Episode.43 Boulangerie HAMUHAMU 様(後編)


滋賀県彦根市で開業されたベーカリーショップ「Boulangerie HAMUHAMU」様。2024年11月のオープンからすでに様々なメディアでも紹介され、地域に愛されるパン屋さんとして築かれています。開業や工事中のエピソード、今後の展望を語っていただきました。前編に引き続き、後編をお届けします。
前編はこちらからご覧ください▶▶Episode42. Boulangerie HAMUHAMU 様(前編)


――良かった提案

設計S(以下S):基本、ここの建物自体が、向き的に良かったんですよ。


お客様:そうですよね。あと予算の関係もあったんかもしれないですけど、ベーカリーカウンターに古材を使っているのは味があって好きです。その時は言わなかったですけど、当初気にしていたのが、元々の建物がピカピカではなかったので、そこに新しい棚とか置いたら、その棚だけが浮くんちゃうかなって心の中では思っていました(笑)
新しいカウンターを置くことになっても、それはしゃあないかなと思ってて、そこはもう自分らで使い込んでいくしかないなとは思っていたんですが、こんな材があるってことも知らんかったし、こうやって内装にマッチするようにやってくれて、すごいなって。工事中にカウンターしか無かった時に覗きにきて、わぁすげぇなぁって2人で言っていましたね。


S:ベーカリーカウンターを搬入するときに、入口のドアのサイズを業者さんに伝えるの忘れていて、持ってきた瞬間入るかな…って一瞬焦った思い出があります。まぁ入ったから良かったですが(笑)


営業H(以下H):ちょっと小ぶりですもんね。


お客様:照明もこだわろうと思ったら、どんだけでもこだわることできますが、あんまりこだわりが強すぎるのもなと思っていました。パンが主役なので!


S:そうですね。パンがね、やっぱ目立つっていうのが大事かな。


お客様:落ち着きある内装で、ほんま雰囲気はすごく良かったと思います!最初に考えていたイメージを一旦雰囲気だけ伝えてみようって話していて、想像していたまんまのパースが出てきたから、やっぱすごいなって思って嬉しかったです。


H:そんな風にお2人で喋ってくれてはったんやと思うと、嬉しいです。


お客様:ファインプレーやったのは、イミテーションの柱の隠した部分にコンセント付けるってのは、あのコンセントすげぇ便利です!


S:最初床に挿そうかみたいな話もしてて、いやそれを隠すんやったらそこに付けようとなったんですよね。


お客様:高さも含めてめっちゃ便利ですほんとに。今自分達で、まだ一段だけですけど棚を付けました。アルコールとか置いていて、そこにあったらすぐ取れるんで。邪魔な分、有効利用したろって思ってます!もっとこうしたいなってのはあるんですけど、ほんまにもう耐えられへんてなるまでは止めとこと思っていますね(笑)


H:やりだしたら止まらないですか?


お客様:その一瞬の思い付きで、「あ、ここにあったら便利やな」って思って付けちゃうと、思っていたより不便やなってなるかもしれない。この先長いって考えたら、自分の作業的にも非効率やなって思ったら足していこうかなって今は思っています!

取材はBoulangerie HAMUHAMU様におじゃましました!
(左から設計S、営業H、お客様)


――上手くいかなかったこと

お客様:あんまり上手くいかんなぁとは考えへんようにはしていて。それはもうしゃあないと、どっちかといったら自分で道を切り開いていくタイプじゃなくて、与えられた環境で100の力を出す方が向いているタイプやと思うんです。あんまりそういう人間が上手くいかへんって言いだしたら何も進まないんで、あんまり上手くいかへんなぁとは思わんようにしています。これが自分の思っていることと違うんやったらこれをそのままどう変えようかとか、これはこれでしゃあないとして…って考えるようにはしてます。


S:なんか素敵ですね、考え方。


お客様:そりゃパンに関してはあります。思っていたより膨らまへんとかなんか思っていたより硬いとかは山ほどあります。建物でって感じでやったら別にあんまり…。あえて言うなら厨房の床をもうちょっと考えたら良かったなと思って。汚れるっていうか滑らんように結構ざらざらしてる床なんですけど。粉が詰まって。


H:あぁーそっちか…。掃除が、水を流す訳じゃないから。


お客様:そうなんです。水で流すんじゃないんで、もうちょっとツルっとした方が良かったかなとは思います。でもそれも言うてもしゃあないじゃないですか。じゃあ何で掃除したら一番綺麗にできるんかなって考えて、デッキブラシで擦ったりとか、箒みたいにデッキブラシを使ったりとかして、滑りにくいし良いよねとか。あの床の色やから多少掃除が甘くても、ぱっと見分かりにくいから良いよねっていうふうに思うようにはしています!僕短所で「気にしい」なんですよ。もっとこうしたら良かったとか、考え出すとしんどくなってくるんです。だから「しゃあないやんそれは」って自分で思うようにしないと。上手くいかない部分は受け入れて、納得いくまで改善するのか、残したまま上書きするぐらいの物を隣に作るのかとか考えていかへんと、うじうじ言っていてもしゃあないです!


H:いやでも、意識してその考え方にできるのはすごいですね。


お客様:ただ、しんどいんですよ、それこそ20代とかの頃は。でもそれこそフランス行ってた時に、タイミングがあって考え方が変わるきっかけだったかもしれないです。もうどうしようもないやんっていう。


H:それはフランスに行かれてそんな考え方になったんですか?それともフランスで色んな人がいて出会いでそう思われたんですか?


お客様:フランスに行って考え方が大分変わりました。僕末っ子でお姉ちゃんしっかりしていて、お姉ちゃんが全部やってくれるような家やったんです。自分の我儘が通用するような家庭で育ったんで、自分の思い通りならないと納得いかなくて。でもフランスに行くと、頼れる友達とか日本人の友達とかも出来たんですが、やっぱりみんな不安で自分のことに精一杯になるんで、人のこと構ってられないんです。信用はしても信頼はするなとかよく言うじゃないですか。信用・信頼とかじゃなくて、いざとなったらもう解決するのは自分。最終的に、ゴールを人に頼るっていうのは、人の感情を入れたらあかんなと思っています。なので、自分でどうすることによって生き抜くか、じゃあ自分にできることからやってこうっていうのがあります。


H:あぁなったらどうしよ、こうなったらどうしよって考えちゃいますよね。


お客様:そうなんですよ、僕めっちゃ考えるんですよ。やっぱり考えて、眠れへんくなったら疲れるだけなんです。やから来た球打つだけ、みたいな。


H:いやでもそのぐらいで思っとかな、ずっとしょぼくれているのは良くないですもんね!


お客様:何もやらずになるようになるのは良くないですけど、やることやったのなら、もう後はなるようになるだけかなとは、思っています。


S:めっちゃ良い話を聞けました。ありがとうございます。



――印象に残っているエピソード

お客様:工事中はあんまり立ち会ってはないんですが、めっちゃ暑かったなというのだけは覚えています。

H:めっちゃ暑かったですね。8月でした。


お客様:厨房屋さんの発注も8月の一番暑い時期に打ち合わせして、9月の真ん中ぐらいに納品だったので、「納品する頃には涼しくなってるわな!」って話をしていたら、9月にしてはめちゃくちゃ暑い日あって、なんかごめんな…こんな暑いと思わへんかったから…という話をしました(笑)


S:そうでしたね。搬入するのもガラス外して入るんか?それが外せるんか?みたいなのもありましたね(笑)


お客様:あと、空調の工事してくれはったお兄さんがめっちゃ良い人でした。この黒い布!


H:ドレンですね。


お客様:そうドレン!目立たないように、値段も安くするために巻いたからって。


H:業者さんもお客様が現場にいてくれたから直接喋りました!って。


お客様:そうそう。ここだけはお金ケチったらあかん所と、ここはケチっても大丈夫なとこはちゃんと相談してるから大丈夫なので!みたいな感じのことを言ってくれました。


H:めっちゃ換気の事も相談しましたね。


お客様:そうそう!この場所でやるからには愛される店を作ってほしいから、換気の向きを住宅が建っている方に向けるんじゃなくて、多少お金がかかっても道路に向かっている方が良い。「そういうことを配慮してくれている店なんやここは」というのを周りに住んでいる人達は絶対見てくれているから、そういう所は絶対ケチらしたらあかんでっていうのをSさんとも話してるからって言ってくれて。実際に工事する職人さんもそういうこと思いながら、作ってくれているんやなって思ったので心強かったです。


S:確かに換気の向きは住宅側向いたらあかんって話をしましたね。じゃあどこから向かせるかみたいな相談もしました。


お客様:折角やるんやし、周りの店・人らにも愛される店を作ってあげたいって、実際の現場で作業してる人らも思っててくれたんやなぁと思うとすごい嬉しかったですね。


S:業者さんに言っときます!


お客様:すごい気を使ってくださった。換気扇の風量とかも大丈夫か?と見てくださって、気になるんやったら、ここいじったらちょっと背高いけど直せるしって提案もしてくれました。


H:すごくいい方で、他のお客様のお店の件で相談したら、こうしといた方が良いって教えて絶対教えてくれる方なんです。



――オープン後のお客様の反応

お客様:もうお陰様でとしか言いようがないですね。この場所も結構みんな褒めて下さって暖かい雰囲気でパンに合ってるって言ってもらえます。


S:嬉しいですね。


お客様:すごい!おしゃれ!って言ってくれて、みんな写真撮ってくれます。良かった良かったって思っています!


S:この厨房と店内を繋ぐ小窓はやっぱ作って良かったですか?


お客様:窓は作って良かったですね、ちょっと恥ずかしいですけど。


S:結構覗かれはります?


お客様:結構見る人は見ますね。僕もぼーっとパン作りながら、何気なしにずっと見ちゃうんです。あ、今2人ぐらいか、パン選んではるなって見てたら一瞬フッて目が合って。まだ僕も慣れてないから、咄嗟にニコってこうやってできたら一番なんでしょうけど、パって目が合うとハッて逸らしちゃう。未だになっちゃうので直さなあかんなって思ってます(笑)


H:難しいですよね。海外の人みたいにこうキラーンみたいなんできないです!(笑)


お客様:まぁでもお店の様子とか見えるんで、すごく良いです。


S:パン作っている様子が見えるっていうのは良いですよね。


お客様:土日とか結構子ども多いんで、厨房の方の窓も子どもが外からずっと覗いています。


H:かわいい!


S:やっぱ気になりますよね、パン作っているのって。


H:普通そんなに見えることないですもんね。


S:今後はニコっとできそうですか?


お客様:頑張りますね!(笑)あとは落ち着くって言ってもらえる。ほんまに良かったのは元々の素材を活かしたこと。


S:そうですね。最初もらった時も、もうこの雰囲気があったので、これは絶対活かした方がいいなって。


H:物件も出会いですしね。


お客様:もっとやりたい事はあるっちゃあるんですけど、それはそれで追々。今は余白としてやっていこうかな。


H:まだまだこれからやっていかれるんで、色々活かせたりしますしね!


お客様:そうそう。やりたい事を優先してガンガン作って全然出来ひんかったら一番格好悪いんでね!あと、子どもがこの床を結構お気に入りなのか、最近あまりこういう床が無いからか知らんですけどみんなドンドンします!(笑)


S:ドンドンするんですか?


お客様:する。9割ぐらいの小っちゃい子どもは、みんなここでドンドン。多分響くのも楽しいんやろうし、みんなほんまにもれなくドンドンしていますね。


H:木の床ってほとんど無くなりましたしね。


お客様:あ、子ども来たってわかります(笑)



――お店のPR、今後の展望

H:すでに色んなメディアに載っていますもんね。


お客様:えー、ほんとですか!国産小麦使って1個1個丁寧に作ってはいるんで、やっぱそこは味わって欲しいかなぁと思います。1人でやってる分、なんでもかんでもは出来ない代わりに、1つ1つのことはちゃんとやろうかなと思っているので、後はコンテストで賞を取っていたり、フランス帰りだよっていうのは伝えておきます!(笑)


H:最初すごい経歴伺ってびっくりしました。


お客様:よく言われるんですよ。経歴だけ綺麗やんって(笑)


H:いやいやいや!ほんまにすごいです…


S:人気なお店なんで夕方とかでも寄ったら多分もうないんだろうなぁって思っちゃいます…


お客様:今コンビニとか行ったらパンとかいくらでも買えるし、パンなんて別にどこでも手に入るもんやからこそ、こうやって経歴積んできた人間がちゃんと作るパンっていうのは多少高くても、ちゃんと味わえる場所を地域の人らに用意しておきたいなってのは思いますね。安くパンが食べたいんやったらコンビニとかでどうぞって感じで、そこはもう勝負しても勝てないんで。勉強してきたことを、出しているので!


H:贅沢ですもんね、それを買わしてもらって食べられるっていうのは。見て楽しいです。おしゃれやしかわいいし。


S:Instagramを見ていつも見ておいしそうやなって思ってます。ストーリーズで現状をアップしていてあ、売り切れた…!って確認しています(笑)


お客様:ありがとうございます(笑)


お客様:ありがとうございます(笑) 今後の展望については、とりあえず夫婦で身体壊さんようにやっていこうかなとは思っています。変わらんことは変わらずにやって、変わらなあかんことはどんどん変えていこうっていうのは思っていますね。パンにしてもケーキにしても今、何が流行っているとか、例えばバケットやったらね、最初に粉と水を半分ずつ前日に混ぜといて、残りを当日に混ぜる工程が流行っている時期もあれば、当日に1から10までやるのが流行ったりとかあるんです。やっぱそういうのは大きいお店、会社に居たら、いろんな人がいるので待ってても情報が入って来るんですけど、1人でやってたら自分から拾いに行かへんと、自分なりの考え凝り固まってしまう。なので、いろいろな事を勉強しながらやっていきたいなと思っています。この間も大阪の講習会受けに行ってきました。


H:そうなんですね!パンの講習会があるんですか?


お客様:そうです。使っている粉の製粉会社の講習会で、有名なシェフとかが来てくれはって、それまんま真似する。その店のメインとなるような商品のレシピとかも教えてくれはって、いいんかなと思いながら聞いていました。(笑)さすがにそれを丸々うちの仕事の流れに組み込もうと思ったら異質なものになってしまうし、時間も取れないので中々難しいんですけど。やっぱりこういう考え方があるんやって頭の隅にでもあれば、なんかゴロっと変えたいなって思った時に、じゃあこの間の教わったこのやり方ちょっとこれ応用して入れてみようかとかできるので、そういう学ぶということは忘れないようにしたいです。


H:作り方とか配合で流行りがあるんですね。


お客様:そうなんです。あと、オープンする前に商工会の主催で企業セミナーみたいなのあるじゃないですか。あれ行ったときに言っていました、安定っていうのは退化と言うか後退の始まりやから挑戦して失敗する分には全然構わへんと。大失敗はしたらだめですけど、あぁその通りだなと思いました。


H:挑戦するのって労力いりますよね。


お客様:そうですね。でもちょっとずつ、常に変わろうとしてればそこまで労力は変わらないと思います。ある日突然バッて変えようと思うとやっぱ体力使いますけどね。日々、情報仕入れながら、いつまでもここの店のパンおいしいなって言われるのがやっぱり理想ですよね。もう飽きたって思われたら一番ショックなんで!


H:すごい、めっちゃ学ばせてもらった。めちゃくちゃいい考え方で…ありがとうございます。


S:イートインとかしはるんですか?


お客様:イートインは駐車場の関係で長居が難しいので、今は止めとこうと言っています。


H:確かに。常に注意喚起して下さっていますよね。駐車場ここですよって。


お客様:今はそんなに満車になることなく、大分落ち着いてきました。平日だと1日に1回ぐらい、1番混む時間の9時前に一気に来て満車になります。土日はオープン前に来たお客様がもうすでに停められていて、オープンしたと同時に来たお客様が停める場所ないってことがありますね。そうなると、お店の前の道路に停められていることがあるので、ここ停めないでください!もうちょっとしばらく待ってもらったらすぐ空くと思うんで!と言っている状態がありますね。この状況でイートインしてしまったら1~2台が回らなくなるんで、それはちょっとしんどいなと思っています。でも最初の頃に比べたら、ここ停めたらあかんとかは何度も来てくれる人やったらもう分かってくれていますね。あと、今後はマルシェでお店の外に出てっていうのもできたらなぁとは思っています!


S:ありますよね、定期的にやっているマルシェ!第何曜日にやっているとか。


お客様:そうそう、お声がけは頂くんですよ、インスタのDMとかでここでやるんで来てもらっていいですかとか。ただ、今まではそれどころじゃなかったんで、去年は全部断ったんです。1年経ったんで、2年目はちょっと近い所や、条件の緩い所に行けたらなぁと夫婦で思っています。


S:常にチェックをしときますね。


H:それやったら店のロゴのカードとかあったら絶対かわいい。


お客様:ショップカードですよね。悩んでいるんですよ。


H:絶対スマホの裏とかに挟んじゃいます!


お客様:僕らが貰わないタイプなんですよ。なので「レジ横に置いてあるけど、あれいる?」ってなって。でも結構、人にあげるときにショップカードと一緒にあげたいとかお客様に言われるんです。値段が出ないレシートを出せるんでこれなら代わりにできるんですけどって説明して、じゃあそれでって今お渡ししています。あと、インスタフォローしてくれるけど面識はないっていうお店が結構あるんですよ。ちょっと遠出した時にとりあえず、この店インスタフォローしてくれたし、ちょっと1回行ってみようとかってなってもショップカードあったら、実はお店やっているんですって渡せる。名刺だと僕の名前も載っているし、個人的な連絡先も載っているから、ショップカードやったら気軽に渡せるなって思う時もあるんです。


H:名刺よりかは気軽に渡せますよね。


お客様:作ってもいいかなって思ってはいるんです。でも作るんやったらショップカードはちゃんとしたのを作りたい。僕の名刺はCanvaで自分で作ったやつなんです。なので、デザインとかはちょっと今考え中です。あと、カバンね!


S:カバン欲しい!ほんとにかわいいです。


お客様:今後焼き菓子も考えていて、クリスマスはシュトーレンは出したいなって思っています。


H:わぁ、素敵!


お客様:シュトーレン出そうと思ったら包装の後ろの表示、期間が長くなると表示シールの貼りが必ず付けないとだめなんです。今はまだオペレーションができてないんで、自分らがどこまで出来んのかってのも手探りやから、とりあえずシュトーレンで1回やってみて、この程度の仕事量やったら2人でできるなとか見極めながら、焼き菓子できたらいいなって思っています。


S:楽しみですね!

※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2025年6月)

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