人気の「古民家カフェ」の開業メリットとは?注意点もあわせて紹介

昔ながらの古民家を改装して、カフェを開いてみたいと思っている人が近年増えています。しかし、古民家カフェを開くのは、古民家を改装するからこその問題もあり、簡単なことではありません。

古民家を魅力的な店舗にするにはリノベーションが欠かせず、物件によっては用途変更などの手続きも必要になります。本記事では、古民家を店舗にするメリットや、魅力的な古民家カフェにするためのポイント、古民家物件を利用する際の注意点を解説します。

古民家を店舗にするメリット

古きよき時代の面影が感じられる古民家を店舗にすると、次のようなメリットがあります。

・古民家特有の持ち味が活かせる
・時間を経るごとに趣深く経年美化する
・毎年支払う固定資産税が安価に済みやすい

古民家特有の持ち味

昔ながらの古民家には、現代建築にはない持ち味があります。高い天井や太い柱・梁、木のぬくもりが感じられる床や壁などは、現代の家ではなかなか見られないものです。

古民家ならではの魅力を活かした店舗には、ほかの店舗にはない個性と魅力が宿るため、一般的なカフェとの差別化が図れます。とくに古民家に馴染みのない若い世代や、海外からの顧客の目には、とても新鮮に映るでしょう。

経年美化という考え方

古民家には、現代建築にはない重厚感や落ち着きがあります。これは年を経た建物ならではの雰囲気で、経年劣化ではなく「経年美化」というのがふさわしいものです。

落ち着きのある古風な雰囲気に、北欧やアジアのテイストを取り入れることで、ほかにはないユニークな空間が作れるのも古民家を店舗にするメリットと言えます。

固定資産税が安価に済みやすい

古民家の場合、固定資産税が安価に済みやすいのもメリットです。固定資産税は、家屋や土地所有にかかる地方税で、建物や土地の価値に応じて金額が決まります。

建物に関しては、築年数が経てば経つほど個性資産税の金額が下がっていくのが一般的です。したがって、建てられてから年数が経っている古民家の場合、新築の店舗に比べて、固定資産税が安く済むことがあります。

古民家は、リノベーションしたとしても建物としての価値が上がりにくいと言われているので、固定資産税を節税しながらカフェを開きたい人にはとくにおすすめの物件です。

魅力的な古民家店舗にするポイント

古民家を魅力的な店舗にするには、他店との差別化を図る以外にも、いくつかポイントがあります。魅力的な古民家店舗を作るポイントは、次の3つです。

・古民家というジャンルにこだわりすぎない
・市場のニーズを反映した店舗作りを心がける
・古民家の持つ和のテイストに、洋風のテイストを取り入れることも検討する

「古民家」というジャンルに奢らない

古民家と聞いて「和」や「古きよき日本の原風景」をイメージする人は、決して少なくありません。しかし、魅力的な古民家店舗を作るには「古民家」というジャンルや、そのイメージにこだわりすぎないことが大切です。

顧客は、あくまでも「古民家だから利用する」のではなく、その店舗でしか買えないものや体験できないものを求めて来店します。建物の「古民家」というジャンルにとらわれすぎることなく、顧客のニーズを満たす店舗を作りましょう。

顧客のニーズを満たすには、店舗のコンセプトを5W1H(When・Where・Who・What・Why・How)で考え、明確にすることが肝心です。

建物によっては、障子やふすま、柱、梁といったものが残されている場合があります。古民家だからといって、それらすべてを活用する必要はありません。顧客のニーズに合った店舗を作るうえで不要になる場合は、思い切って撤去してしまいましょう。

ただし、すべて新しいものに変えてしまうと古民家のよさが失われてしまうので、専門の業者と相談しながら、できるだけ多く残せるよう工夫することが大切です。

市場調査を欠かさない

古民家店舗を作る際は、市場調査も忘れないようにしましょう。古民家店舗の場合、立地によって集客できるかどうかが大きく変わってきます。

都会で古民家店舗をオープンするのであれば「どうしてここに古民家が?」と思われる、意外性のある場所の物件を選ぶとよいでしょう。田舎で古民家店舗をオープンする際は、近くに似たような店舗がないかどうか、入念に市場調査をしてください。

地方の場合、使われなくなった古民家が点在している場所も少なくありません。特定の地区に古民家が建ち並んでいるところもあります。

似たような店舗がいくつもオープンすると、それだけ集客も難しくなるので、出店したい地域の下調べをしっかり行って、古民家店舗の個性が活かせる場所に出店することが大切です。

和洋折衷も視野に入れる

古民家店舗だからといって、純日本風の雰囲気にしなければいけない決まりはありません。古民家のよい部分は残しながら、適度に洋風のテイストも取り入れるとよいでしょう。

たとえば外観は古民家のままに、内装をリノベーションしてテーブルとイスを設置し、レストランのような雰囲気にすれば、靴を履いたまま気軽に利用しやすくなります。

厨房に関しても、日本の昔ながらの台所を取り払い、最新のシステムキッチンや調理設備を導入すれば、より調理しやすい環境が整うでしょう。

昔ながらの古民家は、段差があったり、通路が狭かったりします。そういった箇所をリノベーションし、スロープを付けたり通路の幅を広げたりして、バリアフリー化するのも魅力的な店舗作りのポイントです。

古民家物件を利用する際の注意点

とても魅力的な古民家店舗ですが、古民家物件を利用する際には注意点もあります。古民家ならではの注意点は次の5つです。

・断熱性・気密性が不十分なことが多い
・状態によってはリノベーション費用が高額になることがある
・用途変更の手続きが必要になることがある
・専門家への相談が必要なことがある
・都市計画法や建築基準法などの法規制が敷かれていることがある

断熱性・気密性が不十分な物件が多い

昔ながらの古民家は、現代の住宅に比べて断熱性・気密性が十分でないことが少なくありません。そのため夏は暑く、冬は寒く感じられることが多く、冷暖房の効率も悪いため、立地場所によっては思いのほか光熱費・冷暖房費がかかってしまうことがあります。

断熱性・気密性に関しては、工事である程度改善することが可能です。しかし、工事には費用が掛かるため、店舗の開店資金が減ってしまうデメリットがあります。

リノベーション費用は古民家の状態次第

古民家のリノベーション費用は、600~1000万円が相場だといわれています。しかし、これはあくまでも相場です。古民家の状態によっては、さらに高額なリノベーション費用がかかることもあります。

とくに、長年放置されていた古民家の場合は、シロアリなどの被害が出ていることもまれではありません。その場合、店舗として利用するには害虫・害獣駆除が必要になるため、さらに費用が掛かります。

築年数が経っていれば経っているほど、水回りやガスの整備が必要となるケースも多いです。とりわけトイレ周りは清潔感が求められるため、基本的にはリノベーションすることが求められます。

もちろん、そこまで大規模なリノベーションが必要でない物件もありますが、古民家をリノベーションして店舗にする場合は、ある程度費用がかかることは押さえておきましょう。

用途変更が必要になるケースがある

古民家をリノベーションして飲食店として利用する場合、建築基準法に基づいて建築確認申請を行い、用途変更をする必要があります。リノベーション工事前に建築確認申請を行わないまま営業を始めてしまうと、建築基準法の処罰の対象になるので注意しましょう。

古民家は、建てられた当時は法律に準拠した建物であっても、現在の法律には適合していない「既存不適格物件」です。店舗として営業するには、現在の法律に適合するよう耐震化改修などをしなければなりません。

ただし、建築確認申請や用途変更が必要なのは、床面積が200平方メートル以上の古民家の場合です。床面積が200平方メートルに満たない古民家であれば、基本的に用途変更をする必要はありません。

古民家では床面積が200平方メートルを超えることが多いため、その場合は床面積が200平方メートル以下になるリノベーションプランを考えることで、用途変更の手続きを行わずに店舗を開業できるようになります。

また最近は、住居兼店舗として営業する古民家店舗も増えてきています。

古民家鑑定士に相談も考える

古民家鑑定士とは、古民家の評価をすることを目的に創られた資格です。築50年以上の木造住宅を調査・鑑定し、古民家のリフォームやリノベーション、活用法の提案などを行ってくれます。

古民家店舗を開店したいものの、何から手を付ければよいかわからないという場合は、古民家鑑定士に物件を鑑定してもらってから具体的なプランを考えるのもよいでしょう。

現在では、大手ハウスメーカーの新築やリフォームを担当する営業職の方も多く取得している資格です。古民家鑑定士に相談したい場合は、一般社団法人全国古民家再生協会各支部に問い合わせてみましょう。

法規制に精通した専門家に相談する

古民家をカフェなどの店舗として活用する場合、都市計画法や建築基準法によって店舗の建築や営業、床面積に制限が設けられていることがあります。

古民家を店舗にする場合は、まず立地する自治体の都市計画法などをしっかり確認しましょう。法律の知識が必要になることなので、法規制についてわからないことがあれば、法規制に詳しい専門家に相談するようにしてください。

まとめ

古民家を店舗として活用するには、物件探し・リノベーションだけでなく、法律に基づいた手続きなども必要です。古民家の持ち味を生かしながら、必要に応じて洋風の設備も取り入れるなどして、魅力的な店舗を作りましょう。

古民家カフェなどの店舗を開業する際に困ったことがあれば「テナント工房」に相談するのがおすすめです。テナント工房は、滋賀・京都・大阪で店舗の開業や改装をサポートしている、お店づくりのパートナーです。

ワンストップで物件探し・デザイン設計・施工・アフターフォローまで対応しているので、古民家カフェの開業を検討している方は一度相談してみてください。