店舗デザインにかかる費用を徹底解説!費用を抑えるポイントも

  • 2023.4.10

  • 最終更新日:

店舗の開業や改装時には、店舗設計や導入する設備などに悩むこともあるでしょう。お客様はもちろん、そこで働く従業員にとっても居心地のよい空間をつくるために必要な店舗デザインですが、店舗デザインにあたっては費用が発生します。

今回は、店舗デザインにかかる費用の内訳や、業種別の費用相場をご紹介します。店舗デザインにかかる費用は、工夫次第で節約できる可能性もあります。費用を抑えるポイントも見ていきましょう。

費用内訳は大きく分けて2つ

店舗デザインにかかる費用の内訳は、設計費用と施工費用の2つに大きく分けられます。ただし、これら以外に思わぬ費用がかかることもあります。費用の内訳の詳細や目安金額を見ていきましょう。

設計費用

設計費用とは、店舗のオーナーなどの依頼主と、設計士が打ち合わせをして、図面やパース画を作成するときにかかる費用を指します。

店舗デザインにおいては、店舗のコンセプトや希望のお店のイメージを図面化する作業が必要です。店舗全体のつくりや広さ、ターゲット層、店舗の強み、従業員やお客様の動線などを踏まえたうえで、設計します。

設計費用は、坪単価から計算する方法や、全体の工事費における割合から計算する方法があります。設計のみを行う会社と、ひとつの会社で設計から施工まで行う会社とがあるため、費用の設定方法に違いが見られます。

坪単価から計算する場合は、坪数×単価で算出します。1坪あたりの設計費用の平均単価は、3万~10万円程度です。面積が大きいほど設計費用は高くなりますが、小さな店舗の場合は最小費用を設定しているなど、別の料金体系が適用されることもあります。

全体の工事費における割合から設計費用を計算する場合、一般的に総施工費の10~15%程度に設定します。設計から施工まで行う会社では、この計算方法が採用されることが多いでしょう。

また、設計してもらった図面に納得いかない場合は修正依頼を行いますが、基本的に修正や変更を繰り返すほど、設計費用はかさみます。

施工費用

図面をもとに施工する際にかかる費用のことです。施工費用に含まれるものには、建築工事費と設備工事費があります。

建築工事費には、壁紙・床の貼り替えや塗装などの内装仕上げ、建具やガラスの工事、造り付け家具の作成などにかかる費用が含まれます。設備工事費とは、電気・ガス・水道の工事、防災工事、空調工事などにかかる費用です。

施工費用は、物件の状態によって大きく変わってきます。前の借主が使っていた設備が残っている居抜き物件であれば、200万~400万円程度の施工費用となるのが一般的です。

居抜き物件は、空調や厨房機器などの設備が整っており、必要なものをプラスする工事や、不要なものを撤去する工事で済ませられるため、施工費用が抑えられる傾向にあります。

内装や設備を撤去した状態のスケルトン物件は、居抜き物件の約5倍の施工費用がかかるといわれています。内外装はもちろん、電気工事やガス工事なども行う必要があるため、費用がかさむ傾向にあります。

店舗設計の依頼方法や業者選びのコツなどは、こちらの記事も参考にしてください。

その他にも空家賃など

契約のタイミングによっては、空家賃が発生して費用負担が増えることもあります。契約と店舗を使用するタイミングがほぼ同じであれば負担を減らせますが、気に入った物件を押さえておくために早く契約を済ませて、空家賃を支払うケースもあるでしょう。

また、思わぬ追加工事費用や、居抜き物件において既存の設備や内装を利用するための造作譲渡料が発生することもあるため、注意が必要です。

店舗デザインの費用相場

業種によって導入する設備や内装の特徴が変わってくるため、店舗デザインの費用相場が異なります。それぞれの業種別に金額の目安を見ていきましょう。

カフェ・レストランなど飲食店

カフェやレストランの場合、1坪あたり27万~35万円程度の内装工事費がかかります。さらに、電気・水道・ガスの工事に170万~280万円程度、空調工事に80万~120万円程度必要です。

また、20~30坪ほどの広さの飲食店の場合、設計費用は120万~180万円程度が相場です。以上を合計すると、スケルトン物件の飲食店の場合、900万~1650万円程度の費用相場となります。

アパレル店舗

アパレル店舗の場合、水まわり設備などが必要な飲食店などと比べると、店舗デザインにかかる費用相場は低めです。

内装工事費は、1坪あたり10万~40万円程度が目安で、既存の設備を活かすなら、安く抑えられます。設計費用は30万~50万円程度が相場です。

美容室・理容室

20坪程度の美容室や理容室であれば、内装工事費の目安は1坪あたり30万~40万円です。さらに、内装工事費とは別に、シャンプー用やセット用の椅子、シャンプーボウル、パーマ器具などの美容機器も購入する必要があります。

設計費用は30万~60万円程度が目安です。20坪程度の美容室や、理容室を開業する場合にかかる店舗デザインの相場は、400万~600万円前後を目安に考えるとよいでしょう。

エステティックサロン

水まわり設備や、大型の専用設備などが必要な飲食店や美容室などと比較すると、費用を抑えられる傾向にあります。ただ、エステに使用する施術台は用意する必要があります。

設計費用は30万~60万円程度が目安です。また、20坪程度のエステティックサロンにおける内装工事費は、1坪あたり15万~35万円を目安に考えましょう。

病院・クリニック

診療科目や規模などによって前後しますが、内装工事費は、1坪あたり30万~80万円程度が目安となります。

レントゲン室などの特別な設備を導入すると、坪単価も高くなりがちです。設計費用は、内装工事費の1~2割程度が目安といわれています。

費用を抑えるポイント

店舗の開業時にはいろいろとお金がかかるため、少しでも費用を抑えられないかと悩むことも多いのではないでしょうか。こちらでは、店舗デザインの費用を抑える方法を4つご紹介します。

居抜き物件

居抜き物件とは、前の借主が使用していた厨房や空調などの設備、什器、内装などが残ったままの物件を指します。

本来であれば、借主は物件を返す際に入居時の状態に戻す「原状回復義務」が発生しますが、貸主の承諾が得られれば、内装や設備を残した状態で引き渡すことが可能です。

居抜き物件は、ある程度設備が残っていることから、改装費や設備費の節約につながり、内装工事費を抑えることができます。工期も短くなるため、スピーディーな開業も期待できるでしょう。

ただし残った設備が自分の店舗では使えない可能性がある点や、前のテナントのイメージが残ってしまう点、内装やレイアウトの自由度が低い点などには注意が必要です。

居抜き物件のなかには、残された内装や設備などを利用するために、造作譲渡料を求められるケースもあります。このように居抜き物件にはデメリットもありますが、上手に活用することで費用を抑えることができます。

相見積もり

1社からの見積りを見ただけでは、条件のよさや価格の相場感が分からないこともあるでしょう。複数の会社から見積もりを出してもらい、価格や条件を比較することで、より費用を抑えて店舗デザインを行うことができます。

会社によって、これまでにどのような業種や規模のデザインを手掛けてきたのかが異なり、得意分野も変わってきます。そのため、同じ内装工事でも見積り金額に違いが出ることもあるのです。

また、相見積もりをとることで競合環境をつくり出すと、価格交渉しやすい状況になるため、費用を抑える効果が期待できます。見積りだけなら無料というケースも多いため、気になる会社に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。

見積りをもらう際は、相見積もりであることを相手方に伝えるのがマナーとされています。また、分かりやすく比較するために、同じ条件を伝えることもポイントです。

助成金や補助金

店舗の開業や改装をする際、国や自治体による助成金制度や補助金制度を利用できることがあります。補助金を受給するためには、審査に通る必要があります。いっぽうで助成金は、申請条件を満たすことで受給が可能です。

補助金や助成金は、基本的に返済義務がありません。そのため、上手に活用することで店舗デザインにかかる費用を節約できます。

補助金や助成金を利用する際には、申請から受給までに時間がかかります。また、申請期間が短い制度や、申請期限が設けられている制度もあるため、公式HPなどで最新情報をチェックして、計画的な準備が必要です。

ただし、助成金や補助金を前提にした資金計画は、リスクがあります。助成金や補助金は創設や廃止が頻繁であり、必ずしも必要なときに制度があるとは限りません。この点を踏まえたうえで、助成金や補助金を上手に活用しましょう。

内装使用素材の再検討

内装に使用する素材に、質のよいものや高級感のあるデザインを採用すると、費用もかかりがちになります。

目につきやすい場所やお客様が触れる箇所の使用素材にこだわり、目につきにくい箇所の使用素材は費用を抑えたもので再検討するなど、メリハリをつけることで、費用の節約につながります。

什器や機器に中古品を活用するのもひとつの方法です。価格を抑えつつ、必要な設備を整えられます。また、DIYを取り入れる方法もあります。

内装は店舗の印象を決定づける要素であるため、なるべく店舗のイメージから外れない程度に素材を検討することもポイントです。費用ばかりを気にしてイメージとかけ離れないように注意しつつ、使用素材や設備の再検討をしてみましょう。

まとめ

店舗デザインにかかる費用は、設計費用と施工費用の2つに分けられます。設計費用は、店舗のコンセプトやお店のイメージを図面化し、店舗のつくりや動線を考慮してレイアウトを作成する際にかかる費用で、坪単価や全体の工事費における割合からの計算が一般的です。

施工費用は、図面をもとに施工する際にかかる費用のことで、建築工事費や設備工事費が含まれます。居抜き物件かスケルトン物件かなど、物件の状態でも費用に差が生じます。

居抜き物件の活用や使用素材の再検討、助成金や補助金の利用、さらには複数社に相見積もりをとることで、店舗デザインにかかる費用を抑えることも可能です。