体にも優しいカフェとなるでしょう。

古民家カフェの内装デザインのポイント

古民家カフェを軌道に乗せるには、内装デザインが成功するかどうかがポイントといえます。顧客が心地よく、何度も通いたくなるカフェにするために、内装デザインのポイントについてチェックしておくことが大切です。 快適な空間づくりと、温かみのあるデザインの2つについて詳しく解説します。古民家独特の特徴を活かした内装デザインを目指していきましょう。

快適な空間づくりにする

快適で安全な空間を作ることが古民家カフェには大切な要素です。断熱性や耐震性、空間のバランスなど、以下の4つについて詳しく解説します。

断熱性・耐震性を確保する

古民家をカフェにする場合には、断熱性と耐震性の確保が必要です。古民家が建てられた当時は、現在ほどの住宅性能基準が備わっていない場合があります。 断熱性が低いと冷暖房の効きが悪く、快適な空間にならず光熱費もかさみます。また、耐震性が低い家屋は倒壊などのリスクがあります。

内装デザインを依頼する際に、断熱性能をアップさせること、現在の耐震基準をクリアすることを、しっかりと相談することが大切です。

空間の配置と広さのバランス

古民家カフェは、空間の配置にこだわり、顧客にとって居心地のよい空間にすることが大切です。テーブルの位置やキッチンとの距離など、広さとのバランスを考えて配置しましょう。 話し声が隣のテーブルの邪魔をしない程度の距離感を保つ工夫や「また来たい」と思ってもらえるような空間づくりを心がけましょう。

市場のニーズに合わせたデザイン

顧客や市場のニーズをきちんと理解することが、古民家カフェを成功させるポイントのひとつです。顧客が好むデザインを取り入れることで、満足できる空間を作ることができます。 20〜30代の若い世代がターゲットであれば、SNS映えするフォトジェニックなカフェを作りましょう。ファミリー層であればキッズスペースを作ったり、広めの席を配置したりすることがおすすめです。

それぞれのニーズに対応したデザインにすることが、集客にもつながっていくといえるでしょう。

自然素材を活かす

古民家を改装したカフェの内装には、漆喰や無垢材などの自然素材を使いましょう。建具や床に自然素材を使用することで、温かみのあるカフェを作れます。 また、自然素材は化学物質が含まれておらず、身体に優しいというメリットがあります。環境にも優しく、温かみと心地よさを与えてくれるでしょう。

温かみのあるデザインにする

古民家カフェの特徴を活かすには、温かみのあるデザインにすることも大切です。暖色系の照明やシンプルな色使いなど、5つにわけて解説します。

暖色系照明を取り入れる

古民家カフェの内装には、暖色系の照明を取り入れるとよいでしょう。暖色系の照明は、古民家の天然木材をより温かみのある雰囲気にする効果があります。 また、照明は天井から吊すタイプのものがおすすめです。ペンダントライトで壁や床を局所的に照らすことにより、影ができて明暗を演出できます。温かみとほどよい明るさで、居心地のよいカフェを作れるでしょう。

シンプルな色使いで統一感を出す

リラックスできる環境が特徴である古民家カフェでは、シンプルな色使いの内装がおすすめです。使用する色を減らすことで統一感が出て、落ち着きと安らぎを得られます。 また、古民家の特徴である独特の建築美は、シンプルな色使いによって鮮明になります。カラフルな色味よりも、自然素材の色(黒・白・グレー・緑・青など)を使うことで、建物本来の魅力を際立たせられます。

シンプルで統一感のある色使いは、古民家カフェの魅力を最大限に引き出し、長く愛されるカフェとなっていくでしょう。

レトロな雰囲気を演出する

内装にレトロな雰囲気を演出すると、古民家カフェの魅力が引き立つためおすすめです。インテリアにアンティーク家具を置くと、古民家独特の風情をさらに魅力的に見せることができます。 また、小物などもアンティークでそろえると、統一感が出て古民家カフェに似合う雰囲気が出せるでしょう。

注意点は、アンティーク家具や小物は虫食いや汚れている場合があることです。そのまま配置すると印象が悪くなるため、きれいに手入れをした家具を選ぶことをおすすめします。

天井の棟木や垂木を見せる

天井の棟木や垂木を見せることは、古民家の歴史と美しさを表現するのに効果的な手法といえるでしょう。天井にクロスなどをあえて張らないことで、レトロ感や温もり、自然な風合いを演出できます。 照明を使用すると、さらに美しさをアップさせることが可能です。棟木や垂木にそって間接照明を設置すると、やわらかい光が木の質感を照らし、空間に温かみをもたらすでしょう。

洋風の要素を取り入れる

伝統的な和風スタイルの古民家には、洋風の要素を取り入れるのもおすすめです。和風の空間に洋風の家具などを取り入れると、伝統とモダンな雰囲気を楽しめるようになります。 伝統的な和風建築である古民家に、イギリスなどの洋風アンティーク家具を選んでみましょう。デザインが華やかすぎないものを選ぶことで、シックな和風の内装にもよく馴染み、モダンで上品な雰囲気を演出できます。

古民家カフェの内装デザインの注意点

古民家カフェは、伝統的な和風建築と自然の美しさが魅力で、顧客にやすらぎと心地よさを与えてくれる空間です。そんな古民家をカフェにリノベーションする際には、注意すべき点がいくつかあります。 以下7点について詳しく解説しますので、カフェの内装について検討する際の参考にしてください。

耐久性とメンテナンス性の確保

古民家を長持ちさせるには、適切なメンテナンスが不可欠です。建物は年月を経て劣化していくものですが、定期的にメンテナンスを行うことで耐久性が高くなります。 定期的なメンテナンスや補修のためには、地域密着で不具合があった際にすぐに対応できる業者に依頼することをおすすめします。

テナント工房では、リノベーション後のアフターサービスが充実しています。定期的なメンテナンスをすることで耐久性を維持できるため、古民家カフェの開業を考えている方はぜひテナント工房に相談してみましょう。

火気の取り扱いと安全対策

飲食店を開業する際、内装制限をふまえて準備する必要があります。内装制限とは、火災の被害を小さくし、入居者などの命を守る法律のことです。 内装制限は建築基準法と消防法の2つがあります。消防法では「消防設備の設置」と「届出書類の提出」が義務付けられており、違反すると処罰の対象となってしまうため注意が必要です。

また、古い木材を使っている古民家は耐震性や耐火性が充分ではない場合があります。必要に応じて補強するなど、きちんとした安全対策が重要です。

古民家の特性とのバランス

築年数が50年を超える古民家には、天然の木材やワラなどが使われており、温かみのある空間でリラックスできるという特徴があります。そんな古民家の特性を活かした内装にすることで、バランスがよく居心地のよい空間が演出できるでしょう。 古民家は暗くて狭いといったイメージがあるため、自然光を取り入れて明るくするのがおすすめです。大きな窓をつけたり吹き抜けにしたりなど、開放的な空間を演出してみましょう。

また、古民家と相性のよい和モダンな内装デザインにするのもおすすめです。古民家の風合いを活かしつつ現代的な要素を取り入れることで、おしゃれで統一感のあるカフェを作れます。 柱や梁を活かしながら、古民家と現代が融合するバランスのよい内装デザインを目指すとよいでしょう。

季節の変化や湿度に注意する

自然素材を使って建てられている古民家は、湿気対策と季節の変化への対応が必要です。湿気対策を怠ると、結露が発生してカビが繁殖する原因となります。結露はすぐにふき取ったり、定期的に換気をしたりなど、湿度を下げる工夫をしましょう。 また、季節の変化に対応していくことも、古民家を快適な空間にするために必要です。通気性の高い設計にすることで、夏の蒸し暑い季節でも涼しさを確保できるようになります。

寒い冬には、室内の暖かさを外に逃がさないよう、断熱性を高めることが大切です。適切な断熱材を使ったり、暖房器具などで温度を一定に保ったりするとよいでしょう。 古民家カフェの風情はそのままに、季節の変化に応じて快適性を高め心地よい空間を作ることが大切です。

ニーズや要望を明確にする

古民家カフェの内装デザインを考える際は、顧客のニーズや要望を明確にすることが重要です。ニーズを明確にすることで顧客が望む機能や雰囲気などを提供できるため、満足度を高めると共にリピーターを増やすことにもつながります。 まずはターゲット層を特定し、顧客が求めていることを理解しましょう。アンケートなどで「どのようなインテリアが好きですか?」など、具体的な質問を投げかけてみるのもひとつの方法です。

顧客のニーズをもとにコンセプトを明確にし、内装デザインの方向性を決めていきましょう。

競合との差別化が必要になる

古民家の独特な風合いが魅力の古民家カフェは、一般的なカフェとは違った雰囲気が出しやすく、差別化しやすいといえます。しかし、近くに同じような古民家カフェがある場合、明確な個性を出して差別化を図らなければなりません。 たとえば、古民家が持つ「歴史」を調査し、地域においてどのような価値があるのかを理解するのも手段のひとつです。「ここにしかない特別感」を顧客に感じてもらえるような要素を見つけ、競合との差別化を図っていくようにしましょう。

改修費用が想定よりも多くかかる可能性がある

古民家は一般的に50年以上の築年数があり経年劣化が進んでいるため、建物の補修が必要です。傷んだ梁や柱の補修や虫害対策などが必要になるため、改修費用が思っていたよりも高くなってしまうケースがあります。 また、耐震工事や断熱材などにもコストがかかります。古民家のリフォームは想定よりも改修費用がかさむため、適切な予算管理が必要です。

リフォーム業者で見積もりをしてもらい、予算に合うかどうかをきちんと把握しておきましょう。

古民家カフェ内装の工事費用

ここからは、古民家カフェの内装工事にかかる費用の相場について紹介します。内装工事費用の内訳を決めていくうえで注意するポイントについても解説しますので、費用を抑えたい方は参考にしてみてください。

内装工事費用の相場

古民家カフェの内装工事費用相場は以下のとおりです。

● 内装工事費(床補強・クロス貼りなど):200~1,200万円
● 電気・空調・換気設備工事費:50~150万円
● 給排水設備工事費:20~500万円
● 家具・建具工事費:30~500万円

これらの費用は、古民家の状態やカフェの規模、デザインの複雑さによって大きく変動します。専門家に相談して見積もりを取り、予算計画を立てることが重要です。

内装工事費用のポイント

古民家カフェの内装工事費用を抑える3つのポイントを解説します。

改装費を抑える

改装費用を抑えるには、内装デザインにこだわり過ぎないことが大切です。集客には内装デザインの重要性が高いため、とくにこだわりたい部分といえます。しかし、オリジナリティを出しすぎると予算オーバーになってしまう場合があります。 内装デザインは、業者やデザイナーに任せることが多いですが、何度も修正すると費用がかさみます。修正回数を減らすためには、事前にコンセプトを明確にしておくとよいでしょう。

また、シンプルな色を使うことで塗装費用を抑えられます。シンプルでおしゃれな内装にすると、費用を抑えながらも居心地のよい空間を目指せるでしょう。

予算を把握する

古民家カフェの内装工事費用を抑えるには、予算をきちんと把握しておく必要があります。複数の業者に見積もりをしてもらうことで相場がわかり、適切な予算を知ることが可能です。 内装工事費用は規模にもよりますが、500万円以上かかる場合が多いです。業者によって金額はさまざまで、施工内容にも違いがあります。業者の口コミなどもチェックしておき、判断材料にするのもおすすめです。

さまざまな業者に見積もり依頼をすることで価格の比較ができます。それにより、適正な費用で工事を依頼できるでしょう。

助成金・補助金を利用する

内装工事費用を抑えるには、助成金や補助金をうまく利用するという方法があります。古民家を再利用するには耐震診断が必要ですが、無料で行っている自治体が多いためぜひ利用しましょう。 また、バリアフリーに関する補助金制度や、省エネに関する補助金制度などもあります。条件や金額が異なるため、事前に自治体へ連絡し詳細を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

古民家カフェを成功させるには、ほかのカフェとの差別化が重要です。この差別化を実現するためには、古民家特有の雰囲気を活かした内装デザインが重要となります。 居心地がよく、おしゃれでオリジナリティあふれる理想的な古民家カフェを目指し、内装デザインにはこだわりを持って取り組みましょう。

テナント工房では、開業準備から店舗設計、施工、アフターサービスまで、すべてテナント工房がサポートいたします。 急なトラブルにもスピーディーに対応しますので、安心して古民家カフェを開業することが可能です。古民家カフェの内装デザインにお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。