オフィスをスケルトン天井にするメリットは?デメリットもあわせて解説

カフェやBar、レストランなどで開放的な雰囲気が魅力の スケルトン天井ですが、最近ではオフィス空間を快適にしたい企業からも注目されています。

もともと倉庫やガレージ、写真スタジオに多く使われてきたスケルトン天井ですが、オフィスに取り入れる際にはメリットとデメリットの両面をしっかりと理解しておきましょう。


スケルトン天井とは

スケルトン天井とは意図的に配管などがむき出しの状態になっている天井をいいます。
倉庫やガレージを改造した店舗や、カフェやレストランなどで見たことがあるかもしれません。

スケルトン天井は一般的な住宅の天井のように平らな内装を施していないため、天井高を高く取れる点が特徴です。

もともとは天井高が必要な写真スタジオなどで使われてきましたが、おしゃれな雰囲気から、最近ではデザインにこだわりたいオフィスにも選ばれることがあります。

近頃は新築でもスケルトン天井の物件があるほどですが、既存のオフィスの天井をスケルトン天井に改装する場合に知っておきたいのが、オフィスの天井をスケルトン天井にするメリットとデメリットです。

おしゃれなだけではないスケルトン天井について、まずは理解してから自社オフィスにはスケルトン天井をどう取り入れることができるのかを検討する必要があります。


オフィスをスケルトン天井にするメリット

スケルトン天井にすると、一般的な天井より高い位置に天井がある状態 となります。普段の生活では意識することの少ない天井の高さですが、実はさまざまなメリットがあるのです。

社員の業務パフォーマンスの向上につながる

「カテドラル効果」をご存じでしょうか。カテドラル効果とは、高い天井の空間にいるとき、人は創造的な思考が活性化され、低い天井の空間にいるときには細部に目がいくようになる効果のことです。

「天井の高い空間ではクリエイティブになる」といわれるのは、オフィスの床面積が変わらなくても天井が高く離れていることで心理的な開放感を感じるからと考えられます。

オフィスを見渡したとき、目に入る面積が最も大きいのは天井です。視覚的に多くの面積を占める天井が物理的に遠いことで、圧迫感がなくなり、のびのびとした空間と感じられます。

社員一人ひとりの思考が変わると、業務効率化、生産性向上にもつながるでしょう。

おしゃれな空間に仕上げられる

スケルトン天井はデザイン性の高さから選ばれる方が多く、メリットの一つでもあります。

一日の多くを過ごすオフィスが洗練された空間であれば、従業員はよい気分で出社できるのではないでしょうか。

また、むき出しの配管や電気設備に塗装を施す、天井そのものの質感と統一するなどの手を加えれば、空間全体がスタイリッシュでデザイン性の高い空間になるでしょう。

最近ではスタジオやカフェ、レストランなどで採用されているため、オフィスを洗練された空間に仕上げたいというニーズに対するスケルトン天井の採用も高まっています。

デザイン性のよさを来客にアピールできる

スケルトン天井のオフィスは、来客に対して自然に「デザイン性の高い企業である」といったアピールができます。とくにクリエイティブな仕事であるデザイナーやWeb制作会社などは、デザインの良し悪しが企業活動に直接影響するでしょう。

こうしたデザイン性が重視される業種の場合、オフィスそのものからセンスの良さを感じてもらうことでも顧客の信頼につながります。スケルトン天井は会社の魅力を伝えるためのツールにもなり得るのです。

クライアントがオフィスを訪れるたびに、コンセプトやデザインをオフィスの空間をとおして体感してもらえるでしょう。


オフィスをスケルトン天井にするデメリット

スケルトン天井には、デザイン性の高さやスタッフの業務効率のアップなどのメリットがある反面、スケルトン天井ならではのデメリットもあります。

別途工事費用が発生する

スケルトン天井にするためには解体工事と本工事が必要です。

既存の天井を改装する場合の多くは、一般的なオフィスにある平らな天井を抜いてスケルトン天井にします。

しかし「天井を抜く」という工事でも、単純に天井の内装を取り払うだけではありません。天井裏には、電気・LANケーブル・電話線・光ファイバーなど様々な配線が張り巡らされ、自社オフィスだけでなくビルの同フロア全体に関わる配線もあります。また水道や空調の配管も敷かれているため、それぞれに注意しながら解体する必要があるのです。

解体工事が無事に終われば本工事に入りますが、本工事の場合にもビルの躯体(くたい)やコンクリートの劣化状況により、補強や補正などさまざまな追加工事が必要となることもあります。

効率的だった空調が低下する恐れがある

一般的な天井には断熱効果もあり、空調効率も考慮して設計されています。しかしその天井をスケルトン天井に変更する場合、どうしても空調効率の低下は避けられません。

たとえば、暖房の場合は天井が高いと温かい空気が天井付近に溜まってしまうため、暖かさを感じづらくなります。そのため、暖房の温度設定を高く設定する、モードを変更するなどの対応が必要となります。冷房の場合でも、スケルトン天井は外気の影響を受けやすいため調整が必要です。

スケルトン天井は空調もセットで考慮しないと「夏暑くて冬寒い」オフィスとなってしまいます。

元の天井に原状回復する必要がある

賃貸のオフィスで 既存の天井をスケルトン天井に変更した場合には、退去時に原状復帰を求められます。

事業の成長とともに従業員の人数が増えると、オフィスを移転することもあるでしょう。
退去の際、次の契約者がスケルトン天井のままで入居を希望するケースを除き、基本的に原状回復の義務があります。

そのため入居後にスケルトン天井に改装した後にオフィスを移転する場合は、移転費用や新入居先のリフォーム代に加えて旧事務所の原状回復のための費用も必要になります。

暗さを感じることがある

スケルトン天井は天井高が高いために、通常の照明だと手元が暗くなることがあります。

これは天井が高くなることで手元までの距離が遠くなり、照明器具の明かりが届きづらくなるためです。

対処法としてはペンダントライトなどを使って照明を低い位置に設置したり、照度が高くより明るい照明を使用したりすることで軽減できます。

また、天井の色を明るめの色に変えても、明るさを感じられます。

オーナーに許可を取る必要がある

多くの場合賃貸のオフィスでスケルトン天井に改装する際、まずはビルオーナーさんの許可が必要です。

これは天井内の配管の位置や構造、電気設備の接続状況などによっては入居している他のオフィスに影響が出るためです。

賃貸の契約内容にもよりますが、いくつものオフィスが入るビルの場合はビルの構造や壁の状態などにより改装や構造変更に制限がある場合もあります。


オフィスをスケルトン天井にする際の注意点

ここで、オフィスをスケルトン天井にする際にはどんな点に注意したらよいのか、確認していきましょう。

消防法や建築基準法などの法律に違反しない

改装時に避けられないのが消防法や建築基準法などの法律の遵守です。

スケルトン天井への変更など建物の構造を変える場合は、消防設備や排煙設備に干渉しないようとくに注意が必要です。物件によりそれぞれの法律に則った内装の制限がある場合もありますので、設計の段階でスケルトン天井にできるか確認しておくとよいでしょう。

直天井か重天井かによって工事費用が異なること

スケルトン天井にしたいときに確認したいのが、天井の仕上げ方法です。

天井仕上げ方法には直天井と二重天井の2種類があり、工事費用の負担が大きいのは二重天井の場合です。

直天井の場合はコンクリートにクロスを貼ったシンプルな構造のため、スケルトン天井にする場合の費用負担も少なくてすみます。

一方で二重天井の場合だと、見えている天井の内部に電気設備や配管のスペースを確保する空間があり、撤去作業には手間も時間もかかるため工事費用がかさみます。

コンクリートの状態が悪いと余分なコストが発生すること

もっとも注意しなければならないのはコンクリートの劣化です。

コンクリートの劣化は解体工事がはじまり天井を開けてみるまではわかりません。

天井を見た結果、思いのほか経年劣化が進んでいる場合は、補強や見た目の補正のために塗装が必要になるなど、工事費用が高額になることがあります。


スケルトン天井の工事に必要な費用

スケルトン天井の工事には、「解体」「配線整備」「天井や配管の塗装」「電気設備の再設置」「消防設備調整」「既存の天井の廃棄費用」などの費用がかかります。

80坪のオフィスビルの天井をスケルトン天井に変更する工事の場合には、120〜150万円程度が目安と考えておくとよいでしょう。

改装工事の特徴でもありますが、既存の躯体(くたい)や天井、配線、配管の状態やコンクリートの劣化状況などにより追加費用が発生すると、設計当初の見積額よりも高額な工事費用となってしまうこともあります。

追加費用が発生する可能性についても確認し、おおよその費用の目安を把握しておきましょう。総じてかかる費用や工期に納得したうえで施工に入れば、後々トラブルに発展する可能性を少なくできます。

工事費用の勘定科目について、こちらの記事もお役立てください。


まとめ

毎日過ごすオフィスの雰囲気は、業務効率化やスタッフのモチベーション向上にも関わる重要なポイントです。

既存の天井をスケルトン天井に変えれば、オフィスの閉塞感がなくなり、開放的な空間でクリエイティブな発想が生まれやすくなる メリットがあります。また、社員一人ひとりのパフォーマンスが上がれば、企業の成長にもつながるでしょう。

スケルトン天井を取り入れるためには、法律の知識や工事のノウハウはもちろん、理想を形にする業者に依頼することが重要です。

働く場所としての機能と開放的な空間の両立を叶える方法の一つとして、スケルトン天井が気になっている方は、ぜひご相談してみてはいかがでしょうか。

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