Episode.3 きのしたブックセンター 様


直木賞受賞作家 今村翔吾先生が事業継承された、大阪府箕面市の書店。小説家ならではの視点で本の良さを伝えていきたいとの思いをお聞きし、改装のお手伝いをさせていただきました。弊社を選んでいただいた理由やオープンまでのエピソード・こだわりなどを、詳しくお伺いしました。



――問い合わせのきっかけと決めた理由

今村様:たしかGoogleで検索したと思う。そのときに匠工房を見つけて、看板でみたことあるなと思ってん。

営業スタッフO(以下O):それは嬉しいですね。

今村様:きっと広告的なシナジー効果やね。見たこと有るな、それなら安心っていう感じ。看板を見て電話をかけようとはたぶん思わなかったやろうけど、調べた時に看板で見たやつやな、と思いましたね。

O:滋賀県内ではかなり多くの看板を出させていただいているので、知っていただけていたんですね。



――業者選びで重視したことはありますか。

O:発端でいうと匠工房の他の事業部にご自宅の改装を頼んでくださったんですよね。

設計スタッフS(以下S):匠工房に頼んでいただいたのはそもそも・・・

今村様:改装しようとした時にもともとのセット業者が何となく高い気がして。2件ほど他の会社に見積もりをとったんです。その2つだと匠工房はやや高かった。多分30万くらいの違いやったと思うけど、一貫してやりますっていうのがいいなと思ったかな。何かあったときに責任というか、誰に言ったらいいかわからなくなるのは困るなと思ったから、30万の違いやったらそっちのほうがいいなと。見積もりからみたいな、あれがいいと僕は思った。

O:一気通貫ですね。見積もり、施工からアフターまで。うちの強みです。

今村様:匠さんには、平均的にはうちは高いかもと言われたけど、初めの業者と比べたら安いっていう印象。嫌な予感はあたってたなと…相場がわからない世界ですからね。



――開業まで不安だったことはありましたか。

O:これは聞いたことないですね…

今村様:オープン日に間に合うのか、っていうところかな…

O:それは…失礼しました…。

今村様:僕たちも無理を言ってたので、なかなか工程的に厳しいこともあったかもしれないですよ!でも僕たちの熱意に応えてくれて、最後にはオープンにまで間に合うことができました。テナント工房さんの熱意には感服しています。



――開業のきっかけを教えてください。

今村様:スタートは事業承継。そこの本屋さんがなくなるって聞いて。しかも、なくなったら近所に本屋さんがなくなってしまうということで見に行ったんですよね。もちろん経営のことも考えないといけないし、上手くいく確率は五分五分でした。他のことならこういう場合、僕は「引く」っていう選択肢を選ぶかもしれないけど、この件に関しては自分の思い入れが強いから「五分五分やったら前に出る」っていう道を選んだ感じかな。



――担当(営業・設計)の印象を教えてください。

今村様:Oさんは…明確かな、言ってくれることが。「この値段(A)と、この値段(B)なら店の雰囲気だいぶ変わるかな?」って聞いたときに、営業トークとかじゃなくて、だいぶ変わりますって言い切ってくれたから、じゃあやろうってなった。変わるってわかってて選べないときもあるけど、言い切ってくれたからこそ、そのなかでの判断はしやすかったです。あとは僕たちお客さんをよく見てくれていて、お客さんに寄り添うためにお客さんを知ろうとしているなっていう印象を受けた。

O:営業にとってそれはすごく嬉しいですね!

今村様:あと、OさんとSさんの2人はよく喧嘩してるイメージがある、小競り合いみたいな(笑)きっと、こだわりのぶつかりあいなんだろうなと。でも面白いアイデアを思いついて伝えたら、できることとできないことを精査してくれて、できる限りやろうとしてくれる。変な意味じゃなくて、お店づくりはどこか遊びの延長みたいなところもありますよね。もちろんきちんとやらないとダメだけど、2人とはチームとしてやりやすいっていう感じがあるよね!

O:嬉しい!

S:嬉しいです!

今村様:一緒になってお店を作っていく感じ。一番重要なことじゃないかな。僕たち作家は、担当編集と小説の意見を出し合って擦り合わせながらいいものを作るっていう、ピッチャーとキャッチャーみたいな関係なんだけど、依頼主と施工業者もそういう関係で、似てるところがあるなって。依頼主が一方的に意見を言って施工業者はやるだけとか、これは無理ですとかじゃなくて、A案B案があって、その先にC案が生まれてくるような感じがいいよね。



――上手くいかなかったことはありましたか。

今村様:1週間というスケジュールのなかでカツカツでやっているのもあったけど、行き違いやズレは多少ありましたね。

O:すみません…

今村様:他は特にない!ギリギリでヒヤヒヤしたくらいかな。しいて言うなら、何をやれば短期になるのか、オープン後にこの工事を回せば工期的に余裕が出るとか、もう少し明文化してくれたらより良かったのかも。僕たち素人はどうしても全部やらないとって思ってしまうから、これはもう間に合わないですっていう決断を教えてもらえるほうがいいかな。

O:たしかに、お客様はわからないですもんね。改善していきます。



――良かった提案はありましたか。

今村様:良かった提案ばかりだから、お金が掛かってしょうがない!(笑)まず、入り口のカラーガラスはコスパの割にはよかった!あと、間口の変え方。既存の本棚に木のシートを貼ったのは入ったときの印象だけでも変わるしよかった!全体にグレーの部分が減って茶色が増えたから温かみが出たよね。それと、蛍光灯に乳白も良かったな。

S:蛍光灯が丸見えだったところに乳白のガラスをかぶせたんですよね。やわらかい光になりました。

今村様:蛍光灯はかなり抜いて減らしたのに、明るくなったっていわれますね。どうやら単純な光量の強さを人は明るさと認識してないらしい。全体のトータルバランスで見てるんやなってことが今回わかりましたね。それに、バックヤードのために面積を減らして、全体に狭くなったのに広くなったって言われる。入ったときのぱっと広がる通路なのかな、不思議ですね。

O:本棚も結構捨てましたもんね。

今村様:そのはずなんですけどね。でも本当によく言われます。



――印象に残っているエピソードを教えてください。

今村様:一緒に蛍光灯を抜いたことかな。。

O:汚れるしいいって言ったんですよ、でも手伝ってくださって。

今村様:みんなでやってる感があったから楽しかったよ。僕も出版の時は、仕事なんだけど仕事だけじゃないみたいなところがあるから。そういう人間性のところはすごくいい!そこがよくなかったらまた一緒にやろうとは思えないと思うし!



――― こだわった箇所は。

O:本棚のスチールが見えないようにっていうのはすごくこだわってましたよね。

今村様:そうそう、あと、白っぽい印象を変えてほしいって言いました。全部を変えるんじゃなくてぱっと入ったときの印象が変わるように、雰囲気が大きく変わったと見せられるところを優先的にやっていきました。予算も限られてるから、限られた予算の中で一番変化が生まれるところをしっかりやっていくようにしましたね。



――オープン後のお客様の反応はどうですか。

今村様:さっきも言ったけど、光量が明るすぎたから落としたのに、明るくなった。バックヤードのために狭くしたのに広くなった、って言われます。今回、見せ方って単純なものではないんやなってわかったね。これは書店だからなのかわからないけど、店の雰囲気がそこで働く人たちの気持ちを変えて、お客さんの気持ちも変えることにつながっていくっていうのを感じましたね。そういう意味ではお店の空間や内装って多くのことに影響を与えるんだなということに気付かされました。



――お店のPR・今後の展望をお願いします!

今村様:作家がやってる書店は珍しいので…まず作家視点の本の並び方を楽しんでいただきたい。 きのしたブックセンターは「街に溶け込んでいくこと」「本の良さに気づいてもらうこと」の2本柱でやっていくつもりです。良さに気付いてもらうにはイベントだと思うので、知り合いの作家さんや、ものすごい作家さんを呼んでイベントもやる予定。なので、きのしたブックセンターのSNSなどもフォローして情報をゲットしてほしいな。

あと、業界初になるけど、出版社が選ぶ他社の本ナンバーワンみたいなのもやろうかなと。それと、きのしたのブックカバーは作家の書いた短い小説にしたい。5種類くらい用意してそこでしか読めない小説で、どれにあたるかわからないみたいな。もちろん僕も参加して。それやったら通いやすいかなと。”また今村のブックカバーか、被ったわ~” みたいな、あのガチャガチャ感が楽しいじゃないかな?と企画中。

作家ならではというか、とにかく今までやったことのないことをどんどん試していこうと思ってますね。本当にいつどんな情報が出てくるかわからないので、常に公式情報をチェックしていただけると嬉しいです!

※本対談に記載の内容は取材当時のものです。(2022年3月)