美容室の内装を決めるうえで重要な3つのポイント

美容室の内装は自由度が高く、オーナーの意向が強く反映されるため、美容室の数だけ内装があるともいえます。自由度が高いとかえって内装を決めるのが難しいと感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

そこで、美容室の内装を決めるうえで重要なポイントをまとめました。あわせて代表的なデザインや、人気あるデザインの特徴をご紹介します。

美容室の内装の重要な3つのポイント

美容室の内装を決めるときは、3つのポイントを押さえることが重要です。まずは、快適な店内にするために必要な要素を覚えましょう。

機能性を考慮した素材の使用

美容室の中は、水・薬剤・髪の毛など、異なる汚れが落ちる場所です。汚れることを想定したうえで内装を設計しなくてはなりません。おしゃれな空間を重視しすぎると、掃除しにくい空間を作ってしまう恐れもあります。

したがって内装デザインは、おしゃれさだけでなく機能性にも注目しましょう。たとえば、髪の毛などの細かい汚れが落ちやすい床は、凹凸が少なく汚れが落としやすい素材がおすすめです。シャンプー台やいすは水や薬剤の影響を受けるため、防水・変色防止などの機能がついているものを選びましょう。

素材の知識がない状態で選ぶのは大変ですが、内装業者や設備業者に相談すれば、よいアドバイスをもらえます。美容室の内装を作る際は、積極的に相談しましょう。

動線の意識

美容室は規模にもよりますが、複数のスタッフが同時に作業する場所です。スタッフと個客がお互いスムーズに動ける環境を作るには、動線を意識した内装作りが重要です。

美容室における同線は複数あります。カットやシャンプー用の場所まで移動する動線が別々であれば、同時に移動しても問題ないような動線を組みましょう。また、カットとシャンプーを同じ場所でできるよう、設備を整えるのもよい方法です。移動する手間をなくせば、動線も減ります。

内装を考えるときは、スタッフと顧客の動きにも注目しながら考えましょう。

コンセプトの明確化

次に解説するのは、機能面よりもデザイン面での重要ポイントです。内装デザインは、コンセプトを明確にし、デザインを統一しましょう。

美容室は、客層がそれぞれ異なります。男女・年齢層・価格帯など、さまざまな要素で狙うべきターゲット層は変わります。ターゲット層にあわせた内装を作るには、コンセプトの明確化が重要です。

たとえば、若い男性向けの美容室なのに、ラグジュアリーで女性的な雰囲気の内装を作ってしまうと、集客は難しいでしょう。若い男性向けの美容室であれば、若い男性が好むようなデザインを意識する必要があります。

また、コンセプトを決めずに内装を作ると、中のデザインがバラバラになります。入り口はラグジュアリーなのに、カットやシャンプーをする場所はポップなデザインのように、ちぐはぐな状態だと、顧客は落ち着いて施術を受けられません。

内装業者に発注するときも、コンセプトが決まっていないとスムーズに依頼できなくなります。美容室の内装を作るときは、コンセプトをある程度決めてから依頼しましょう。

美容室の代表的な内装デザイン

内装作りに必要な要素を押さえても、デザイン例がない状態ではどう決めたらいいかわからない方も多いかと思います。そこで、美容室に採用されることが多い代表的な内装デザインをご紹介します。

アンティークな内装

若い人向けから高級志向まで多く取り入れられているのが、アンティークな内装です。落ち着いた木目調やカラーを取り入れた内装は、大人向けの雰囲気を演出してくれます。店内の備品や雑貨もこだわって配置すれば、よりクラシックな雰囲気を演出できるでしょう。

同じアンティークな内装でも、重厚さを重視すれば男性や高級志向向けに、かわいらしいデザインや白や淡いくすみカラーを取り入れれば、女性向けのイメージを与えられます。イメージの参考元には、ヨーロッパの古典作品がおすすめです。

アンティーク調の内装では、漆喰や珪藻土が活用できます。漆喰や珪藻土は消臭・調湿効果があり、美容室と相性がよい素材です。客層に幅広く対応でき、取り入れやすいことも考えると、アンティーク調は美容室向けの内装といえるでしょう。

ポップな内装

若い人や小さい子ども連れでも訪れやすいのが、ポップ系の内装です。明るめの木材やレンガ・タイル材を取り入れると、落ち着いた雰囲気も演出できるため、幅広い客層を見込めます。ファミリー向けの美容室を作りたい場合にもおすすめです。

照明や座席に明るい色や丸みのあるデザインを採用すると、ポップ感を演出できます。ツヤツヤした素材なども採用しやすいため、機能性を重視した美容室を作りたい方にもおすすめです。

また、あえてビンテージ風の雑貨をおくなど、ポップさに個性をプラスすることもできます。自由度が高い分、こだわりを反映しやすいデザインといえるでしょう。

モダンな内装

直線的なデザインや、アールヌーボーを取り入れたモダン風も、美容室には多いデザインです。シンプルなデザインが取り入れやすいため、清潔感のあるおしゃれな雰囲気を演出できます。

モダン風のデザインは、高級感を売りにした美容室や、カラーやパーマなどの技術力を売りにした美容室などによく採用されています。シンプルなデザインやカラーで統一するのが、内装作りのポイントです。

ラグジュアリーな内装

高級志向の美容室でよく採用されているのが、ラグジュアリーなデザインです。ラグジュアリーなデザインにはさまざまなものがありますが、近年はモダンデザインにクラシック系の落ち着いたカラーを採用したデザインが人気を集めています。

大きめの家具などに落ち着いたカラーや照明を採用すれば、高級感ある雰囲気を演出できるでしょう。雑貨などを乱雑に置かず、シンプルかつ高品質な備品で構成するのを構成してください。

非日常感を演出しつつ、居心地よい空間の演出を心がけると、ラグジュアリーな内装を構成できます。

人気のある美容室で共通する内装デザイン

美容室のデザインは実にさまざまです。同じデザインもたくさんある中、実力だけでなく内装でも評価されている美容室もあります。人気ある美容室の内装には、共通するポイントがあります。

次は、人気ある内装の共通ポイントをご紹介します。内装を検討する際は、最初に解説したポイントだけでなく、こちらの内容も意識して考えましょう。

非日常感が演出されている

美容室を訪れる顧客の多くは髪を切るだけでなく、普段とは違う雰囲気を楽しむことで、気分を変えたいと考えています。人気ある美容室は、こういった顧客の気持ちを踏まえた内装を作っています。

自宅はもちろん、飲食店など生活の中に組み込まれがちな店舗とはちょっと違うデザインを意識しましょう。参考資料としては、美術館やホテルなどがあげられます。機能性を維持しながら非日常感を演出するのは少々難しいですが、資料をもとに内装業者と考えればよいデザインを作り出せるでしょう。

リラックスできる空間となっている

美容室は髪を切る・カラーやパーマをするだけでなく、ヘッドスパやマッサージなど、リラクゼーションも求められる施設です。店内の内装も、リラクゼーションを意識して考える必要があります。

柔らかい灯りの照明や、観葉植物などを置くのが有効です。アロマオイルを使うなど、目に見えない演出を取り入れるのもよいでしょう。また、施術を行う場所をカットやシャンプーをする場所・部屋と分けているところも多いです。顧客がリラックスできる環境づくりも、人気を集める要素といえます。

SNS映えするような雰囲気がある

人気の美容室の広告やホームページを見ると、いずれもおしゃれな印象を受けます。SNSに投稿すれば注目してもらえそうな雰囲気を作れば、集客効果を期待できるでしょう。

最近ではカフェを併設する・施術後の写真を撮るスペースを作るなど、SNSに役立つ設備を作っている美容室も多いです。

顧客が自ら宣伝してくれれば、店側は宣伝活動をする必要がありません。人気ある美容室は店内をおしゃれに作ることで、顧客に集客を手伝ってもらえる状態を作り出しています。

現在の流行を取り入れ、顧客が発信しやすい要素を取り入れることも、内装作りにおける重要な要素といえるでしょう。

美容室の内装を作る際は、内装の例や参考資料だけでなく、SNSのチェックもおすすめします。SNSは年齢層によって利用するツールが違うため、ターゲット層が利用しているツールもあわせて調査しておきましょう。


美容室の内装工事にかかる費用

美容室の内装にはさまざまなポイントがありますが、実際に施工するとどれくらいの費用が必要なのでしょうか。

費用相場として、内装工事は25~60万円ほどが必要になります。洗髪台が1台30~80万円・カットチェアが1台7~15万円・鏡やドレッサーは5~10万ほどです。すべてそろえるとなると、かなりの金額が必要になります。

こちらの金額はあくまでも相場です。よりこだわった内装にしようとすれば、費用はその分かさみます。内装だけでも100~400万円はかかるとみてよいでしょう。これでもかなり安く抑えられた金額です。加えて設備料金もかかるため、トータルはさらに必要です。

一からこだわった空間を作りたいなら、内装の配線や配管から作らなくてはなりません。当然、費用はかさみます。費用を押さえたい場合は、居ぬき物件を使う・こだわる部分をひとつに絞る・設備を中古で購入するなどの工夫が必要です。

また、内装業者の種類にも注目しましょう。内装業者は、デザイン設計のみ行っているところと、施工まで一貫して行っているところがあります。

デザインのみの場合、設計後は別の施工会社へ依頼するため費用がかかります。また、引継ぎ分工期も伸びる分、費用もかかる傾向にあり、費用を抑えるのが難しい業者が多いです。

一貫してできる業者なら、デザイン料も込みでできるところがあるため費用の節約ができます。引継ぎがない分工期も短くできるため、かなりお得です。費用を抑えつつ、内装にこだわりたいなら、業者選びの時点から比較・検討しましょう。


まとめ

美容室の内装は、集客にも大きく影響が出る要素です。効率よく働ける環境を作りつつ、顧客が心地よく施術を受けられるようにしなくてはなりません。大変ですが、そのためのポイントを押さえて内装を作れば、よい空間を作り出せるでしょう。

内装作りは、内装業者と相談しながら慎重に進めていく必要があります。費用も大幅にかかるため、信用できる業者選びが重要です。業者選びを検討されている方は、美容室のコンセプトを決める段階から取りかかりましょう。