空間デザインとは?効果や働き方・他デザインとの違い

デザインにはいろいろな種類がありますが、なかでも空間デザインは、多方面で使用される大事なデザインです。知らないうちに、誰もが目にしていることでしょう。

しかし、空間デザインと聞いて何を指しているのか、はっきりと答えられる方は少ないのではないでしょうか。

今回は、空間デザインとは何か、その効果や働き方、ほかのデザインとの違いをお話ししていきます。街を歩くだけでもさまざまな場所で空間デザインが活かされているので、ぜひ探してみてください。

空間デザインとは

空間デザインとは、英語でスペースデザインともいわれています。インテリア・家具・建築など、すべてを一貫してデザインするのが空間デザインです。屋内、屋外ともに空間デザインは使用されます。

インテリアデザインや建築デザインなど、専門的なデザイナーもいますが、そのすべてを担当するのが空間デザインです。基本的には、そのスペース全体をデザインするものだと考えて問題ないでしょう。

空間デザインによって期待できる効果

空間デザインは、その場所を利用する方が、どんな目的で利用するのかを把握したうえでデザインします。たとえば、社員がコミュニケーションを取りやすいオフィスにしたい場合、仕切りをできるだけなくし、広々とした空間にすることで会話が生まれやすくなります。

このように、その空間を利用する相手の目的に応じた効果を与えることが可能です。空間デザインをする方は、利用者に与える心理的効果を考えたうえで、デザインをする必要があります。


空間デザインの種類や働き方

空間デザインの仕事は、さまざまな場面や場所で使用されます。専門分野によって業務内容は多少変わりますが、スペースをデザインすることに変わりありません。

空間デザインにこだわると、働きやすい職場にできたり、企業イメージをよくする職場にできたりするため、メリットが多いです。

ここからは、空間デザインの種類や働き方をご紹介します。どんな場所に使用され、どのように働いているのでしょうか。

種類

人は、いろいろな空間を利用して生活しています。その場所によってどんな目的で使用するかは違い、その用途に合わせて空間をデザインする必要があります。

空間デザインが使用されるのは、下記のような場所です。
・オフィス
・戸建住宅、マンションなどの集合住宅
・ショッピングモール
・舞台、劇場
・病院
・教育施設
・レストラン、コンビニ、カフェ、スーパー
・ホテル、旅館
・公共施設
・電車、自動車、バス、飛行機、船

働き方

空間デザイナーは、大きく分けて2つの働き方があります。1つ目は、企業に社員として所属して働くやり方です。

企業には複数の部署があり、部署ごとに仕事内容が違います。企業に勤めると、大きなプロジェクトに関わる可能性があり、自分の力を試すチャンスとなるでしょう。

また、長期間勤められるのもメリットです。基本的には会社員なので、大規模なリストラなどがない限り、希望するまで勤めることができます。

2つ目は、個人事務所で働くやり方です。個人のデザイン事務所は、社員の人数が少ないことがほとんどです。企業と比べると仕事内容は小規模ですが、少人数でやることで、さまざまな分野の仕事を任せてもらいやすくなります。

また、個人事務所で働く方は、将来的に独立を考えている方が多いです。3~4年ほどで別の事務所に移り、いくつかの事務所で経験を積んだのちに、独立する流れになります。

求められる能力

空間デザインは、デザイン・建築・インテリア・製図・模型製作などの専門知識が必要となります。そのような技術面とあわせて、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も必要とされます。

空間デザインの仕事は、利用する方の目的や要望をしっかり聞き、それを形にしなくてはいけません。そのため、相手とのコミュニケーションがとても大切です。

また、打ち合わせで、デザインの意図やコンセプトをわかりやすく伝える必要があります。伝える技術がないと、いくらビジュアル面で高評価でもそれ以上のよさを伝えることができなくなります。

空間デザインにとって技術はもちろん必要ですが、それ以上にお客様の要望を汲み取ることや、作品の意図を上手く伝える力が重要だといえるでしょう。

空間デザインと他デザインの違い

デザインを行う仕事は、空間デザイン以外にも数多く存在します。WEBデザイン・ファッションデザイン・ゲームデザインなど、聞いたことはあっても内容がわからないものは多いのではないでしょうか。

ここからは、空間デザイン以外のデザインで、空間デザインに近い部類のデザインをご紹介します。

建築デザインとは

建築デザインとは、建物そのものの見た目をデザインすることです。空間デザインとの違いは、建物自体をデザインするか、建物を含めた室内外すべての空間をデザインするかという部分です。

建築デザインは、おしゃれで芸術的な建物や、スタイリッシュで実用的な建物まで、いろいろなパターンがあります。それぞれ、使う方の目的に沿った作りをしているのが素晴らしいところです。

日本には優秀な建築デザイナーが多くいて、国内外で広く活躍しています。建築デザインによる有名な建物は、以下のようなものがあります。
・国立新美術館
・国立代々木競技場
・富士山世界遺産センター
・金沢駅
・モエレ沼公園

建物ができ上がると、そのあとインテリアデザイナーが内装をデザインします。そして、そのほかの空間を空間デザイナーがデザインしすべて完成です。

環境デザインとは

環境デザインとは、生活するうえで人間を取り囲む、すべての環境をデザインすることです。具体的には、公園・建物・街並みなどの環境です。

環境デザインは、インテリアデザイン・建築デザイン・空間デザイン・都市デザインなどのすべてを企画し、コーディネートします。そのため、空間デザインとの違いというよりは、環境デザインの中に空間デザインが含まれている、といったほうがいいでしょう。

環境デザインの具体例として、西荻窪にあるokatteにしおぎがあります。okatteにしおぎはもともと普通の住宅でしたが、リノベーションして食をテーマにしたコミュニケーションスペースに生まれ変わりました。

2階は3部屋あるシェアハウスになっており、1階には集会場やイベントスペースがあります。大きなキッチンもあり、シェアキッチン&リビングとして使用されています。

このような、町にとって価値のあるものを作り出すことも、環境デザインの大切な役割です。環境をよりよいものにしていくのが、環境デザインといいます。

インテリアデザインとは

インテリアデザインとは、主に住宅などの内装のデザインのことをいいます。具体的には家具やカーテン、照明などのコーディネートや装飾をする方で、インテリアデザイナーと呼びます。

空間デザインは、何もない場所に1からデザインをすることですが、インテリアデザインはもともとある家具などをデザインするので、両者はまったく方向性が違います。

しかし、空間デザイナーがインテリアデザインをするケースもあるので、明確な線引きがあるわけではないと理解しておきましょう。

空間デザインの仕事の流れ

空間デザインをする方は、どのような流れで仕事をしているのでしょうか。

打ち合わせ

まず、依頼者とともにどんなデザインにするか、打ち合わせをします。依頼者の意向をしっかり聞いてかたちにする必要があるので、とても大事な作業です。

打ち合わせでは、使用する目的や、どんな心理的効果を得たいか話し合います。相手の話を聞き出すコミュニケーション力が必要ですし、説明されなかった内容を汲み取る力も必要となります。

デザイン案の作成

打ち合わせでヒアリングした内容からイメージが固まったら、実際にデザイン案を作成していきます。設計図や模型、CGなどを使い、頭の中にあるイメージを形にしていく作業です。

商業施設などの空間デザインの場合、ビジュアルや雰囲気のこだわりだけが空間デザインではありません。その場所を利用する方が、快適に過ごせるような動線を考える必要があります。

また、商品の見やすいディスプレイも考えなくてはなりません。来場する方の行動や気持ちを想像して、設計することが大切です。

施工

固まったデザイン案を正確に施行してくれる施工会社を探します。施工会社の選定を慎重に行わなければ、せっかく丁寧にデザインしたものが台無しになってしまうので、気をつけましょう。

空間デザイナーは、依頼者と施工会社の間に立つ仕事です。それぞれの意見をしっかりと聞き、正確に伝えることで、よいデザインを生みだせます。

施工業者選びのポイントは、こちらの記事でも詳しく解説しています。

まとめ

空間デザインがどのようなものかわかりましたか。室内外ともにスペースをデザインすることで、レストラン・カフェ・学校・病院・オフィス・住宅など幅広い空間をコーディネートします。

空間デザインをするためには専門知識が必要ですが、それ以上にクライアントの要望を取り入れたり、気持ちを汲み取ったりする技術が必要です。クライアント・施工会社の間に立って、使う方の思いを反映するのが、空間デザインの難しい点だといえるでしょう。

空間デザインはさまざまな場所に活かされているため、身の回りにある建造物に目を向けてみてください。