Episode.39 Brush up 様(前編)


滋賀県草津市の美容室「Brush up」様の移転に伴い、この度テナント工房にご依頼いただきました。美容室に来られるお客様へのケアだけでなく、そこで働くスタッフの働き方も見据えられてるBrush up様。移転のキッカケやテナント工房に決めてくださった理由や担当の印象などを詳しく伺いました。


――移転のきっかけ

お客様:前の場所が限られた空間やったんで、ちょっとおっきい空間を作りたいっていうのと、もう少し規模感も大きくしていきたいところもあって。いろんな面でスタッフとお客さんに対しての選択肢を広げたいっていうので、大きくしていったところかなぁ。これからも大きくしたいなと思いますし。


営業H(以下H)広々なりましたもんね。シャンプー台も増えましたし。


設計Y(以下Y):前の店舗さんはエステルームとかなかったですよね。


お客様:そうですね。前は、完全にカットチェアで美容室っていう感じやったんで、エステにしても何にしてもですけど、どうしても空間が限られると選択肢がかなり限られるんで。


H:個室あれば、なんとか使えますもんね。


お客様:そうですね。結構、今都会のほうとかやったらだいぶ個室化してきてるところも多いとは思うんですけど。カットルームとしてもやっぱ個室があるって、人目気にならへんかったり、子どもさん切りやすかったりっていうのもあるので。だいぶ選択肢はこれから広がっていけるのかなとは。


Y:元々エステルームとかを入れようっていうのは決まってはったんですか。開業を検討されてるときから。


お客様:そうですね。美容室の幅というか、完全に美容室ってやることが固定化されてしまってるんで。正直うまくいくか全然分からないですし、やらない可能性もあるんですけど、何かやってみないと先が難しいかなっていうのはなんとなく感じてたんで。実際エステじゃなくてもいいですしね。別の何かをするときにやっぱ共有のスペースとちょっと分離してるところがあるとやりやすいかなっていうので。

取材はBrush up様におじゃましました!
(左から営業H、設計Y、お客様)


――問い合わせのきっかけとテナント工房に決めた理由

お客様:僕が多分最初問い合わせたの、ネットの総合サイトみたいなところで申し込みさせてもらって、連絡いただいてっていう感じですね。そこで多分3社ぐらいと、最初に見てたところ1社あったっていうところで。決めた理由としては、1個は元々お客さんでYさんが来てくれてた。どうせやったら、やっぱ繋がりある人に任せてみたいっていうのもあったのと、結構打ち合わせとかで正直提案をかなりしてもらったっていうのがありますし、やってみたい、作ってみたいって言ってくれはったのもあったんで、せっかくやったらその仕事したいと思ってくれてる人に任せてみたいなっていうのが率直なところですね。


Y:僕もやりたいなっていうのがあって。お客様が覚えてはるかは分かんないですけど、僕がこの会社に入社した1か月、2か月目ぐらいに初めて美容室行かせてもらって。そのときに、全然設計とかを1人で携わったことがない状態やって、美容室の案件とかがちらほらさせてもらってるときに、初心者なりに結構転々といろんな美容室行ってて。お客様に「照明とかってここにあってどうなんですかね?」とか「上にあったときの影とか、サイドシャンプーとバックシャンプーって何が違うんですか?」みたいな話を僕がお客さんの立場の時にいろいろ質問させてもらってたんですよね。僕も結構その日にパって「あ、切りたい」ってなるタイプなんで、当日に予約がなかなか取れないお店だから、今でもたまたま空いてたら行かせてもらうこともあるんですけど。で、3年越しぐらいに問い合わせもらって「おっ」と思って。「あれ?なんか見たことある名前やな、絶対そうやな」と思って会って、「ちょっと楽しみやな」と思ったのが僕もありますね。


H:聞いたときびっくりしました。「行ったことある」って。「夜遅くまで開いてて」って言うて。


お客様:うちもそうですし、テナント工房さん以外でも、実際お客さんとかでもそうですけど、何か関わりがある人とかでせっかくやったらっていう気持ちは基本的にあります。やっぱデザインはパースで作ってくれはって、あそこまで資料とかもしっかり作ってくれはったのは、多分一番しっかりしたのを作ってくれてはったんで。せっかくやったら地元の企業、滋賀県の会社にっていう気持ちもやっぱありました。


Y:ほか3社が大阪とか京都とかでしたもんね。


お客様:そうですね。


H:私らは近いですし!ってアピールさせてもらいました(笑)


お客様:あとは、やっぱ滋賀の会社、なかなか僕ら受け手に対して情報をおっきく提示してるっていうところ意外に少ない。特にテナントとかに関しては。だからその中でも多分テナント工房さんは施工事例とかもそうやし、僕らが判断する材料が比較的多く用意してくれてはったっていうのは、決めやすいところやったかもしんないですね。


Y:確かに。滋賀に少ないですもんね、店舗の会社さんとか。


お客様:どうしても都会に比べたら、テナント数もやっぱまだまだ少ないですし。でも、特に草津とか守山とか、多分この先お店が増えてくるエリアかなと思ってるんで。


H:人気なエリアですしね。



――開業まで不安だったこと

お客様:うちに関してはかなり特殊なとこなんですけど、物件の状態というか。若干入るときの情報と違うこともちらほらっていうところが、かなり不安やったとこ。僕も物件決めてから施工会社を探したんで、確かにその物件の状態とか条件とか電力とか、そういうのは全く見てなくて。実際、それを知らずにもう物件決めてお願いしてる感じやったんで、後々やっぱ「あ、これ触れへんのか」とかっていうことは確かにあったんで。そこは自分の知識不足ですけど、ちょっと不安やったとこはあるかもしんないですね。


Y:結構、物件決まってる状態のお客さんのほうが少ないもんな。


H:少ないですね。


Y:「ここや」って決めはった理由とかあるんすか?


お客様:うちは一応3年ぐらいずっと探してたんですけど、とりあえずもう家賃が予算以下っていう。基本的に僕は、スタッフを無理な引き止めとかもしないし、独立したいってなったら逆に応援したいんで、いつでも見送れる状態。やからこそ、最悪一人でもやっていけるっていうようなとこを探してたんですよ。その中で、元々開業した場所がちょっと、たまたまいい場所に身内がおってくれたっていうのもあって、このエリアの近くで駐車場確保できて、理想の家賃でってなったら、そんな物件なかったっていうのが正直なところ。


H:なかなか出てこないです、草津でこの規模は。今、人気ですしね。


お客様:今回かなり特殊やったけども、予算内家賃で初めて見たんで、もういってしまうかっていう感じ。でもそこは僕も勉強になったというか、次はやっぱある程度ね…。


H:難しいですよね、設備とか電気系統とか判断してって…。


お客様:昔ここの下の今マツエクサロンが入ってるところ、ここも応募とかしてたんですけど、やっぱもう問い合わせたときにはほぼ埋まってたりとかで。物件探して、計画練ってしてると、やっぱもう埋まってしまうってイメージがあったんで。やっぱ開業される方って、前々から最初の施工会社を決めてから物件は長期的に探してくって人が多い?


Y:っていうよりは、「この物件考えてんねんけど、一回見てくれへん?」みたいな感じが多いですね。で、計画させてもらって、お見積もり出させてもらって、そのお見積りベースでこの物件にされるかどうかっていう検討をされる形になるんで。お客様が不安になられてたリスクみたいなんは、そっちのほうが減るのかなってところなんですけど、やっぱその分時間かかっちゃうんで…。いざ工事ってなったときに「物件取られました」って、そういうのとかいろいろあるんで。どっちがいいかとか、ちょっと難しいところかなっていう。


H:あとは不動産さんによりますよね。待ってくれる人と。


お客様:人気のエリアやったら、仮押さえみたいなんがね。借りる側の母体がおっきいと逆に待ってくれるんかもしんないんですけど、なかなか僕みたいに個人とかやったら、一個人のために2か月3か月置いときますって言ってくれるオーナーさんは少ないかなっていうのもあったんで。そこは勉強になったんで、次もう一回ぐらいは移りたいというか、開けたいと思ってるんで、そのときはちょっと順番しっかりしようかなとは思ってます。


H:不動産のつながりもね、弊社は不動産の部署もあるんで、それでちょっと探しといてもらって出てきたタイミングとかではありますね。


Y:ほか、不安やったところあります?どんな躯体が出てくるのか、壁紙とか…。


お客様:そうですね、もう開けてみないとっていう感じやったんで…。


H:なかなか違う感じが出てきましたね。


Y:元々次のテナントさんはこんな感じで、スケルトンのイメージにされたかったんですか?


お客様:そうですね。スケルトンは単純に、男やったら憧れみたいなところあるんで、してみたいなと思いますし。やっぱ結構スケルトンのこの感じが気に入ってるんで、次とかもきれいなとこが出るんやったら、こういうスケルトン系とかでまた、もっと作りたいなと思いますし。


Y:物件先に借りられて、実際どういう状況か分からへんっていうので開けてみて、結構綺麗なん出てきたんで、強運やなと思います。なかなか、運がないと(笑)


お客様:どうなんですか。やばいとこは、ほんまのやばいってこと?


Y:そもそも、その建物が鉄骨造か、今回はそこまでは分かっておられたと思うんですけど、それで見え方も全然変わってきますし。


H:違いますね。


Y:やっぱ場所によると全然違うところとかがあったりするんで。正直僕らもどこまで綺麗なんが出てくるかっていうのは開けてみないと分からんところもあったんで、実際そこはちょっと僕らも不安には思ってたとこ。


お客様:やっぱ味もありますし。それこそこれでまた何年か長期的に入るってなったら、ちょっとさらにメンテナンスとか入れてもいいかなと思いますけど。


H:クリア塗装してもだいぶまた雰囲気変わると思いますね。


お客様:そうですね。クリアとか、それこそグレージュとかホワイトとか塗っても一気にイメージ変わるやろうし。オーナーさんも5年とか付き合いさしてもらったら、多分そのへんも全然いいって言ってくれそうな気はしてるんで。実績さえできれば。



――担当の印象

お客様:Yさんとはお会いしたことがあったんで…。


H:美容室のお客さんとして来るYと、設計士として来るYの印象、一緒やったんですか?


お客様:人の雰囲気としては、そんなに僕は変わらないかなっていうイメージですね。


Y:なんか恥ずかしい(笑)


お客様:そうですね、一緒。あとは、他の工務店さんとかが、どっちかいったら僕より年上の担当さんが多かったんで、その点でいうと若々しいイメージは最初、打ち合わせの中ではありましたね。はっきり実年齢とか把握しきってないんですけど、だからその中でどっちかっていったら「頑張ってみてほしいな」っていうのはあったんで。さっき言ったところでいうと、それも一つ決めたきっかけというか。ベテランの人に任せて安心感あるっていうのも良いですけど、少なからず僕の店作る経験が、地元の活躍してる人の経験値になってくれたらいいなっていうのもあったんで。ちょっと頑張ってみてほしいな、みたいな気持ちは思ったのはありましたかね。


H:ありがたいですね。「若くて不安」って言われたこともあったんで…。


お客様:基本的に、悪い意味じゃないんですけど、Hさんとかもちょっと危なっかしいイメージが…(笑)


H:すいません(笑)


Y:出てますもんね、オーラが。


H:申し訳ないです!(笑)


お客様:僕もそんなきっちりしてるタイプでもないですし、実際僕もその中でいろんな人にお世話になってなんとかここまでやってきた人間なんで。ちょっといろいろ要求してしまったところもあったとは思うんですけど、すごい頑張ってはるなってイメージがあったんで、せっかくやったらここで頑張ってみてほしいなっていうのは、なんとなく大変なことは多いやろうなと思って。


Y:Hのお客様への印象はどう?


H:お客様が忙しそうな感じやからこっちも早く答えを出さなあかんって逆に焦っていたけど、でもお客様の方が全然そんなことなくて。ちゃんとゆっくり私たちのことを見てくれはるし、Yが提案した内容をしっかり受け止めて、頭で想像して、どういうふうにそれが自分の店として活きるかなっていうところもちゃんと考えて受け止めてくださってたのが、毎回の打ち合わせであって。私たちもそれに答えなあかんなっていうのもあったんですけど、やっぱりその他社さんのデザインとかも気に入ってはった印象すごいあって。Yもずっと言ってたんですけど、「私たちが本当にやりたいっていう気持ちをぶつけなあかんな」みたいな話はしてたんで。今、お話を伺って、そこまでくみ取ってくださってたんやなって。大人すぎるなっていう…。


Y:落ち着き感めっちゃありますね。


お客様:僕はけっこう要求として、だいぶルーズな要求言ってしまってたんで、ちょっと申し訳ないなっていうのは思ってましたけど。


Y:いやいや、全然、順調に進みました。僕も切ってもらってるスタイリストさんっていうイメージからやったんですけど、切ってもらってるときと同じ感じの落ち着きと、あんまりテンパったりとかないなって。割と開業ってめっちゃ忙しくてオープンに近づくにつれて、けっこうお客さん自身も焦ってくる人とか、それが表情とか言葉に出る人も多いんですけど、そういうのも感じられなかったんで。だから僕も「大人の人やな」って(笑)


お客様:基本はそうですね。僕はあんまり深く考えすぎてないとこもあるんで、何とかなるやろう、最悪間に合わへんかったら遅らせばええやんみたいなとこもあったんで。


Y:その辺の余裕はめっちゃ感じました。



――良かった提案

お客様:一番デザインのとこに戻るけど、とりあえずコンクリート出したいって言った中で、基本的に出してみようってやっぱ強めに言ってくれはったんが最後検討してた2社だったんで、それで2社までに絞るところにはなった。最後は解体の費用のところでテナント工房さんが「なんとかします」って、やっぱ言い切ってくれたところで踏み切りがついたんで。自分が一番デザインの主体としてやりたいところっていうのをくみ取ってもらって、そこをある程度のラインまで仕上げますって言ってもらったのは、一番おっきかったです。

※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2025年3月)

※後編は6月下旬に配信予定です。