焼肉屋の内装デザインに必要なものとは?一般的な飲食店との違いを解説

焼肉屋のオープンに向けて、どのような内装にすればいいのか悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

家族や友達と気軽に、ときには特別な日に利用される焼肉屋は、お店のコンセプトやターゲット層に合わせて内装デザインを工夫する必要があります。

この記事では、焼肉屋に必要な内装デザインに必要なものや、一般的な飲食店との違いについてご紹介します。

ターゲット層に合わせた内装が重要

焼肉屋の内装デザインは、ターゲット層に合わせた内装にすることが重要です。たとえば、ファミリー層や友達同士などさまざまな方が利用する大衆向けの焼肉店と、富裕層や特別な日に利用される高級志向焼肉店では、求められる内装デザインが異なります。

どんな利用者に来てもらいたいのかを定めて、ターゲットに合わせたデザインで内装をつくりましょう。

大衆向け焼肉店の特徴

大衆向け焼肉店は、友達同士やファミリー層など、幅広い世代の方が利用します。そのため、利用者が気軽に店内へと入りやすく、親しみも持ちやすい明るさのある空間にしましょう。

・照明を明るくする
・開放感のある空間をつくる
・温かみのある暖色系を使った配色にする
・大人数での利用を見込み、座席数を多くする
・テーブル席をつくる
・木材調の素材を使用して重圧感を感じないようにする

大衆向け焼肉店では、明るい照明や温かみのある色合いにした内装にすると、利用者が気軽に入りやすくなります。

高級志向焼肉店特徴

高級志向焼肉店は、富裕層やお祝いごとの特別な日に利用される傾向にあるため、格式の高さや非日常的な空間を演出しましょう。

・落ち着いた雰囲気にするため、照明を少し暗めにする
・ベースとなる色をダークカラーにし、差し色で赤やオレンジをいれる
・パーテーションで仕切りをするか、個室席を設ける
・ゆったりとした空間にするため、座席数を少なめにする
・家具や壁紙は奇抜なデザインを避け、シンプルにする

高級志向焼肉店では非日常を感じられるように、モダンやスタイリッシュなデザインがおすすめです。



焼肉屋の内装ならではの注意点

焼肉屋は、利用者がテーブルで自由に肉を焼いて楽しめるのが特徴的な飲食店です。そのため、一般的な飲食店とは異なり、内装も焼肉屋ならではの注意点があります。

・焼肉屋は「特殊建築物」として扱われる
・給排気設備を整える
・客席に設置する調理器具を準備する

それぞれ、どんなことに注意すればいいのかを解説します。

焼肉屋は「特殊建築物」として扱われる

焼肉屋は、店内で火を扱うため特殊建築物に指定されています。特殊建築物は、主に不特定多数が集まる学校や病院、商業施設・飲食店・ホテルなどの建物が該当し、防火や衛生面などにおいて厳しい制限が課せられています。

焼肉屋の内装をつくるには、どんな制限や基準に沿う必要があるのか知っておくようにしましょう。

建築基準法・消防法それぞれの内装制限

利用者が火を扱う焼肉屋は、火災に最も注意が必要です。そのためには、建築物基準法と消防法の基準を満たした内装をつくらなければなりません。

建築基準法は、国民の命と健康、財産を守るために、建築物の敷地や設備、構造などに対して最低限満たさなければならない基準となります。

・客席(居室)の床面から1.2mを超える壁材は「難燃以上」を使用する
・天井も「難燃以上」の素材を使用する
・通路や階段などは、準不燃以上の素材を使用する

一方で、消防法は火災から国民の命や身体、財産を守るために課せられ、被害を最小限に防ぐために必要とされる基準です。

・カーテン、ブラインド、じゅうたんなどは防炎性機能基準を超えたものを使用する
・自動火災報知機を設置する
・消火器を設置する
・2階以上の建物で50人以上を収容する場合は、避難器具・誘導灯・誘導標識を設置する

建築基準法と消防法は、火災から利用者と従業員を守るために必要な基準です。基準を満たしていない内装は、安全に避難ができず被害も大きくなります。

給排気設備

焼肉屋は、利用者が各自で肉を焼くため、店内に煙が蔓延しやすくなります。換気ができていないと一酸化炭素中毒を引き起こす危険性が高まるため、給排気設備を整えましょう。

ダクト工事の種類

給排気設備を機能させるには、ダクト工事と呼ばれる配管作業が必要です。ダクト工事には4種類あり、焼肉屋のジャンルやコンセプトによって工事の内容が異なります。

・厨房内工事(フードダクト工事)
・換気扇工事
・屋外排気工事(客席全体の工事)
・インバータスイッチ(客席全体の工事)

コンセプトが炭火焼肉であれば、煙が蔓延しないように各座席に排煙装置を設置しましょう。また、ダクトを伸ばすために、大きなダクトを天井に配置する必要もあります。

高級志向の焼肉屋は店内の雰囲気を崩さないように、肉を焼く調理器具を無煙タイプにし、下から煙を吸い込む工事を行うとよいでしょう。

ダクト管の種類と特徴

煙を外に排出するダクト管には、さまざまな種類があり、それぞれ特徴も異なります。

・丸ダクト(強度が強く、軽くて丈夫)
・角ダクト(角筒状の形で、ダクトを目立たせたくない場合に用いられる)
・フレキシブルダクト(蛇腹状に屈折しているダクト管。アルミ・鉄・樹脂が用いられており、換気扇や連結部など幅広く使われる)
・傘付きダクト(傘がついた形状をしたダクト管。座席に設置するダクト管の上に設置する)

一般的には、丸ダクトの使用頻度が高い傾向にあります。店内の角やスペースが狭い場合は、フレキシブルダクトを用いましょう。煙を座席ごとに吸い込みたい場合は、傘付きダクト管の使用が便利です。

客席に設置する調理器具

利用者が肉を焼くために必要となる客席用の調理器具は、おもに七輪や無煙ロースターが使われています。どのような特徴と違いがあるのかを把握し、お店の雰囲気にあった調理器具を設置しましょう。

七輪と無煙ロースターを比較

七輪は初期費用が安く、導入時のコストを削減できます。炭を取り替えるのみでメンテナンスも不要なため、お手入れも簡単にできるでしょう。

炭を熱源にすることで、炭や七輪からでる赤外線によって肉をおいしく焼きあげられる特徴もあります。ただし、煙や匂いが蔓延しやすく、店内の冷暖房がききづらくなるなどのデメリットもあります。

・煙が上がりやすく匂いがつきやすい
・煙だけでなく多くの空気を排出するため、冷暖房がききづらい
・煙やオイルミストにより店内が汚れやすい
・炭を起こす場所や設備が必要となる
・耐用年数が1年〜2年と短い

無煙ロースターは、客席の真下にダクトを設置するため煙がでにくく、脂汚れや匂いも軽減されます。電気やガスを熱源とすることで、直接火を付けるだけで準備の手間がかからないメリットもありますが、掃除やコスト面においてはデメリットとなるでしょう。

・無煙ロースター内の掃除が複雑で大変になる
・導入コストとメンテナンス代が高額となる

メリットとデメリットを考慮して、七輪と無煙ロースターのどちらを設置するかを検討しましょう。

内装工事費用を抑えやすい組み合わせ

焼肉屋の内装工事にかかる費用は、およそ1,000万円とも言われています。高額な工事費用がかかる理由は、煙や匂いを排出するためのダクト工事が必要となるためです。

内装工事の費用を抑えるには、ダクト工事がすでに完了している居抜き物件で、七輪を設置する組み合わせが、最も初期費用を抑えられます。

しかし、すでにダクト工事が完了している居抜き物件は競争率も高く、確保が難しいでしょう。七輪も耐用年数が1年〜2年と短いため、長い目で見るとコストは高くなります。

脂汚れへの対策

客席で火を扱う焼肉屋は、脂汚れの対策が必須です。脂汚れの対策が不十分だと、テーブルだけでなく床や壁など、店内全体が脂によりベタベタとしてしまいます。あらかじめ、脂汚れが付着してもお手入れが簡単な内装材を選んでおきましょう。

手入れしやすい内装建材を選ぶ

脂汚れが付着してもお手入れしやすいのは、以下の内装材です。

・メラミン化粧合板
・防汚加工済みの壁紙
・大理石(人工大理石)

メラミン化粧合板は、脂汚れや調味料のシミに強くメンテナンスもしやすいため、焼肉屋の壁におすすめの内装です。防汚加工済みの壁紙や、大理石も脂汚れがこびりつかず、お手入れしやすいでしょう。

壁と同様に、床も脂汚れがたまりやすい場所です。脂が付着しても滑って転倒しないように、滑りにくい素材を使用しましょう。

凹凸や、つなぎ目が少ない素材は、脂汚れが付着してもお手入れしやすくなります。ビニール系のフロアクッションであれば、滑りにくく脂汚れにも強いため、焼肉屋の床にも最適です。

焼肉屋の内装をおしゃれにするコツ

焼肉屋の内装をおしゃれにするには、お店のコンセプトや、どんな方をターゲットにしたいのかを決めておくことが重要です。

コンセプトやターゲット層によって、座席や内装の雰囲気も異なるため、とくに以下4つのコツをおさえて内装をおしゃれにしていきましょう。

・スポットライトなど照明にこだわる
・個室・半個室を設ける
・ひとり客も入りやすい空間を意識する
・女性同士の利用でも好まれるよう配慮する

女性向けの内装は、どんな世代の方からも好まれやすい傾向にあります。個室を設け、アメニティグッズなどを用意してみるとよいでしょう。

スポットライトなど照明にこだわる

焼肉屋にスポットライトを設置すると、おしゃれな空間に見えます。明るく照らしたい場所にのみピンポイントで照明をあてると、立体感が生まれ、汚れが目立ちにくくなる効果もあるでしょう。

たとえば、七輪や無煙ロースターなどの調理器具にスポットライトで照らしておくと、周辺の脂汚れも目立ちにくくなります。

壁紙や通路の足元に照らせば、やわらかな光を間接照明として役立てられます。リラックス効果のある間接照明があると、利用者も落ち着いた雰囲気のなか、楽しく食事ができるでしょう。

個室・半個室を設ける

焼肉屋はプライベートでの利用のみならず、ビジネスシーンにおいては接待の場としても利用される傾向にあります。ビジネス層や、女性をターゲットとして見込む場合は、周囲の利用者がなるべく視線に入らないように個室や半個室を設けましょう。

個室が設けられない際は、客席にパーテーションやロールカーテンをつけて半個室をつくると、利用者もゆっくりと焼肉を楽しめます。

ひとり客も入りやすい空間を意識する

焼肉屋は複数人での利用が多いイメージもありますが、最近では、仕事帰りにひとりで立ち寄る方もいらっしゃいます。たとえば、テーブル席のみが設けられた店舗だと、ひとりで利用したい方にとっては入りにくく、居心地も悪く感じてしまうでしょう。

ひとり客が気兼ねなく入れるように、カウンター席を設けるのがおすすめです。テーブル席のみならず、カウンター席もあると回転率が上がるだけでなく、ひとりで利用される方も増えるでしょう。

女性同士の利用でも好まれるよう配慮する

焼肉屋では、女子会をひらく方や女性がひとりで利用されるケースも多くみられます。女性に好まれる内装デザインとなるよう配慮しましょう。

・パーテーションやロールカーテンなどで座席を仕切る
・個室席を設ける
・間接照明を設ける
・お手洗いに化粧直し・口臭ケア用品などアメニティグッズを用意する

焼肉屋は臭いがつきやすく、服への臭いが気になる女性客もいるため、消臭グッズがあると喜ばれるでしょう。

焼肉屋の内装費用を抑えるには?

焼肉屋の内装は、排煙システムの設置や客席用調理設備を整える必要があるため、一般的な飲食店と比べると費用がかかりやすくなります。少しでも内装費用が抑えられるように、以下のポイントを参考にしましょう。

・居抜き物件を探す
・相見積もりをとる

同じ焼肉屋の内装工事でも、利用する物件や依頼する業者によっては、費用にも大きな差がでます。

居抜き物件を探す

焼肉屋の内装費用を最も削減できる方法は、居抜き物件を利用することです。居抜き物件であれば、前店舗が利用していた内装や設備がそのまま残されています。

前店舗が焼肉屋の場合は、費用のかかりやすい給排気設備も新たに設置する必要がないため、費用も大きく削減できる可能性があるでしょう。

また、飲食店の内装工事において最も費用のかかる厨房設備も、居抜き物件であれば再利用できる場合があります。新たに導入する必要がなければ、建物の骨組みのみが残るスケルトン物件と比べると、300万円前後の内装費用を削減できるでしょう。

相見積もりをとる

焼肉屋の内装費用を少しでも抑えるためには、複数の内装業者から相見積もりをとりましょう。内装にかかる工事費用は、内装業者が独自で金額を定めているため、内装業者によって金額が大きく異なる可能性があります。

複数の内装業者から相見積もりをとり、丁寧に話を聞いてくれているか、質問への回答があいまいになっていないかなど、対応の仕方をチェックしたうえで、依頼する内装業者を決めるとよいでしょう。

まとめ

焼肉屋の内装デザインは、コンセプトやターゲット層によって大きく異なります。ターゲット層に合わせて、照明の明るさや配色、座席などの内装をデザインしていくと、利用者にとって入りやすい店舗となるでしょう。

また、焼肉屋は利用者自らが肉を焼くため、一般的な飲食店とは異なり、煙が蔓延しないように給排気設備を整える必要があります。その分、費用もかさみやすい工事となるでしょう。

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