店舗改装で考えるべきポイントは?賢い費用軽減も解説!

建物の老朽化や売上の減少を機に、店舗の改装を考える経営者は少なくありません。しかし、改装にはどの程度の予算を組むのが妥当か、お悩みではありませんか?

店舗改装で考えるべきポイントは、営業再開までにかかる費用をいつまでに回収できるかです。そのためには、まず予算計画をしっかり組むことが重要でしょう。

この記事では、店舗改装する判断のポイントや、工事費用の相場、改装にあたっての注意点、さらにDIYでもできる費用削減についても解説します。店舗改装を検討中であれば、ぜひ参考にしてみてください。

改装すべきかの判断ポイント

店舗を改装すべきかの判断ポイントとしては、以下の3点があります。
・耐用年数や老朽化を確認
・費用の用意
・改装期間
それぞれ解説していきます。

耐用年数や老朽化を確認

改装すべきかの判断基準としては、店舗で使用している業務用設備の耐用年数による入れ替えや、建物のひび割れや雨漏りなどの老朽化を目安とするのがよいでしょう。

業務用設備は、国税庁により耐用年数が設定されており、一般的には10~15年ほどです。耐用年数とは、減価償却資産の通常の用途用法によって予定される効果が上げられると見込まれる期間で、耐用年数が来たからといって壊れたり、使えなくなったりするわけではありません。

しかし、設備を新しいものに変えることで、作業の効率化や、動きやすい導線造りに役立つなどの効果が期待できます。

また、建物の老朽化に関しても、国税庁のホームページで耐用年数の記載があります。木造なのか、鉄筋コンクリートなのかにもよって変わってきますので、店舗の造りで判断するのがよいでしょう。

建物や設備が新しくなれば、スタッフやお客様の安全面や、衛生面への配慮にもつながります。きれいでオシャレな外観に生まれ変われば、お客様も入りやすくなりますし、居心地がよければ集客アップにもつながるでしょう。

費用の用意

店舗改装をするためには、当然ながら費用が発生します。しかし店舗改装期間中は収入が入らないため、工事費用を確保するだけでなく、スタッフへの休業補償も予算に組み込む必要があります。

どこまで修繕するかにもよりますが、工事にかかる費用や改装期間によって、スタッフへの休業補償などを含めた計画予算を組む必要があります。そのため、店舗再開にかかる費用をいつまでに回収できるかが、非常に重要になってきます。

改装期間

一般的な改装工事の期間としては、全体で3~4ヶ月程度を想定しておいた方がよいでしょう。工事の規模にもよりますが、業者の選定や工事前の業者との打ち合わせに1~2ヶ月かかります。内装工事自体は、20坪程度の飲食店であれば1~2ヶ月程度が目安になります。

内装にこだわる場合や、特注品の設備などを導入する場合はさらに工期が長くなりますので、営業開始をいつに設定するのかを明確にしたうえで、計画を立てるようにしましょう。

費用の目安は?

店舗の改装は、工事の規模や業種や業態などの店舗のタイプによっても異なり、坪単価で設定されることが多いです。一般的には坪単価10~30万円程度が相場です。店舗タイプ別では、以下が目安となります。

店舗タイプ別 坪単価相場
オフィスなどの事務所 10~15万円
アパレルなどの小売店 10~20万円
美容室やサロン 15~40万円
ペットショップ 20~50万円
飲食店 15~50万円

オフィスなどの事務所であれば、大規模な内装工事を必要としないため、費用は少なく済みます。美容室や飲食店などは、シャワー台などの水周りや厨房設備の工事があるため、その分高額になります。

内装工事の勘定項目4点について、こちらの記事でも解説しています。

しっかりと予算を決める

改装費用の相場を理解しておくことで、予算の計画を立てられます。予算の上限を決めて計画すれば、業者から予算に合わせた提案をしてもらいやすいだけでなく、工事計画がスムーズに進むでしょう。

予算を決めていない、または曖昧にしてしまうと、工事計画が進まず完了日も遅れてしまいます。また、悪徳業者にあたってしまった場合は、理由をつけて高額の請求をされてしまうおそれもあるので、気をつけるようにしましょう。

見積もりは複数の業者へ

見積もりは必ず、複数の業者から取ることをおすすめします。1社のみだと相場が把握できずに、安いのか高いのかの判断がつきません。

また、価格だけで判断しないことも重要です。極端に安い業者だと手抜き工事をされる場合があり、結果的に高くつく場合があります。工事後のアフターサービスがしっかりしている業者や、同じ業態での工事実績が豊富な業者であれば、納得のいく工事をしてもらえるでしょう。

ローンが組めるかなど資金の用意

ローンが組めるかどうかもポイントですが、基本的に店舗改装工事はローンを組めないケースが多いでしょう。一般的には、銀行の融資や工事業者の分割払いで対応することになりますが、クレジット会社の店舗設備ローンなどが使える場合もあります。

取り扱いの対象としては、店舗内外装工事費用や理容設備、厨房設備の購入・設置などになります。審査が通れば、分割払いにて支払うことになります。

赤字経営の場合は、融資やローンを組めない可能性もありますので、その際はまとまった費用を準備しなくてはいけません。予算確保が難しければ、後ほど紹介する助成金の活用も検討しましょう。

DIYで費用削減

予算が厳しい場合は、DIYで費用を削減するのもひとつの手でしょう。個人のDIYでできる範囲はどの程度なのか、詳しく見ていきましょう。

どの程度DIYが可能?

壁や床の張替えなどのリフォーム、インテリアの設置や入れ替え程度であれば、DIYでも施工可能です。

電気の配線や水道、ガス関連は専門の資格が必要とされる工事のため、素人が扱うとトラブルのもとになります。不具合が発生すると水漏れや火災、爆発の原因となるので、必ず専門の工事業者へ依頼しましょう。

またDIYで施工する際、作業中は十分に注意するようにしましょう。怪我などで余計な医療費や、補修費が発生しては本末転倒です。安全に配慮して、慎重に作業を行いましょう。

DIY作業の例

DIY作業の例としては、以下になります。
・壁紙や床の張替え
・室内の壁、天井の塗装
・インテリアの入れ替え、設置
・簡単な棚の作成、取り付け

上記の作業は、ホームセンターなどで手に入る壁紙やペンキ、フローリングシートが使えます。また、木材やペンキなどでアレンジすると一味違った味わいにもなるので、雰囲気も変わるでしょう。

改装にあたっての注意点

工事中の以下のような注意点があります。
・改装中の休業補償
・消防検査が必要なケースがある
・助成金が使える可能性がある
それぞれ詳しく解説します。

改装中の休業補償

改装中は店舗が休業となり、収入がないため、スタッフの補償をする必要があります。スタッフの休業補償は、労働基準法第26条で以下のように定められています。

”使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。”

引用:e-Gov法令検索 労働基準法第26条

会社都合の場合は、平均給与の60%を支払わなければなりません。上記のように、スタッフの給与補償の予算も改装費用に組み込む必要があります。

消防検査が必要なケースは?

飲食などの店舗で新規出店や改装工事を行なう際は、消防法で定められるとおりに施工し、消防署へ届けて消防検査を受ける必要があります。

消防検査とは、消防用設備などの設置後に消防署職員が赴き、設置状況の確認や、設備が正しく機能するかを実際に現地確認する完了検査のことです。

消防署への届けは、店舗の使用者が申請する必要があります。消防検査が必要のケースとしては、以下の2点があります
・消防設備が設置されているかどうか
・防火管理者を設ける必要があるかどうか

消防設備には、消火設備・警報設備・避難設備があります。消火設備はスプリンクラーや消火器、消火栓の設備のことです。警報設備は火災報知器や、ガス漏れ・漏電の警報機などになります。避難設備は、災害時に迅速に避難するための誘導灯や誘導標識、避難器具のことです。

防火管理者は、店舗の収容人数が30人を超える場合に設ける必要があり、規定人数にはスタッフも含まれます。店舗が該当するかどうか管理会社やオーナーへ確認し、届け出の必要があれば、工事開始前や工事完了後すみやかに消防署へ提出しましょう。

助成金が使える可能性もある

中小企業に向けて、店舗改装に使える助成金の制度があります。特定の条件を満たしていれば受給可能な制度もありますので、確認してみましょう。

助成金としては、以下のようなものがあります。
・業務改善助成金
・中小企業等による感染対策助成事業
・雇用調整助成金

業務改善助成金は、中小企業や小規模事業者の生産性向上支援を目的に、設備投資などにかかった費用の一部を助成する制度です。POSレジや専門家のコンサルティングの導入、人材育成の教育費に利用できます。

東京都内の中小企業などを対象とした感染対策助成事業は、感染拡大予防ガイドラインなどに沿った新型コロナウイルス感染対策を行った企業に対して、経費の一部を助成する制度です。換気設備工事やパーティションの設置、消毒液やマスクの購入に利用できます。

雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で、経営悪化など事業縮小を余儀なくされた場合、従業員の雇用維持を図るために休業手当などの一部を助成するものです。政府からの休業要請や、事業縮小でのスタッフの休業要請が対象となります。

上記の助成制度は、自治体や年度によって制度内容も異なります。工事が始まる前に申請が必要なものなども含め、あらためて確認する必要があります。

まとめ

店舗改装は、店舗再開にかかる費用をいつまでに回収できるかが重要になります。店舗改装中は収入がありませんので、スタッフの休業補償も含め、しっかりと予算を組む必要があります。

店舗を改装すべきかの判断としては、設備入れ替えのタイミングや、建物がひび割れしているなど老朽化が基準になります。設備の耐用年数は10~15年、建物は造りによって変わりますので、国税庁の耐用年数表で確認してみるのがよいでしょう。

工事費用の相場は、店舗の業態によっても異なりますが、坪単価10~50万を基準にして予算を組んでみてください。予算の不安がある場合は、店舗改装に使える助成金もあるため、対象となるか確認して賢く利用するようにしましょう。