Episode.40 Brush up 様(後編)


滋賀県草津市の美容室「Brush up」様の移転に伴い、この度テナント工房にご依頼いただきました。美容室に来られるお客様へのケアだけでなく、そこで働くスタッフの働き方も見据えられてるBrush up様。前編に引き続き、後編をお届けします。
前編はこちらからご覧ください▶▶Episode39. Brush up様(前編)


――うまくいかなかったこと

お客様:前、オープンしたときは結局身内の物件で、ほとんど自分の資金とか身内の借入れっていう感じやったんで、しっかり開業っていう、いろんな外部的な人と接するってのは今回初めてやったんで。さっき言ってた物件決める順番とか、融資の実行の時間とかっていうのも、良くも悪くも口頭の説明で「こんなもんですよ」って言われて、「そんなもんでいけるんや」みたいなのでけっこう進めちゃったんで。融資とかも最初長くても2か月ぐらいみたいな感じやった。結果、実行まで2か月半とか3か月近くかかってたんで。一個一個のところも口頭の説明プラスアルファしっかりしたエビデンス的なところまで押さえていかなあかんかったんやってのは何となくありますかね。物件決めることにしても、融資にしても。


Y:確かにその辺のスケジュール感とか結構難しいですよね。


H:こっちがスピード感持ってやらないと融資も早くいかないですし、なかなか把握難しいですよね、細かなところまで。


Y:融資とかもタイミングをこっちで決める訳ではないじゃないですか。思ってたよりかかって、それで元々考えてたスケジュールからずれるっていうのは、やっぱよくあるケースにはなるんで。本来やったら僕らがもうちょっと細かく話ができたらよかったところかなって反省はしてるんですけど。けど、そのへんもお客様自身に任せっきりだったけど、実際すんなりいったっていうところあるので。


H:なかなかコントロールできない部分でもあるんで、難しいですよね。


お客様:物件が押さえる、押さえれへんとかっていうのが、やっぱ規模感の信頼度とかがあるから難しいんですけど、確かにもっと思ってる倍ぐらい時間を長期にかけて進めていってもよかったんかなみたいなのはちょっと思いましたね。でもそこは次回に対して、また勉強できるかなっていうところなので。

取材はBrush up様におじゃましました!
(左から時計回りに、お客様、営業H、設計Y)




――印象に残っているエピソード

お客様:僕の中で印象に残ってんのは、解体してから壁紙とかがあったんで、あそこをだいぶ頑張って削ってもらった。多分、夜な夜なちょっとずつみたいな感じでしてくれはったんやなって(笑)


Y:Hが「削ろう」言うてやったら全然削れへんくて(笑)最終、機械持ってる業者さんに頼んだら一瞬で削れた(笑)


H:泣きつきました(笑)


お客様:それはやっぱプロはプロや。専門の道具とかね(笑)
解体から途中経過で何回か繰り返し言ってたのは、そこの躯体の綺麗さをなんとかっていうところっていう感じで。だからだいぶしっかり削ってもらって、文字を消してもらいたくて、そこちょっとこっちも繰り返し要求してしまったけど、頑張ってくれてはったなっていう。


Y:印象に残ってるエピソードYは何かある?


H:何やろ…でも、解体した後どんなんが出てくるかがすごい不安で。Yが風呂場の部分から覗いて、案外綺麗なのが出てきそうってなって。「こういうのが出てくるかもしれないですよ」っていう写真をお客様に見てもらって、でもそれが案外「全然いいですよ」って受け止めてくれてはったから。そういうのが嫌、もっと綺麗なのがいいって言われたらどうしようもなかったけど、あれを味にとってくれはったお客様が「それは補修でもいい」みたいな感じで言ってくれはったんで、自分らもなんとかしようって踏み切れた部分もあった。そこの合意じゃないですけど、そこはすごいありがたかったなって、解体後に出てきてからより思ってて。今できる限りを補修しようっていうふうには、職人さんとYとも話したんで、そのあたり本当にありがたいなって思ってますね。


お客様:元々の物件がだいぶ古いし、そこまで綺麗にな…っていうとこもあるし。それこそ、さっきも言ったけど、何年かしてちょっと剥がれてきたりとかっていう感じもあるんで、そのときにメンテナンスで、オーナーさんの許可がおりたらちょっとホワイト塗ったりとか。多分これ塗るだけで、だいぶさらに綺麗になると思うので。


H:綺麗になります。


お客様:色味が統一されたら多分もっと洗練された感じになると思うから、今は今でちょっと無骨な感じで楽しんで。


Y:ちょっと気分を変えて。


お客様:そうですね、どっかでちょっと変えてもいいかな。順調にテナントが入れ替わって、長期的に入れればっていう話にはなるんですけど。10年ぐらいはしたいなと思ってるから、5年ぐらいたったときに、ちょっとしてもいいかなとは思いますね。



――オープン後のお客様の反応

お客様:けっこういいですよ。男性のお客さんが多いっていうのはあって、このスケルトンにしたっていうのに対して、わりかし食いついてくれるっていうか。やっぱ若い男の子は特に「こういう部屋にしたい」っていう子とかもけっこういるから。それこそ、ここをほんまに綺麗に塗装してワンルームとかでも全然かっこいいと思ったりするんで。人によっては「コンクリートを上から貼ったんですか?」みたいな人もいるから、けっこう気に入ってくれてはる。


Y:たしかに、うちの職人も「俺もこんな部屋にしようかな」言うてました(笑)結構アパートとかをこういう無骨な感じにして、住宅とかにしてる方もおられる。男は結構好きかな。


お客様:女性の人とか、好みちょっと分かれたりとか。あとはもうほんまにどっちかったら、すごい清潔感を求めてる人とかやったら、むき出しっていうのはあんまりかもしんないですけど、うちは男性のお客さんが多いし、女性のお客さんでもどっちかったら結構メンズっぽい髪型するっていうか、メンズっぽい個性を持った女性のお客さんがほとんどなんで、そういう人はやっぱりけっこう好まれますね。


H:そこはいいですね。


お客様:ずっとファッション的に短髪にしてる人とか、好みもどっちかったらメンズっぽい服装する女性もいるんで、そういう人でもやっぱ気に入ってはくれてはるんで。それもあるからこそ、さっき言ったように何年か経って、デザイン突き詰められるんやったらね、もっと塗装してみたりとか、このドアとかも、もっとステンレスっぽい感じのドアに変えたりとかすると、さらにかっこよくなってくるかなと思って。だからここをブラッシュアップしていってもいいし、そんなタイミングでスタッフとかが増えてたりすると、新しいところで、ここではできひんかったことをさらにしてみるとか。あと、広さ。前のこじんまりした感じが好きとか、いたかもしれないんで、そこに関しては良くも悪くもなんかもしんないですけど、、やっぱだいぶ抜いたんで、広さ、開放感もでたっていうのはけっこうある。


H:ここ座っただけでも全体が明るいし。


Y:元々、LDKと和室とって感じの部屋やったもんな。


お客様:サロンやったら、ふつう4席ぐらい入れるような広さやと思うんで。


Y:確かに。だいぶゆったりしてる感じ。


H:贅沢ですよね、ほんまに。個室もあるし。



――お店のPRと今後の展望

お客様:PRっていうと、うちの店の良いところってとこですよね。うちの店はとりあえずゆったりしてるんで、あんま普通の店にはないタイプの店かな。多分、比較的時間とかもかけるタイプやし、わりかし融通は利くほうの店かなと思ってるんで。これは経営者としては良くも悪くも、あんまり利益を考えてない店なので。


Y:なんか、切って、次切って、次、って感じじゃないですね。けっこうゆったり。


お客様:そうですね、ゆったり。お客さんが「気になる」って言ったら気になるところまでやりますし、よっぽどあれやって言わはるんやったら別に後日で来てもらったらしますっていう感じですし。お店感強くてガツガツしてるところが得意じゃない人とかもラフに。楽しくおしゃべりして、「あそこに行くとすごい楽しい気分になる」みたいなタイプのお店ではないんかもしんないんですけど、なんか行ってしまったら本当に気つかわずボーっとして帰れるみたいな感じの雰囲気ではあるんで。けっこうラフに来れるところなので、そういう人にはオススメできるのかなっていうのはありますね。


H:ワッシャワシャしてるところもありますもんね。せかせか、次々、みたいなね。落ち着きたいですもんね。


Y:前の店舗もね、キッチンにお酒が並んでて。


お客様:そうそう、そんな感じですね。


Y:僕、最初入ったときに、美容室しながらバーもしてはるんかな?みたいな空気感やって。なんかゆっくり、あんま美容室って感じしいひんなと思って。


お客様:THEお店ってあんまり感じないようにしたいなっていうのがあるんで。基本こっちから何かを強く勧めることもしないですし。それこそ、最終的にはもう少ししっかりテーブルを置いてなんか増やすつもりですけど。コーヒーサーバーとかもこっちに持ってきて、早めにきてコーヒー飲みながら仕事して待っとくとか、ちょっと早めに来て空いてる時間勉強して髪切って帰ってくとか、そういうふうなかんじで使ってもらったらいいんかなと思ってるんで。


今後の展望としては…そのスタンスは崩したくないんですけど、ゆっくり広げていきたいっていうところはあるんで。今も一人若い子が面談で「来たい」って言ってる子はいるんで、入れていけたらいいなとは思ってるんですけど。このラフな雰囲気は持ちつつ、どっちかっていうとお客さんもあるんですけど、これから増えてく従業員の働き方を、同じような感じで自由に働けるお店をつくっていきたいなっていうのがあるんで。


そのためにも、規模感をもうワンステップは上げたいなって。5年以内ぐらい、3年、5年目安で次のところに行きたいなっていうのはあるのと。一番は、美容室に来る時間っていうのを、髪切りに来るだけじゃなくて、うまく説明できないんですけど、「良い時間を過ごしに来た」って思ってもらえるような店をしたいんで、そのためにも貰うお金以上のものを感じて帰ってもらいたいっていうのもありたい。マッサージとかもそうですけどね、髪を切りに来たついでに、「なんか良い時間を過ごしたな」って感じれるようなサービスとかを増やしていきたいっていうのはありますね。


H:髪切れただけでも、すごい良い時間ですよ。


お客様:自分が結婚したっていうのがおっきいかもしんないんですけど、自由に使える時間が減ったときに、髪切りにくるって1~2か月に1回、絶対に発生する強制イベントやから、そこって後ろめたさなく家を出れる時間やから、そこのついでにもうひと遊びとか、もうひとアクションっていうのがあると、ただ髪を切るっていうんじゃなくて、月に1回なんか楽しみを持ってもらえるっていうような関係性をお客さんと築きたいなと思ってるんで、そのためにリラクゼーションとか入れていったりとかもあるんですけど。今後も何か、そういう何かは考えたいなと思いますね。


Y:素敵ですね、めっちゃ。


お客様:うちもお客さんがいてくれるから自分が美容師できてるっていうのがまず第一なんで。やっぱ来てくれないと美容師できないんで、スタッフともお客さんとも良い関係をとりあえず続けたいなっていうのがありますかね。あんまこうギラギラしないんで申し訳ないです(笑)

※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2025年3月)