Episode.49 さかた歯科クリニック様(後編)


滋賀県近江八幡市に開業された歯科医院「さかた歯科クリニック」様。開業にあたり、当初ご相談されていた設計士との間で方向性にすれ違いが生じたことをきっかけに、「これ以上長引かせず、理想のカタチを形にしたい」という想いからテナント工房へご依頼いただきました。後編では、工事中のエピソードやお店をオープンされてからのお話しや今後の展望などについて詳しく伺いました。 前編はこちらからご覧ください▶▶Episode.48 さかた歯科クリニック様(前編)


――印象に残っているエピソード

坂田院長:一番印象に残っているのは、僕が仕事してる最中に歯科ディーラさんがUさんを連れてきてくれて、「うわ、なんか怖そうな人来たな」って思ったけど、すっげえ腰低いっていう。(笑)


U:そうでしたね。(笑)


坂田院長:「僕より頭を下に下げないでください」って言われて。僕は「ひぃっ」てなって。(笑)


U:いやいやいや!(笑)


坂田院長:いや、どう見ても強いでしょう。


U:そうなん?控えめや思ってるけど。


T:いや、強いと思います。(笑)


U:そうか…でも印象に残ったエピソードがそれでよかったです。一発で覚えてもらえるということで、何よりです。


坂田院長:他にもいっぱいあるんですけどね。


U:大小ありますよね。僕は先生との出会い方もそうですが、先生と近隣の方との関係性が見えた時が一番印象に残っています。テナントを借りたオーナーさん含めて、今まで先生がこの場所で築き上げてきた関係性を感じて、先生の人柄が見えた。やっぱり近隣含めて現場って結構荒れるんですよね。でも皆さん口を揃えて「先生のためになんとかしてあげてね」って言っていました。だって近隣の方の第一声が「坂田先生のところの工事、テナント工房さんがやってくれんの?先生のことなんとかしたってや!」でしたもん。工事中も全面的に協力してくれはったんで、大変助かりました。工事で出たゴミの保管場所も「そこ使っててええで!」って言ってくれはった。ゴミ問題って事故が起こりやすいのでなかなか難しいんです。


坂田院長:そうだったんですか!


U:事故の可能性もあるというのにも関わらず、全部協力的やったんで、それは先生のお付き合いの仕方やと思うんですけど、僕は印象に残っています。


坂田院長:ありがとうございます!



――よかった提案

坂田院長:やっぱり受付の壁周りがすごい良かったな。これこれ!ってなった。


T:これは一番こだわりましたもんね。


U:一番こだわったよね。いろいろな「緑」の中から選びましたもんね。これはTの提案力です。


坂田院長:ありがたいです。僕は歯医者っぽくない歯医者にしたかった。「白」って来やすいとか落ち着ける雰囲気ってよく言いますけど、真っ白な歯医者とかやったら、逆に落ち着けへんわって常に思ってたんです。(笑)だからデザインは美容院とか雑貨屋さんみたいに近づけたいなと思ってて、その中でカラーのコンセプトを考えたときに「あれ好きやったな」と思ったのが思い出のソファーの色やったんですよ。


T:そうでしたね。


坂田院長:前の設計士との打ち合わせで、カラーは選んでいたんです。でも、しっくりはきていなくて「うーん…」ってなってた。テナント工房さんに変わった時点で壁の色も決まっていて、そこからお打ち合わせを重ねる中で、納得できていなかった部分が明白になってきて。今思うと全然違ったんですよ!


T:黄緑でしたっけ、一番最初。


坂田院長:そうそう。明るい緑って感じやった。前の設計士が出してきた緑の中で、この中やったらこれやなっていうのを重ねていっていたんですが、今考えるとあのままやってたら全然自分のイメージと違う…。(笑)


U:壁のクロスの色をお打ち合わせの時に持って行ったら、「これ!」っておっしゃったんですよね。僕めっちゃ印象に残っています。僕は逆に最初に決まっていた色と全然違ったので「ほんまにこれ?」っていう感じでした。実際に出来上がると落ち着いた素敵な空間になりましたね。


坂田院長:ほかにもいっぱい素敵な提案してもらいましたよ。前の設計士の時は床のヘリンボーンは職人が1枚1枚やらなあかんから安くならないって言われた。でもTさんに聞いたら「いや、あるで」ってポンって出されて「え?」ってなって(笑)


T:ありましたね。事務所で打ち合わせた時、その反応してましたね。(笑)ヘリンボーンのカラーも違いましたよね。


U:違うかった!壁に濃い緑を使っているから、床のヘリンボーンはこの色どうですか?ってご提案させていただいた。


坂田院長:そうそう。ほかの箇所も合わせて提案してくれて、トータル提案ですね。あとはレントゲンス室の壁ね。あれもよかったですね。


T:あれね、1回使いたかったんですよ!(笑)


坂田院長:Tさんみたいに、「使ってみたかった」とか意見を言ってくれる点も良かったんですよ!面白い。レントゲン室だけのアクセントとしてね。


U:そうですね、他の箇所とはちょっと変わったイメージにはなりますね。


T:普段医院では使わないクロスをすごく使ったんですよ。だから、みんなが驚く内装になっているんじゃないかなと思います!



――うまくいかなかったこと

U:僕が先生からお聞きしてることでいうと、出入り口ですね。どうしても自動ドアがフロントになるので隙間から虫が入ってきてしまう。


坂田院長:せやね。虫対策は僕らの課題でもあるかなって思っています。秋になってようやく落ち着いてきた。


U:夏場は苦労されてたのでよかったです。


坂田院長:しいていうならコンセントプレートも緑にできたらよかったなと思いますね。


U:先生、緑色はないです。(笑)


坂田院長:だって、この医院って取っ手とかも全部黒で選びましたし。


T:確かに!


U:先生、利益出たら改装しますよ!替えます、プレート。(笑)


坂田院長:だいぶ後やと思います。(笑)


T:でも、その時になったら緑のコンセントプレートも出るかもしれないですね!(笑)


U:出るかな?緑っていっても濃い緑やで(笑)


坂田院長:これって塗れないんですか?


U:割れてしまうんです。コンセントプレートは表面がツルっとしているので、塗装が乾燥すると表面が割れて取れていくんです。塗ることも昔はやっていたんですけど、後々トラブルになる。先生が「それでもええよ。やって」って言われてもお勧めはしないです。


坂田院長:そうなんか…あとは工事中に発注を急いでいたので、スピーカーが黒色しか手に入らんかったこと。


U:確かにそれはありましたね。


坂田院長:黒でも全然よかったですし、天井のカラーも最後まで悩んで結局グレーに逃げたんですよね。


T:まとまっていて素敵ですけどね!


坂田院長:ほんとうは白系統の色が一切ない空間にするぐらいのつもりやったんで。


T:じゃあ天井も黒とかですか?


坂田院長:ってなると重たいでしょ?


T:重たいですね。空間が真っ暗になってしまうと思います。


坂田院長:ですよね。さすがにちょっとそれはやりすぎやなと思って。


T:床は木目+ヘリンボーンなので合わせるのも結構難しいですね。


坂田院長:天井のカラーを決めるのってむずいんやなって思いました。(笑)



――オープン後のお客様の反応

U:患者さんが入って来られて、「歯科医院らしくないよね」とか言われることはないですか?


坂田院長:「えらいおしゃれやね!」っていうのはあります。「そう?よかった!」って思う。患者さんの反応はスタッフさんに聞いてもらったほうがたくさん聞けると思うんですがね。


U:そうですね。でもおしゃれです本当に。近江八幡にはない歯科医院ですね。いい意味で仕上がりに関しては個性的な医院作りができたかなと思いますね!



――今後の展望

坂田院長:自分の口の中で何をされているかわかってない人は、うち来た方がいい。そういう人って珍しくないんですよ。


T:そうですね。みんな、なすがままっていうのはほとんど。


U:今までいろいろな先生とお話させていただきましたが、坂田先生がおっしゃった言葉、初めて聞きました。僕も何がどうなってるかわかんないです。


坂田院長:「左下の奥歯1本、神経取ってる歯ありますね」って言ったら、「え?」って言われるんです。「ここの歯はこういう状態ですね」って言ったら、「え?」って。いや僕も「えっ?」て。(笑)


T:そうなんですね!(笑)


U:患者さんも聞き方もわからんから聞けないんでしょうね。先生から言われることがまずないから。


坂田院長:僕は初診に来られた人にはひたすら喋ってます。最低限全体のレントゲン写真と歯茎の検査と口の中の写真は撮る。そこからずっと喋ってる。患者さんには「僕がこんなにベラベラ喋るの今回だけなんで!」っていう話をします。よっぽど自費の治療を突き詰めてやるという患者さんでなければ!(笑)


U:患者さんは歯が痛いから来たという理由で来られて、普通はそのまま自然に治療に入るけれども、先生の場合、「こういう理由があるから、こういう形でやっていくけどどう?」って提案されてるっていうことですね。


坂田院長:そうですね。


T:その方が安心ですよね。患者さんに寄り添ってるって感じがすごい。


U:でも先生がそこまで喋ったら、「じゃあ先生これ直すの?保険やったらいくら?自費やったらいくら?」っていうことは患者さん聞けますし、「トータルでいくらかかるんですか」も聞けるから、患者さんにとっては安心できるいい歯医者さんですよね。


坂田院長:でも実際ね、僕は寄り添っているんじゃないんです。なんでかって言うと、治療するのも、治療の内容も結局僕らが決めるんじゃないんですよ。患者さんがある程度理解、納得してもらうことが大事。入れ歯、ブリッジ、インプラントなど一長一短があるんで、それを患者さんが把握して納得して選んでもらいたいんです。決めるのはあくまで患者さんです。治すか治さないかも患者さんの選択やし、どのやり方で治療するのかも患者さん次第。それぞれの良いところ悪いところはある程度以上お話します。保険の範囲内でやるのか、自費メインでやるのか「さあ、どれがいい?」ってお伝えします。


T:選択肢を与えるんですね。


坂田院長:そうそう。だから「もう保険の範囲でちゃちゃっとやってくれ、もう説明もいらん」って言われたら、それはそれで患者さんの考え方なので問題ないです。


U:患者さんの考え方と歯に対する想いからですね。


坂田院長:だからといって「ほんならもう20万の治療受けなはれ」って言うつもりは全くないですよ!例えば、歯医者が「これはインプラント入れた方がよろしいですわ」っていうのは寄り添いなのか、それとも商売的に捉えるかっていうのは人によっても違いますからね。


U:確かにそうですね。それは多くの医院で言ってはりますね。でも先生と患者さんの相性も合う合わんっていうのがあるからね。相性については患者さんも先生もはっきり言われる。


つい最近も3人ぐらい、何も治療をせずにお返ししました。


T:そんなことあるんですか!


U:よくあることですよね。合わへん人やったらトラブルになることもあるし、今後のことを考えると患者さんも先生も難しいんちゃうかな。気持ちよく治療も継続できないですもんね。


坂田院長:うん。僕らもすごく嫌なんです。患者さんによかれと思って治療したのに、「○○された」って後で言われるのが。たぶん医者はみんな嫌がるんじゃないかな?


U:あるあるだと思います。同じ人間ですし、僕も営業していて、「このドクターとは合わんな」と思ったら後々トラブルになることを考えてお断りすることもあります。育ってきた環境も医院にかける思いも違う点があるんでね。


坂田院長:どうしても歯医者は継続的に患者さんに来ていただくので、より対人関係が重要なところかと思います。僕もそんなに得意じゃない部分もあるので。


T:うまいと思いますけど!


坂田院長:いやいや、そんなことないんです!


U:でも、その中で僕とTと合うって言っていただけてよかったです!


坂田院長:いえ、こちらこそ恐縮です!ありがとうございました!


※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2025年10月)