プライベートサロンの内装づくりは何に注意すべき?賃貸物件とテナント利用の違いも解説
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2023.4.27
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近年、プライベートサロンが注目されています。通常サロンとは異なり、マンツーマンでヒアリングや施術ができるのが魅力的なプライベートサロンは、あまり人と接したくない方や静かな空間で過ごしたい方にとってオアシスです。
また、オーナーにとっても自分の予定に合わせて営業できるため、ストレスを感じにくいでしょう。そんなプライベートサロンについて、内装づくりでの注意点や、賃貸物件とテナント利用の違いを紹介します。
プライベートサロンとは
最近、プライベートサロンが少しずつ浸透しています。主婦の間では、副業として開業する方が増えており、一般的なサロンよりも小さく落ち着きがあるのが特徴です。
開業できる業態は、美容室をはじめ、ネイルサロンやマツエクサロンなどさまざまです。プライベートサロンと通常サロンとの違いや、内容について紹介します。
通常サロンとの違い
通常サロンとは、価格・空間・予約・特別感など、すべてにおいて異なります。また、従業員も個人もしくは2、3人のところが多く、ゆったりとした空間になっているのが特徴です。
価格は、通常サロンに比べると少々高額になっています。その理由は、技術だけでなく使用しているものにもこだわりがあるためです。
たとえば、美容室なら高品質なシャンプーやスタイリング剤を使っていたり、ネイルサロンならくつろげる空間作りを大切にしていたりなどが挙げられます。
プライベートサロンは、自宅やマンションの一室を借りて開業しているところが多く、通常サロンに比べ、生活感が出やすいのがデメリットです。
そのため、いかにお客様が心地よく施術を受けられるかが大切になってきます。空間作りにこだわっている方が多いのは、そういった理由が大きいでしょう。
落ち着きある空間
先ほども述べたように、ゆったりくつろげる落ち着きのある空間は、プライベートサロンならではのものです。通常サロンに比べ、スタッフやお客様の人数が少ないので、騒がしさが一切ありません。
プライベートサロンによっては、数名のスタッフとお客様が利用できるところもありますが、通常サロンのように大勢ではないため、人の出入りや行き来が少なく、基本的には静かな空間になっています。
マンツーマンのヒアリングと施術
マンツーマンで対応してもらえるのも大きな違いになります。お客様のなかには「人見知りで大勢の場所が苦手」「人が多くてなかなか相談ができない」という方もいるでしょう。
通常サロンは、毎日いろんな人が利用しているので、なかなかゆっくり対応してもらうことができません。なかには、利用するたびに担当者が変わってしまうこともあります。
予約の際に担当者が選べる通常サロンもありますが、それでもプライベートサロンのように気兼ねなく相談するのは難しいでしょう。
子ども連れにも対応しやすい
子連れにとって、サロンを利用するのは至難の業です。子連れOKのところであれば問題ありませんが、それでもほかのお客様の視線が気になります。サロン側も、ひとりのお客様だけを特別扱いすることはできません。
プライベートサロンには、キッズスペースを設けているところや、子供と一緒に入店しても安心できる環境作りなど、居心地のよい空間になっているのが特徴です。そういったところも大きな違いと言えるでしょう。
予約が取りやすい
通常サロンのように予約の取りやすさはありません。店舗があるところは、そのぶんスタッフの人数も多く、さまざまなお客様に対応することができます。そのため、予約が取りやすいのがメリットです。
一方で、プライベートサロンは小規模かつ1日に対応できるお客様の人数が少ないため、どうしても予約が取りにくくなってしまいます。予約の取りやすさで選ぶなら、デメリットになってしまうでしょう。
プライベートサロン開業のメリット
お客様にとってメリットになりやすいプライベートサロンは、もちろん開業する側にとってもいろんなメリットが存在します。
開業資金を抑えやすい
マンションの一室や自宅を利用することが多いため、開業資金を抑えやすいのが特徴です。とくに自宅をサロンにする場合、家賃や保証金なども新たに発生する心配がありません。また、ランニングコストもかかりにくいでしょう。
誰でも簡単に開業できるというわけではありませんが、通常サロンに比べると、資金面でのハードルが下がります。
営業時間を自由に設定できる
小さなお子さんがいる方なら、保育園に預けている時間を利用できますし、自宅の一室をサロンにすれば家事や仕事の合間にオープンできます。
通常サロンとは違い、営業時間は自分の都合で設定可能です。そのため、無理なく効率的に働けるでしょう。
特別感ある自分好みの空間にできる
「プライベートサロン」と言われているだけあって、自分好みの空間を作ることができます。間接照明を設置してみたり、癒しの音楽を流してみたり、通常サロンのように規約や制約がないため、内装も外装もこだわりのデザインが可能です。
賃貸の場合は多少制限がありますが、それでも十分に自由度は高いと言えるでしょう。ただ、好みの空間にできる一方で、こだわりの要素をあれこれと詰め込んだ結果、ちぐはぐな空間になり失敗することもあります。
デザインに一貫性がなければ、居心地が悪くなるおそれもありますので、あまり自由にしすぎるのはデメリットです。どんなお客様に来てほしいのか、ターゲットを考えた空間にすると集客が見込みやすくなるでしょう。
プライベートサロン内装のポイント
お客様一人ひとりが、リラックスしながら施術を受けられる空間を重視した内装がポイントです。
とはいえ、お客様によって心地よいと感じる空間は異なります。ここでは、比較的好印象な内装のポイントを紹介します。どんなプライベートサロンにしようか悩んでいる方は、参考にしてみてください。
イメージを具体的に膨らませる
自分好みの空間にできるからと言って、いろんなものを詰め込みすぎてしまうと失敗します。ポイントは、具体的なイメージを膨らませることです。コンセプトはひとつに絞り、どうしてもこだわりたい点を2、3つ取り入れるとよいでしょう。
また、テイストの相性もあるため、無計画に組み合わせると煩雑な印象になってしまうことがあります。たとえばカジュアルな雰囲気にしたいのに、フェミニンなものを混ぜてしまった場合、2つはまったく異なるテイストなのでしっくりきません。
では、カジュアル×ナチュラルではどうでしょうか。こうした相性のよいテイスト同士の組み合わせなら、印象が大幅に食い違う心配はありません。
簡単なようで意外と難しい空間イメージは、開業前にじっくり考えて、納得のいくサロンを作ってください。
テイストに一貫性を持たせる
先ほども述べたように、一貫性のあるテイストは非常に大切です。たとえ異なるテイストのものでも、雰囲気が似ていればデザインが統一されます。
避けたいのは、いろんなテイストのものを混ぜてしまうことです。そのためには、お客様目線で考えることも欠かせません。ターゲットとまったく異なるテイストにしてしまうと、思うように客足が伸びないおそれがあります。
たとえば、幅広い世代の女性をターゲットにしたヘアサロンであれば、上品でアンティークなテイストが好まれやすいでしょう。プライベートサロンであることを強調するため、隠れ家的なインテリアを取り入れてもまとまります。
そのほか、美容室の内装づくりで大事なポイントは、こちらで紹介しています。
小さな空間を広く見せる工夫をする
基本的にコンパクトな空間なので、広々とした印象に見せるのがポイントです。そのためには、必要以上にものを置かないことが大切です。
たとえば観葉植物を置く場合、あちこちに設置してしまうと圧迫感があります。空間に緑があるとリラックスできますが、狭く見えてしまうような置き方は避けなければいけません。
しかし、調度品や装飾物が密集している方がコンセプトと合致しているなら、お客様もそのような世界観を求めて来店するため、マイナスにはなりません。
内装づくりのプロに相談する
内装づくりに困ったら、プロに相談するのもポイントです。プライベートサロンは規模が小さいため、簡単にデザインできるイメージがありますが、コンセプトを考えたり、広く見せたりと、意外にも難易度は高めです。
自分で内装づくりをして失敗することを考えれば、プロに相談したほうが完璧な空間に仕上がります。テナントを借りての開業であれば、店舗の設計に長けた施工会社がおすすめです。また、インテリアコーディネーターの手を借りるのもよいでしょう。
プライベートサロン開業にあたっての注意点
オーナーにもお客様にも人気の高いプライベートサロンは、自分好みの空間で無理なくサロンを開けるため、手に職を持っている方にとって憧れです。
しかし一方で、開業には注意点もあります。気軽にオープンさせたものの、思わしくない結果になってしまったと後悔しないように、開業前にしっかり学んでおきましょう。
入居規約を確認する
気軽にオープンできそうなイメージがありますが、賃貸マンションを利用した場合、入居規約の確認が必要になります。
マンションには管理規約というものが存在します。規約は区分所有法によって定められており、住宅以外の目的で使用してはいけないことや、利益に反する行為の禁止などが記載されています。万が一それらに反した場合、罰金や退去命令を受けるおそれがあります。
規約を無視して「モグリ営業」をしているサロンも少なくありませんが、違反行為になるため、必ず入居規約を確認してから開業するようにしてください。
分譲マンションでも同様の確認が必要
マンションでの開業で、入居規約の確認が必要になるのは、賃貸だけではありません。分譲マンションの場合も、許可なしに開業することはNGです。
近年は、新型コロナウイルスの影響で在宅ワークをしている方が増えています。「家で仕事をする点は同じでは?」と思うかもしれませんが、プライベートサロンは不特定多数の人が出入りをしたり、騒音や匂いが気になったりなど、通常の在宅ワークとは異なります。
とくにエステサロンの開業は、クレームが多いため要注意です。
大規模な工事が難しいことも
店舗とは違い、マンションや自宅の一室を利用するため、大規模な工事が認められないケースが多いでしょう。たとえ気に入らない間取りであっても、変更は困難です。
自分好みの空間で働けるのは事実ですが、配置に困りやすいのはデメリットです。内装に細かいこだわりがある方は、多少お金がかかってもテナントを借りたほうがメリットになります。
近隣住人とトラブルになることがある
ほかの住居者がいる場所での開業は、近隣住人とのトラブルが起こりえるリスクがあります。たとえ許可を得て営業していても、不特定多数の人の出入りや騒音を嫌う方は少なくありません。
もちろん、許可を得ている場合は違法ではないため、営業を続けても問題にはなりませんが、看板の大きさや駐車場の使い方など、居住者のことを考えて工夫するようにしましょう。
集客難易度が高い
テナントと比べると、どうしても集客が見込みにくくなります。その理由は、場所が分かりにくい・人通りが少ない・飛び込みで来店しにくいなどが挙げられます。
実際、プライベートサロンには常連の方が多く利用しています。行き慣れると心地のよい空間ですが、認知されるまでに時間がかかる可能性が高いでしょう。今はSNSで宣伝できますので、どんどん活用してサロンをアピールしてみてください。
テナントを利用したい場合
テナントで開業するメリットは、マンションのように居住者の迷惑にならないことや、宣伝しやすいことなどです。人通りが多い立地であれば、なおさら集客が見込みやすいでしょう。
プライベートサロンの開業に自信がない方は、テナントを利用するのもひとつの手段です。お金はかかりますが、マンションを利用するよりリスクを軽減できます。
広さは、業態によって異なります。なるべく小さい規模で開業したい方は、5~10坪程度の広さが必要です。都心部は家賃が高いため、しっかり資金計画を立ててから開業しましょう。
テナントを熟知した専門家との連携がベスト
専門家との連携も欠かせません。マンションや自宅の一室であれば自分好みに開業できますが、テナントを借りると動線や交通量、成功のポイントを専門家ときちんと話し合ってから決めることになります。
そのほか、初期費用やランニングコストなど膨大な費用もかかってきますので、十分に知識を持った専門家に依頼することも大切でしょう。
まとめ
個人や少人数で開業できる、プライベートサロンについて紹介しました。空いた時間を使って営業できるので、幅広い年齢層の方に人気がありますが、一方で入居許可の確認が必要であったり、SNSを使った宣伝をしたりなど、難しい点もいくつかあります。
とくにリスクが大きいのが、エステサロンです。美容室やネイルサロンとは異なり、トラブルが多いため、開業する際は十分注意しなければいけません。
プライベートサロンはテナントを利用することもできます。自分にとってどちらがよいのか、じっくり考えてから開業しましょう。